あらすじ
若き社長、陆光泽(ルー・グアンゾー)が推進する革新的な「明月睡眠計画」。それは、被験者が30年間コールドスリープに入るという壮大な実験だった。しかし、未だボランティアは見つからず、世間の注目は高まるばかり。そんな中、陆光泽の実の妹である陆明月(ルー・ミンユエ)が、18歳の誕生日を目前に、最初のボランティアとして名乗りを上げる。彼女は家族との間に深い溝を感じ、生きる希望を失いかけていた。「この世に未練はない」と言い放ち、免責同意書にサインする陆明月。彼女の決断の裏には、陆家にもたらされた嵐と、実の娘と名乗る陆星辰(ルー・シンチェン)の出現があった。かつては家族の愛を一身に受けていた陆明月だったが、陆星辰の登場により、その立場は一変。誤解と偽りの中で、陆明月は次第に追い詰められていく。
【ネタバレ(最終話まで)】
孤独な決断
「明月睡眠計画」の記者会見が開かれようとしていた。計画の責任者である陆光泽社長は、まだボランティアが見つからない状況に焦りを隠せない。そこへ、彼の妹である陆明月が、計画への参加を申し出る。18歳未満は参加資格がないが、陆明月は「あと3日で18歳になる」と告げる。担当者は、30年間眠り続け、目覚める保証もない危険な計画であることを説明するが、陆明月の決意は固い。「この世に未練はない」と言い切り、彼女は免責同意書にサインする。この計画への参加は、社会的な死を意味し、陆光泽を含む家族にも情報は秘匿される。
幸せだった日々、そして亀裂
陆明月は幼い頃、孤児院で育った。陆家に引き取られ、3人の兄たち(長兄・陆光泽、次兄・陆璀轩(ルー・ツイシュエン)、三兄・陆璨鸣(ルー・ツァンミン))から愛情を注がれ、「愛とは何か」を知った。特に陆家の両親や兄たちは、陆明月を実の娘同然に可愛がり、彼女の16歳の誕生日には「世界で一番幸せにする」と約束するほどだった。
しかし、その幸せは長くは続かなかった。陆家の実の娘だと名乗る陆星辰が現れたのだ。陆星辰は心臓病を患っており、家族は彼女を溺愛するようになる。陆明月は自分が養女であり、他人の幸福を「盗んでいた」かのような罪悪感に苛まれる。陆星辰は巧みに陆明月を陥れ、階段から落ちたのは陆明月に押されたせいだと嘘をつく。家族は陆星辰の言葉を信じ、陆明月を「恩知らず」「悪魔のような娘」と罵り、冷たく突き放す。
失意の中での選択
家族からの信頼を失い、居場所をなくした陆明月は、「明月睡眠計画」のボランティアになることで、陆家への恩返しをしようと考える。それは、陆光泽が5年の歳月をかけて準備してきた研究であり、彼女の名前が冠された計画だった。
陆明月の18歳の誕生日が近づく。それは、彼女にとって「最後の誕生日」になるかもしれない日だった。ある日、低血糖で倒れた陆明月を、兄たちは陆星辰の心臓発作を優先し、見捨ててしまう。「私がこの世から完全に消えても、あなたたちは気にしないでしょうね」と呟く陆明月。彼女は「死亡証明書」を受け取り、陆明月という人間は法的に存在しないことになる。
隠された真実と家族の後悔
陆明月が睡眠計画に入った後、事態は大きく動き出す。
陆星辰の世話をしていた云姨(ユンさん)は、陆明月が家族を深く愛しており、今回の行動も家族のためであることを知っていた。陆明月は、自分の死後、角膜を次兄の陆璀轩に提供するよう手配していたのだ。陆璀轩は長年目が見えなかったが、陆明月の角膜移植によって視力を回復する。
一方、家族は陆星辰の数々の嘘と悪事に気づき始める。陆明月が大切にしていた猫「小団円(シャオトゥアンユエン)」を陆星辰が殺したこと、陆明月の部屋を横取りしたこと、そして陆明月が実の娘である陆星辰をいじめているかのように見せかけていたことなどが、監視カメラの映像などから次々と明らかになる。さらに、陆星辰が陆家の実の娘ではないことも判明する。彼女は孤児院の記録を改ざんし、陆家の財産を狙っていたのだった。
