あらすじ

禾陽の街を恐怖に陥れる連続猟奇殺人に、新たな悪蛟(あくこう)の怪異が重なり合います。裏社会の少主が秘めていた過去の告白と、嫉妬に駆られる若き県令の執念が激しく交錯する第10話。

ネタバレ

悪蛟の呪いが蠢く禾陽の地と魂を揺さぶる情愛の行方

禾陽の街を恐怖に陥れる連続猟奇殺人に、新たな悪蛟(あくこう)の怪異が重なり合います。裏社会の少主が秘めていた過去の告白と、嫉妬に駆られる若き県令の執念が激しく交錯する第10話。

民衆の暴動を鎮めるために役所で執り行われた、一百枚の銅銭を用いた命がけの神判劇は必見です。偽りの令嬢の正体に迫るサスペンスと、加速する恋の四角関係から目が離せません。

過去の絆と河畔に現れた怪物の謎

卓瀾江(タク・ランジャン)が明かしたチンピラの仮面と楊采薇(ヤン・ツァイウェイ)との本当の出会い

楊采薇(ヤン・ツァイウェイ)は卓瀾江(タク・ランジャン)に対し、なぜ身分を偽ってチンピラのように振る舞っていたのか理由を尋ねました。卓瀾江は苦渋の表情を浮かべながら、三年前の過酷な真実を静かに語り始めます。

当時、実の父親が闇討ちに遭ったため、彼は急遽銀雨楼の少主の座を継がざるを得ませんでした。組織を守るために冷酷な首領を演じる中、傷を負った彼を救ったのが他ならぬ楊采薇だったのです。

第9話で描かれたように、卓瀾江が突然役所へ結納品を運び込んで求婚した背景には、この時の深い絆がありました。何でも打ち明けられる唯一の親友という言葉の裏に、少主の一途な情愛が隠されています。

僻地の河に蠢く巨影と灯会事件の凄惨な模倣死体

二人は事件の目撃者を探すため銀雨街を訪れますが、趙(ジャオ)堂主の過剰な歓迎により小販たちが強制排除されていました。楊采薇を強引に少主夫人と呼ぶ配下を叱責し、卓瀾江は急いで露天商たちを解放させます。

楊采薇はかき氷売りの三姑娘(サン・クーニャン)とその妹の霜霜(ソウソウ)から、犠牲となった強叔(強おじさん)の墓前に不気味な動物の死体が捧げられていた事実を聞き出しました。一方の潘樾(パン・ユエ)も、別の被害者である田華(ティエン・ホア)が周囲から因果応報と怨まれる残虐な男だったと突き止めます。

その頃、潘樾(パン・ユエ)は手がかりを求めて、人々が滅多に近づかない偏遠の不気味な河畔へと単身で捜査に向かっていました。突如として水面から巨大な怪物が姿を現し、周囲の船乗りたちが恐怖の悲鳴を上げて逃げ惑います。

怪物を取り逃がした潘樾は、夜になっても戻らない楊采薇の身を案じ、胸の内に激しい焦燥感を募らせていました。直後に河の近くで灯会事件と全く同じ手口の遺体が発見され、役所は一時騒然となります。

悪蛟の恐怖に怯える民衆と県衙を揺るがす天意の選択

潘樾の肩の負傷と楊采薇が代筆する捜査の記録

潘樾が血相を変えて捜索に飛び出そうとした瞬間、楊采薇が卓瀾江と親しげに笑いながら役所へと帰還しました。最愛の女性が無事だった安堵と、恋敵への激しい嫉妬により、若き県令の顔色は一瞬で漆黒に変貌します。

第5話の襲撃事件において楊采薇を庇ったことで負った潘樾の肩の傷が、彼女を心配して暴れた拍子に再び激しく裂けました。采薇は彼の怪我の悪化を深く心配し、筆を持てない彼の代わりに調書の代筆を買って出ます。

二人が机を並べて捜査記録を整理する様子は、かつての仲睦まじい夫婦の姿そのものでした。しかし役所の外では、水の怪物の出現に怯える数多くの百姓たちが集まり、捜査の中止を求めて地面に跪いていました。

一百枚の銅銭が示した神判と厨房で芽生える新たな恋

役人たちまでもが悪蛟の呪いを恐れて神仏に祈る中、潘樾は民衆を黙らせるための大胆な賭けを提案します。彼は手元にある一百枚の銅銭をすべて投げ、そのすべてが表を向けば捜査を続行すると宣言しました。

確率的に不可能な条件を前に周囲が固唾を飲む中、楊采薇の放った銅銭はすべてが表を向くという奇跡を起こします。潘樾があらかじめ仕込んでおいた高度なトリックにより、天意という名の大義名分が見事に成立しました。

この鮮やかな計略により役所の士気は一気に回復し、一同は次の標的が夏至の節気に関係していると推理します。その夜、厨房では従者の阿澤(アーザー)が侍女の玲児(レイアル)の作業を手伝い、二人の間にも静かな恋の兆しが生まれました。

食事の席で、楊采薇は肩を痛めて菜(おかず)を満足に挟めない潘樾の様子を見かねて、次々と料理を口へと運びます。周囲の役人たちが呆気にとられる中、二人の心の距離は目に見えない速度で確実に縮まっていました。

偽造された遺体と夏至の夜に隠された怨嗟の構図

今回登場した水の怪物の騒動は、水波紋組織の幹部たちが民衆の迷信を利用した高度な情報操作です。楊采薇が陳三(チェン・サン)の検屍報告の矛盾を鋭く見抜いた通り、河畔で発見された遺体は恐怖を煽るための偽造物でした。

事件の犠牲者である田華(ティエン・ホア)や強叔(強おじさん)が、いずれも身近な弱者を虐げていた加害者という共通点は非常に重要です。凶手は単なる無差別殺人ではなく、社会の怨嗟を代行する形で猟奇的な制裁を下していると考えられます。

潘樾が仕掛けた一百枚の銅銭のトリックは、民衆の心理を完全に掌握する彼の冷徹な知略の現れ。この神判劇の成功により、捜査の刃はこれらすべての怪異を裏で演出する真犯人の喉元へと確実に伸びていきます。

縮まる二人の距離と次回の済善堂潜入への期待

嫉妬に狂う潘樾が、楊采薇に料理を食べさせられて一瞬で懐くギャップが最高に魅力的なエピソードでした。リウ・シュエイーの眼光の鋭さと、ジュー・ジンイーの健気な代筆姿の対比がロマンスの純度を高めています。

恐怖の悪蛟伝説を逆手に取る頭脳戦の爽快感もあり、物語のサスペンス性が一気に引き締まりました。

次回、偽造された遺体の謎を解き明かすため、潘樾と卓瀾江の二人が変装を施して敵の本拠地へと潜入します。怪しい慈善団体である済善堂のオークションの奥で、二人の天才を待ち受ける新たなる罠の行方から目が離せません。

つづく