あらすじ

都にやってきた麒麟の才子・梅長蘇(ばいちょうそ)を巡り、皇太子と誉王(よおう)の権力争いが本格化する。両陣営は彼を味方に引き入れようと、あらゆる手段を使い始めた。一方、雲南の女傑・穆霓凰(げいおう)の婿選びの武術大会が開かれる。そんな中、梅長蘇は宮中で、年老いた太皇太后に謁見する。彼女の一言が、彼の心の奥にしまい込んでいた過去を揺り動かす。静かに、だが確実に、運命の歯車が回り始めた。

ネタバレ

腹の探り合い、開幕

都では、皇帝が一人でほくそ笑んでいた。なぜかって、雲南の女傑・穆霓凰(げいおう)に、各国の王族から結婚の申し込みが殺到しているからだ。表向きは喜んでいるけど、本音はまったく違う。霓凰の弟・穆青(ぼくせい)が雲南王府を継いだけど、皇帝はまだ姉の霓凰の影響力が強すぎることを警戒している。南の軍事力は、完全に自分のコントロール下に置きたい。だから、霓凰をさっさと都の外に嫁がせて、穆家の力を削ごうっていう魂胆だ。

一方、皇太子の座を狙う誉王(よおう)も必死だ。霓凰の婿選びの武術大会に、自分の息がかかった武人を送り込んだ。軍との繋がりを強くしたいからね。でも、その候補者たちは禁軍大統領の蒙摯(もうし)にあっさり負けてしまう。蒙摯(もうし)は琅琊榜で第二位の実力者だから、当然の結果かもしれない。誉王(よおう)は面目を潰されて、かなりイラついていた。それに、お目当ての麒麟の才子、梅長蘇(ばいちょうそ)をまだ見つけられていない。皇太子に先を越されるんじゃないかと、気が気じゃないんだ。

その頃、梅長蘇(ばいちょうそ)の屋敷に滞在している。護衛の少年・飛流(ひりゅう)が庭で遊んでいると、偶然やってきた蒙摯と手合わせすることになった。この一件で、謝玉(しゃぎょく)は蘇哲(そてつ)と名乗る男の正体が、あの梅長蘇だと気づいてしまう。この情報はすぐに皇太子と誉王の耳にも入った。

これでゲームの駒は出揃った。誉王は、養母である皇后の力を借りて、梅長蘇と接触しようと画策する。皇太子側の謝玉は、もっと過激だ。梅長蘇が味方にならないのなら、すぐに殺すべきですと太子に進言する。友になるか、敵になるか。もう中途半端な関係はありえない。

すれ違う想い

場面は変わって、都の門。霓凰は、懸鏡司の役人である夏冬(かとう) を見送りに来ていた。二人は親しい友人のようだ。そこに、任地から戻ってきた靖王(せいおう)・蕭景琰(けいえん)が通りかかる。靖王(せいおう)は、かつて親友だった梅長蘇の一家が謀反の罪で滅ぼされた赤焔事案を、いまだに信じていない。だから、この事件を調査した懸鏡司の夏冬(かとう) とは、顔を合わせるたびにトゲのある言葉を交わしてしまう。

夏冬は霓凰に言う。いつまでも梅長蘇お兄様のことばかり信じて、自分の人生を無駄にしちゃだめよ。霓凰は何も答えない。彼女の中では、まだ何も終わっていないんだ。

靖王は、数々の戦で手柄を立ててきた。でも、皇帝からはずっと冷たく扱われている。いまだに親王にすらなれていない。今回も、皇帝に謁見を願ったのに、宮殿の外で一刻(約二時間)以上も待たされた挙句、やっと呼ばれたと思ったら、軍服のまま来たことを叱責される始末だ。彼のまっすぐで頑固な性格が、宮中では煙たがられている。

忘れられたはずの名前

婿選びの武術大会がついに始まった。皇太子と誉王は、さっそく梅長蘇のいる天幕にやってきて、彼のご機嫌取りに余念がない。

そんな中、宮殿の最長老である太皇太后が、皆に会いたいと言い出した。梅長蘇は、飛流(ひりゅう)にあの方は世界で一番優しいおばあちゃんだから、お行儀よくするんだよと言い聞かせる。

太皇太后はもう年老いて、誰が誰だかよく覚えていない。景睿(けいえい)や豫津(よしん)に、的外れな質問を繰り返していた。そして、梅長蘇をそばに招くと、彼の顔をじっと見て、こう言ったんだ。小殊(しょうしゅ)じゃないか。

小殊。それは、梅長蘇がかつて梅長蘇だった頃の呼び名だ。

周りの者は、太皇太后がまた耄碌しただけだと思っている。彼女はさらに、霓凰の手を取らせて、お前たち、いつ結婚するんだい?と尋ねた。皇后がお間違いですよと取りなそうとすると、太皇太后はだって、この二人は婚約したじゃないかとむきになる。

その言葉を聞いた瞬間、梅長蘇は抑えきれない感情に突き動かされ、霓凰の手を強く握りしめてしまった。霓凰は彼の反応に一瞬、何かを感じ取る。でも、梅長蘇はすぐにいつもの冷静な仮面をつけ、うまくごまかした。

その後、二人は宮中を散策する。梅長蘇にとって、霓凰と過ごす時間はかけがえのないものだ。彼らが話していると、掖幽庭(えきゆうてい)という場所で、罪人の子供が宦官に厳しく罰せられている場面に出くわした。

感想

今回のエピソードは、とにかく切なかった。特に太皇太后のシーンは胸が締め付けられる。周りの誰もが梅長蘇の正体に気づかない中で、一番記憶がおぼろげなはずの太皇太后だけが、彼を小殊だと見抜いた。それは、理屈じゃなくて、愛情が起こした奇跡なんだと思う。彼女にとって、梅長蘇は昔可愛がった孫同然の存在で、その魂の本質を感じ取ったんだろうね。思わず霓凰の手を握ってしまう梅長蘇の姿には、彼の心の奥底に眠る、梅長蘇としての感情が溢れ出ていて、見ていて本当に苦しかった。

一方で、靖王の不器用な生き様も印象的だ。正義を信じるあまり、皇帝に疎まれ、誰にも理解されない孤独を抱えている。彼の存在が、これから梅長蘇の復讐劇にどう絡んでくるのか、目が離せない。皇太子と誉王の醜い権力争いも本格化してきて、物語が一気に動き出した感じがする。

つづく