全ての真実を知った家族は、陆明月にしてきた仕打ちを深く後悔する。特に、陆明月の18歳の誕生日に「家族の縁を切る」とまで言い放った父親は、自責の念に駆られる。陆明月が低血糖の持病を抱えていたこと、それを心配させまいと隠していたこと、そして睡眠計画のボランティアになったのが他ならぬ陆明月自身であったことを知り、家族は悲しみに打ちひしがれる。
30年後の再会、そして…
陆家は全財産を投じて「明月睡眠計画」の成功を支援する。そして30年の歳月が流れた。
実験は成功し、陆明月はついに目覚める。角膜移植も成功し、彼女の目は完全に治癒していた。家族は喜び勇んで陆明月のもとへ駆けつける。
しかし、長い眠りから覚めた陆明月は、目の前にいる家族を見て、静かにこう尋ねる。
「すみません、どなたでしょうか?」
彼女は、家族に関する一切の記憶を失っていたのだった。
登場人物紹介
陆明月(ルー・ミンユエ) – 主人公
- 身分・背景:幼い頃から孤児院で育ち、6歳で陆家に養子として引き取られる。しかし、実は孤児院の書類ミスにより、同じく養女として迎えられた陆星辰(ルー・シンチェン)と立場が入れ替わってしまった陆家の実の娘。17歳の時、陆星辰の策略により陆家から誤解され冷遇され、18歳の誕生日に勘当されてしまう。
- 性格:
- 善良で情が深い:陆家の家族の絆を大切にし、家族のために陰ながら尽くす(長兄のためにラベンダーの香り袋を作ったり、次兄のために健康レシピを研究したりする)。
- 我慢強く頑固:陆星辰の策略や家族からの誤解に対し、何度も説明を試みるも聞き入れられず、最終的には沈黙して耐え忍ぶ。
- 一途で献身的:陆家への恩返しのため、自ら「明月睡眠計画」のボランティアとなり、30年間スリープ状態に入る。さらに、次兄の視力回復のために自身の角膜を提供する。
- 重要な物語の軸:
- 養子としての幸せな日々:陆家の三兄弟(長兄・陆光泽、次兄・陆璀轩、三兄・陆璨鸣)からかつては溺愛され、12年間の幸せな時を過ごす。
- 養女の策略と家庭崩壊:陆星辰が陆家に戻ってきてから、ネックレスを盗んだ、階段から突き落とした、猫を虐待したなどと濡れ衣を着せられ、家族は陆星辰の言葉を信じ込み、彼女に辛く当たるようになる。
- ボランティアとしての「死」:2025年2月11日にスリープ装置に入り、表向きには死亡したと公表される。家族は彼女が本当に亡くなったと誤解する。
- 30年後の目覚めと再会:実験成功後に目覚めるが、後悔する家族に対し、他人を装い再会を拒絶する。
陆光泽(ルー・グアンゾー) – 長兄
- 身分・背景:陆氏グループの社長であり、「明月睡眠計画」の発起人。陆家の長男として、弟妹に対して強い責任感を持つ。
- 性格:
- 仕事熱心:「明月睡眠計画」の準備に5年を費やし、生命科学の発展に貢献する重要なプロジェクトだと考えている。
- 葛藤と甘さ:当初は陆星辰の「か弱い」イメージに騙され、陆明月のもの(オーダーメイドのハイヒールなど)を陆星辰に与えてしまうことが度々あった。後に真相を知り、激しく後悔する。
- 重要な物語の軸:
- 妹への誤解:陆星辰の嘘を信じ込み、陆明月を「嫉妬深く強欲だ」と非難し、勘当の際には「陆家にお前のような娘はいない」とまで言い放つ。
- 真相を知った後の償い:陆明月が実の娘であり、ボランティアになったことを知った後、全財産を投じて実験の成功を確実にし、彼女が目覚めるのを30年間待ち続ける。
陆璀轩(ルー・ツイシュエン) – 次兄
- 身分・背景:陆家の次男。目の障害により長年劣等感を抱いていたが、後に陆明月から角膜提供を受け視力を回復する。
- 性格:
- 繊細で傷つきやすい:目の障害が原因で心を閉ざしがちで、陆明月の付き添い(彼女に「目」になってもらうなど)に依存していた。
