あらすじ
遺伝子犯罪が社会問題となっている近未来。特殊な遺伝子変異により、他者への共感能力を欠く「ゼロ度共感者」の存在が、事件の鍵を握っている。犯罪心理学の専門家、裴溯(ペイ・スー)は、この謎めいた存在に強い興味を抱き、独自に捜査を進めていた。そんな中、下西区で発生した殺人事件の捜査に、敏腕刑事の駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)が乗り出す。現場に残された不可解な痕跡、そして被害者の不可解な行動…。事件を追うごとに深まる謎、そして対立しながらも事件の真相に迫っていく裴溯と駱為昭。2人の運命は、そして事件の真相はどこに辿り着くのか?
ネタバレ
光と影が交錯する新元文明253年。特殊な遺伝子変異を持つ人々が引き起こす犯罪、通称「遺伝子犯罪」が社会問題として深刻化していた。街頭では、遺伝子検査法案の早期成立を求めるデモが激化。2年前に新洲政府が提出したこの法案は、放射線被爆による遺伝子異常者を特定し、高止まりする犯罪率の抑制を目的としていた。
犯罪心理学の専門家、裴溯(ペイ・スー)は、この「ゼロ度共感者」と呼ばれる変異者たちに強い興味を抱いていた。大災害級の放射線嵐が生み出した、人口のわずか1.3%しか存在しない異質な存在。彼らは生まれながらにして、遺伝子によって感情の共有を阻害されている。感情を理解できない者、感情を表現できない者…いずれにせよ、彼らは遺伝子に操られる犯罪者なのか? そして、一般の人々は彼らをどのように見ているのか? 神から与えられた試練? 連続殺人鬼? それとも…怪物? 裴溯(ペイ・スー)は、その答えを探していた。
下西区でまたしても死体が発見された。今月に入って既に4件目。捜査協力を要請された駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)は、部下の嵐喬(ラン・チアオ)と陶澤(タオ・ゼ)を引き連れ現場へ急行する。被害者は何宗一(ホー・ゾンイー)。前島から新洲に出稼ぎに来ていた配達員だ。遺体は彼が住む共同住宅の裏路地で発見され、死亡推定時刻は昨夜8時から11時。死因は現在調査中。
ネット上では連続殺人事件の噂が広まっている。被害者の所持品は奪われ、携帯電話と財布は空になった状態で現場に捨てられていた。通報者によると、死者の顔には一枚の紙が被せられ、髪の毛には「10万」と書かれたメモの一部がテープで貼り付けられていたという。現場写真を見た駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)は、メモが偶然そこに落ちたのではなく、犯人が意図的に貼り付けたものだと直感する。
ネットのライブ配信で事件を知った裴溯(ペイ・スー)は、現場に現れる。陶澤(タオ・ゼ)を食事に誘おうとするが、そこに現れた駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)は裴溯に敵意をむき出しにし、2人は火花を散らす。駱為昭は冷たく裴溯を拒絶し、嵐喬と陶澤(タオ・ゼ)と共に車に乗り込み走り去る。しかし、裴溯は諦めない。車で駱為昭を追跡し、執拗に迫る。追跡を振り切ろうとした駱為昭は、わざとパトカーの注意を引き、裴溯を撒くことに成功する。
駱為昭は、現場と犯行動機以外にも気になる点を見つける。同僚の苗小偉(ミャオ・シャオウェイ)によると、何宗一は外出前に服を着替えたという。しかし、その服には値札が付いたままだった。普通、値札が付いたままの服を着るということは、その服が彼の経済状況では高価で、特別な用事のために一度だけ着て返品するつもりだったと考えられる。苗小偉の話では、何宗一は同郷の男に会う予定で、その男と口論になったらしい。しかし、そんな相手に会うためだけに、高価な服をわざわざ借りるだろうか?
一方、裴溯はうっかり陶澤の捜査資料を車のシートの下に落としてしまう。資料の中にあった何宗一の服のタグを見て、駱為昭と同じ疑問を抱く。この服は彼には高価すぎる。裴溯は、何宗一が会おうとしていたのは、彼にとって重要で、かつ権力を持つ人物だと推測する。陶澤は、なぜ権力を持つ人物なのか理解できない。高価ではあるが、サイズも合っていない上に、着ている本人も窮屈そうで場違いな印象を受ける。就職面接でもない限り、彼にとって特別で、経済的に恵まれた人物に会うためだとしか考えられない。裴溯は、自分自身を例に犯人の心理を分析しようとするが、陶澤に危険すぎると止められる。ゼロ度共感者である裴溯が、犯人の心理を推測することは許されないのだ。
『光・淵(こうえん)』第1話 感想
第1話は、重厚な世界観と緻密な伏線で、一気に物語に引き込まれました。遺伝子犯罪という独特な設定、そして謎めいたゼロ度共感者の存在が、このドラマの大きな魅力となっています。特に、裴溯(ペイ・スー)というキャラクターの持つミステリアスな雰囲気と、駱為昭(ルオ・ウェイジャオ)の正義感あふれる性格の対比が印象的。2人の間に漂う緊張感は、今後の展開を予感させ、期待が高まります。
事件の真相もまだ謎に包まれており、散りばめられた手がかりがどのように繋がっていくのか、非常に興味深いです。何宗一(ホー・ゾンイー)の不可解な行動、そして値札のついた服の謎…些細な違和感の一つ一つが、大きな謎を解く鍵となるのでしょうか?緻密に描かれた人間模様と、スリリングな展開から目が離せません。今後のストーリー展開、そして裴溯と駱為昭の関係性の変化に注目しながら、じっくりとこの世界観に浸りたいと思います。
つづく