あらすじ
大梁国では、皇太子の座を巡って太子と誉王(よおう)が激しく対立していた。そんな中、麒麟の才子を得る者は天下を得るという噂が都を駆け巡る。その麒麟の才子こそ、江湖最大の組織江左盟を率いる梅長蘇(ばいちょうそ)だった。太子と誉王は、彼を味方に引き入れようと躍起になる。
時を同じくして、梅長蘇は友人の蕭景睿(けいえい)に招かれ、蘇哲(そてつ)という偽名で都・金陵へと向かう。彼の目的は病の療養だと言われているが、その瞳の奥には静かな炎が宿っていた。彼が都に来た本当の理由とは一体何なのか。壮大な復讐劇の幕が、今静かに上がる。
ネタバレ
悪夢と現実
いきなり壮絶な戦場の悪夢から物語は始まる。主人公の梅長蘇(ばいちょうそ)は、血まみれの戦場で生きろと叫ぶ父の声にうなされて目を覚ます。12年前の梅嶺(ばいれい)血戦が、今も彼を苦しめているみたいだ。彼が持ってる腕輪には林の一文字。これが後々、とんでもなく重要な意味を持つことになる。
場面は変わって、琅琊閣(ろうやかく)っていう情報屋みたいな組織。そこの閣主、藺晨(りんしん)が面白いニュースを手に入れる。北燕っていう国で、一番パッとしなかった第六皇子が太子になったらしい。その理由は、琅琊閣が出した麒麟の才子を得る者は、天下を得るっていうお告げのおかげだとか。
天下を動かす麒麟の才子
この噂は、もちろん大梁国にも届く。帝(みかど)はもう歳で、皇太子の座を巡って太子と誉王(よおう)がバッチバチに争っている。そんな中、麒麟の才子なんていうチートキャラの情報が入ってきたら、そりゃ黙ってられないよな。
二人とも、すぐに麒麟の才子を探し始める。で、その正体が江左盟(こうさめい)の宗主で、江湖の有名人でもある梅長蘇(ばいちょうそ)だと突き止める。ここから、梅長蘇(ばいちょうそ)の争奪戦がスタートするわけだ。どっちが先に彼を味方につけるか。二人とも必死で贈り物を用意して、彼のもとへ人を送る。
都への道
その頃、梅長蘇本人は何をしていたか。都状を訴えようとする老人夫婦を、刺客から助けていた。手伝ったのは、友人の蕭景睿(けいえい)の一家だ。この蕭景睿(けいえい)、実は梅長蘇を病気の療養って名目で、都に連れて行こうとしていた張本人。
梅長蘇は、親友でもある医師の藺晨(りんしん)に、都へ行く決意を伝える。藺晨(りんしん)は彼の体を診て、猛反対する。梅長蘇の体はもうボロボロで、先は長くない。あと2年、命を持たせてくれと頼む梅長蘇の覚悟は、見ていて胸が痛くなる。彼は、自分の命を燃やしてでも、何かを成し遂げようとしているんだ。
再会と新たな始まり
ついに梅長蘇は、蘇哲(そてつ)という偽名を使って、蕭景睿(けいえい)たちと一緒に都・金陵の城門をくぐる。12年ぶりに見る故郷の景色に、彼の胸に何が去来したのか。
ちょうどその時、雲南を守る女傑、穆霓凰(げいおう)も都に帰ってくる。彼女は蕭景睿たちと顔を合わせ、軽く手合わせなんかして旧交を温める。梅長蘇は輿の中からその様子をじっと見ていた。でも、決して姿を現そうとはしない。彼女は、かつての彼の婚約者だったからだ。
梅長蘇は、蕭景睿の父、寧国侯・謝玉(しゃぎょく)の屋敷にやっかいになる。謝玉(しゃぎょく)は、初めて会うはずの蘇哲(そてつ)に、どこか見覚えがあるような不思議な感覚を抱く。
一方、宮殿では帝が穆霓凰(げいおう)のために、武術大会で婿選びをするとか言い出す。でも霓凰は、これが自分の意に沿わない相手と結婚させようとする帝の策略だと見抜いていた。彼女の立場も、かなり危うい。
物語は、こうして静かに、でも確実に動き始めた。梅長蘇という巨大な嵐の目が、ついに都にやってきたんだ。
第1話の感想
いやー、第1話から情報量がすごい。でも、ごちゃごちゃしてるんじゃなくて、これから始まる壮大な物語のピースが一つずつ、丁寧に置かれていく感じがたまらない。主人公の梅長蘇が、ただの策士じゃないってことがすぐに分かる。彼は過去の悲劇を背負って、命がけで何かをやり遂げようとしている。その悲壮な覚悟が、セリフの端々から伝わってくるんだよな。
太子と誉王の権力争いっていう分かりやすい構図の中に、麒麟の才子っていうファンタジーみたいな要素が投げ込まれるのが面白い。これから梅長蘇が、この二人の間をどう立ち回って、都をかき回していくのか。想像するだけでワクワクする。
そして穆霓凰(げいおう)。めちゃくちゃカッコいい。強い女性なんだけど、政治の道具にされそうになっているっていう弱さもあって、すごく人間味がある。梅長蘇が彼女を遠くから見つめるシーンは、切なくて最高だった。この二人の関係がどうなるのかも、絶対に見逃せないポイントだ。とにかく、初回からこれは傑作だって確信させてくれるだけのパワーがあったよ。
つづく