- 衝動的で怒りっぽい:陆星辰に誤誘導された後、陆明月に対して何度も暴言を吐く(「死んだふりをするな」と罵るなど)。真相を知った後は自責の念に駆られる。
- 重要な物語の軸:
- 失明と視力回復:陆星辰の策略によりバーベキューコンロに衝突しそうになる。最終的に陆明月の角膜提供を受け、視力を回復した後に提供者が妹であったことを知る。
- 後悔と待ち望む日々:30年間、秘密基地を守り続け、陆明月との思い出の手帳を修復しようと試み、彼女が目覚めた後に過ちを償うことを願う。
陆璨鸣(ルー・ツァンミン) – 三兄
- 身分・背景:陆家の三男。短気で直情的な性格。かつては陆明月を守る「騎士」だったが、陆星辰の策略により彼女と決別する。
- 性格:
- 妹思い(初期):かつては陆明月のために外部の人間と対立し、猫の「小団円(シャオトゥアンユエン)」をプレゼントした。
- 怒りっぽく衝動的(後期):陆星辰の策略により、「小団円」を誤って死なせてしまい、陆明月に手を上げてしまうことさえあった。
- 重要な物語の軸:
- 寵愛から加害へ:陆星辰の嘘を信じ、陆明月が「ネックレスを盗んだ」と非難し、彼女が低血糖で倒れた際には「死んだふりをするな」と罵倒する。
- 覚醒と復讐:陆星辰の陰謀に気づいた後、彼女に激しく暴行し、残りの人生を罪悪感の中で陆明月の帰りを待ち続ける。
陆星辰(ルー・シンチェン) – 悪役
- 身分・背景:孤児院の孤児。陆家の実の娘と偽り2年間過ごすが、実際には陆家と血縁関係はない。
- 性格:
- 計算高く腹黒い:可哀想なふりをしたり、自作自演(階段から突き落とされたように見せかける、自傷して濡れ衣を着せるなど)をしたりして陆家の信頼を騙し取り、陆明月を陥れる。
- 強欲で嫉妬深い:陆家の富と寵愛を渇望し、「もう貧乏な生活はしたくない」と公言し、陆明月の猫「小団円」を殺害する。
- 重要な物語の軸:
- なりすましと策略:DNA鑑定書を偽造し、「実の娘」として陆明月を追い出し、陆家と陆明月を反目させるために何度も策略を巡らす。
- 真相露見と罰:陆家に本当の身分が発覚した後、遺伝性の心臓病(陆家の血筋ではない証拠)と詐称の罪により、精神病院に送られる。
陆家父母(ルー家父母)
- 身分・背景:陆光泽、陆璀轩、陆璨鸣の父母であり、陆明月の実の親(当初は陆星辰を実の娘と誤認していた)。
- 性格:
- 偏愛と罪悪感:陆星辰が「16年間も不遇な生活を送ってきた」という理由から彼女を過剰に補償し、陆明月の気持ちを無視する(陆明月の部屋を陆星辰に譲るなど)。
- 後知恵:後に血液型の矛盾(A型の両親とB型の陆星辰)から騙されていたことに気づき、激しく後悔する。
- 重要な物語の軸:
- 勘当と後悔:祝賀パーティーで陆明月との縁を切ると宣言するが、彼女が実の娘だと知った後、云姨に土下座して行方を尋ね、最終的に実験室の外で30年間待ち続ける。
云姨(ユンさん) – 物語の鍵を握る脇役
- 身分・背景:陆家の家政婦。陆明月に12年間付き添い、唯一初めから真相を知り、彼女を支え続けた人物。
- 性格:
- 忠誠心があり善良:陆明月の秘密(低血糖の持病など)を守り通し、亡くなる直前に陆明月の遺品とビデオメッセージを家族に託す。
- 重要な物語の軸:
- 悲劇の目撃者:陆明月が陥れられる全過程を目撃し、何度も彼女のために弁解するが聞き入れられない。
- 遺志を継ぐ者:陆明月がスリープ装置に入る前に秘密を守ることを約束し、陆家が真相に気づいた後、彼女の手帳と遺言のビデオを渡す。
登場人物たちの愛憎が絡み合い、身分が入れ替わるという展開を通じて、物語は「親子の信頼と裏切り」「遅すぎた真実と償い」というテーマに焦点を当て、人間の複雑さと運命の無常さを描き出しています。