キャスト/登場人物一覧

イ・ジャンヒョン 役
ナムグン・ミン
綾郡裡(ヌングンリ)に突如現れた謎の男。 見た目は両班(ヤンバン)の貴族だが、金銭への貪欲さを隠そうともせず、高潔な儒學者たちを恥知らずにも嘲笑い、わざと人を怒らせるような振る舞いをする。かと思えば、次の瞬間には得體の知れない哀しみに沈み、息が詰まるほど寡黙になるなど、その內面は誰も読み解くことができない。
そんなある日、ユ・ギルチェと出會ったことで、彼の想像もしていなかった運命の扉が開かれることになる。

ユ・ギルチェ 役
アン・ウンジン
故郷の綾郡裡(ヌングングリ)に戻ってきた士大夫(両班)の娘。自らを「綾郡裡の西施(せいし)・貂蟬(ちょうせん)」と稱し、その美貌と蠱惑的な魅力から「九尾の狐(クミホ)」の異名を持つ。 世の男性たちを意のままに翻弄してきた彼女だったが、唯一、成均館(ソンギュングァン)の儒生であるナム・ヨンジュンだけは振り向かせることができずにいた。
ギルチェは、ヨンジュンもいつか他の男たちのように自分にひざまずくと信じていた。しかし、彼の気を引こうと計畫を巡らせていた矢先、突如現れた謎の男、イ・ジャンヒョンが彼女の前に立ちはだかる。 戦亂の中で世間知らずなお嬢様だった彼女は、ジャンヒョンとの出會いや數々の苦難を乗り越え、自立した強い女性へと成長していく。

ナム・ヨンジュン 役
イ・ハクジュ
成均館(ソンギュングァン)で學ぶ儒生。眉目秀麗で、まるで孤高の鶴のような清らかさと気品を漂わせ、生まれながらの君子を思わせる人物。ユ・ギルチェの初戀の相手でもある。
幼い頃に両親を病で亡くし、綾郡(ヌングン)の人々に育てられた。そのおかげで、誠実で心正しい青年に成長する。彼の生涯の願いは、聖人の教えをその身に刻み、真の君子として、この世に恥じぬ堂々とした人間になることである。

キョン・ウネ 役
イ・ダイン
ナム・ヨンジュンの婚約者であり、ユ・ギルチェの一番の親友。キョン・グンジェクの一人娘。
視野が広く、常に周囲の人々を思いやる心優しい女性。 世間がギルチェとヨンジュンの噂で持ちきりになっても、婚約者への信頼は決して揺らがず、ギルチェとの友情を裡切ることもなかった。その落ち著いた態度は、物事の本質を見抜く彼女の聡明さからくるものであろう。芯が強く、一途にヨンジュンを愛し、出兵した彼の帰りを待ち続けると誓う。 戦亂の中でギルチェに幾度となく助けられ、二人の間には強い絆が結ばれていく。

リャンウム 役
キム・ユヌ
朝鮮一の歌い手と稱される、類いまれなる美貌の持ち主。
紙のように白い肌、憂いを帯びた眼差し、そして伽耶琴(カヤグム)を奏で、時には弓や火縄銃をも巧みに操るその長い指を持つ。誰もが「一體どれほどの女達を泣かせてきたのだろう」と溜息をつくほどの美しい容姿をしている。
しかし、彼の心が女性の白粉の香りではなく、男性の汗の匂いにのみ高鳴ることを、12歳の若さで既に自覚していた。イ・ジャンヒョンに仕え、彼のためならどんな危険も厭わない深い忠誠心と愛情を抱いている。歌や楽器だけでなく、武芸にも長けており、その多才さでジャンヒョンを影から支える存在である。

カクファ 役
イ・チョンア
清の皇帝ホンタイジの娘である皇女。その血には、遊牧民族ならではの野性的で奔放な気質が流れている。父である皇帝の権勢を盾に、この世に手に入らないもの、手に入れることをためらうものなど何一つなかった。
當初、捕虜として連れてこられたイ・ジャンヒョンのことも、意のままになる玩弄物(がんろうぶつ)に過ぎないと思っていた。しかし、この男が驚くほど自分に従わないことに怒りと戸惑いを覚える。彼を征服しようと試みるうちに、その存在は次第に彼女の執著へと変わっていく。

ジョンジョン 役
パク・ジョンヨン
ユ・ギルチェの世話役を務める下女。美しいギルチェに仕えることが人生最大の喜びであり、ギルチェが著飾って出かけ、人々から稱賛を浴びるたびに、まるで自分が褒められたかのように嬉しく思う。 主従関係ではあるが、その絆は姉妹のように固い。ギルチェがどこへ行くにも、ジョンジョンは影のように付き従う。この世で自分を守ってくれるのはギルチェただ一人だと理解しているからこそ、彼女に命を懸けて忠誠を誓っているのである。

仁祖(インジョ) 役
キム・ジョンテ
朝鮮王朝第16代國王。 クーデター(仁祖(インジョ)反正)によって先王・光海君を廃位させ王座に就いたものの、その治世は苦難の連続であった。
即位から十數年、彼の心には未だ解けぬ疑念が渦巻いていた。クーデターの功臣であった李適(イ・グァル)が反亂を起こした際、なぜ都の民は反亂軍を熱狂的に歓迎したのか。 そして、自分が引きずり下ろした光海君は、民眾の間で一體どのように語り継がれているのか。 近年では光海君の外交手腕などが再評価されているが、仁祖(インジョ)にとっては自らの正統性を揺るがす存在であった。
民を守れず、愛する息子さえも守り抜くことができなかった悲運の王。 彼の治世は、生涯を通じて、これらの心のわだかまりを解き明かすための苦悩の連続であった。

昭顕世子(ソヒョンセジャ) 役
キム・ムジュン
朝鮮の王位継承者である世子(セジャ)。感受性が強く短気で、頑固な性格の持ち主。民の苦しみよりも王室の安危を優先するが、父である仁祖(インジョ)への孝心だけは誰よりも純粋で強い。
當初は、王室の威厳さえも侵しかねない奔放なイ・ジャンヒョンを警戒していた。しかし、清で人質として過ごす殘酷な日々の中、ジャンヒョンに支えられ、彼に心を開いていく。その歳月を経て、父・仁祖(インジョ)の息子としての昭顕から、朝鮮という國の未來を背負う真の昭顕世子(ソヒョンセジャ)へと成長を遂げる。
史実において昭顕世子(ソヒョンセジャ)は、清で西洋の學問や文化に觸れ、朝鮮に新しい風を吹き込もうとした進歩的な人物として知られています。 しかし、その革新的な思想が、清を憎む父・仁祖(インジョ)との確執を深め、帰國後わずか2ヶ月で謎の死を遂げるという悲劇的な最期を迎えました。

ヨンゴルテ 役
チェ・ヨンウ
清の武官であり、皇帝ホンタイジの腹心。 ホンタイジから絶大な信頼を寄せられ、朝鮮との交渉に関する全権を委ねられています。
ホンタイジが望むなら自らの命さえ投げ出すほど忠誠心は高い一方で、その裡では抜け目なく私腹を肥やすことも忘れない、表と裡の顔を持つ二面性のある人物です。 朝鮮の訳官であるチョン・ミョンスを使い、朝鮮の役人たちを威圧することも少なくありません。
イ・ジャンヒョンはその二面性を見抜いていますが、龍骨大もまた、私利私慾を満たすためにはイ・ジャンヒョンの類まれな才覚が不可欠であることを理解しています。 そのため、二人は互いの本心を知りながらも、一方は知らないふりをし、もう一方は愚かなふりをすることで、騙し合いながらも危険な均衡を保っています。

ホンタイジ 役
キム・ジュンウォン
大清國の皇帝。父ヌルハチが果たせなかった中原統一の夢を継ぎ、その実現に生涯を捧げた。
並外れた度量と的確な判斷力、そして卓越した統率力を以て、朝鮮を屈服させただけでなく、清による天下統一を目前にまで押し進めた人物である。彼は「信頼こそが忠誠心を生む」という信條を深く理解しており、重臣には一度任務を任せると絶対的な信頼を寄せた。そして、勝敗を決する重要な局面においては、常に部下の將軍たちの盾となり、その権威を守り立てた。