今回ピックアップするのは、心温まるヒューマンラブストーリー『春色の恋人』。第1話から、なんとも言えない魅力が詰まっていましたね。さっそく、あらすじとネタバレを交えながら、その世界観にどっぷり浸かっていきましょう!
物語は、遺体に最後の尊厳を与える「納棺師」の技術大会から始まります。審査員席に座るのが、本作の主人公の一人、陳麦冬(チェン・マイドン)。彼はただ技術を評価するだけでなく、自ら壇上に立ち、遺体と向き合う姿勢、そして遺族の心に寄り添うことの大切さを説きます。その姿は、まさに“死”のプロフェッショナル。冷静で、どこか影のある雰囲気が漂っています。
一方、もう一人の主人公が、太陽のように明るい女性、荘潔(ジュアン・ジエ)。彼女は上海で簡単な手術を終え、故郷の南坪町へ帰るため、新幹線に乗り込みます。そこで偶然、高校の同級生だった麦冬の姿を見つけるんです。潔は彼の額にある懐かしい傷跡を見て、すぐに彼だと気づき、人懐っこく声をかけます。
ところが、麦冬の反応は最悪。明らかに迷惑そうな顔で、潔のことをナンパ目的の女性だと勘違いしたのか、さっさとその場を立ち去ってしまいます。めげずに追いかける潔ですが、彼の態度は氷のように冷たいまま。「車に乗せてほしい」というお願いも、バッサリと断られてしまう始末。うーん、なんとも気まずい再会ですね。
故郷の南坪町に帰った潔を、家族は温かく迎えます。潔の実家は、鶏の煮込み料理店を営んでいて、町でもなかなかの人気店。しっかり者の母と、優しい継父、そして年の離れた可愛い妹。家族団らんのシーンは、見ていて心が和みます。
その頃、地元の斎場に戻った麦冬は、厄介な仕事に取り掛かっていました。酒の席で急死した男性の友人が、酔っぱらって斎場で大騒ぎしていたのです。麦冬は冷静に彼らをいなし、故人の尊厳を守るため、迅速に火葬の手配を進めます。彼の仕事に対する真摯な姿勢が伝わってくるシーンでした。
さて、物語が大きく動き出すのが、潔と“あるおばあちゃん”との出会い。近所で「孫に嫁を世話してくれないと、ここを動かない!」と大騒ぎしている陳おばあちゃんに遭遇した潔。困っている婦人主任を見かねて、「スマホの“ふるふる”機能を使えばお嫁さんが見つかりますよ!」と機転を利かせてその場を収めます。すると、この陳おばあちゃん、なんと潔のことをすっかり気に入ってしまうんです。
そして、運命のいたずらが…。後日、潔がお店の料理を近所の葬儀に届けに行くと、参列者の中に麦冬の姿が。そして、その隣には…そう、あの陳おばあちゃんがいたのです!潔をいたく気に入ったおばあちゃんこそ、なんと麦冬の祖母だったのでした。気まずい再会を果たした二人が、まさかこんな形で再び繋がるなんて。これから一体どうなっちゃうんでしょうか?
『春色の恋人』第1話の感想
生命力にあふれ、エネルギッシュな荘潔(ジュアン・ジエ)と、死と静かに向き合う納棺師の陳麦冬(チェン・マイドン)。この対照的な二人のキャラクター設定が、物語に深い奥行きを与えているように感じました。田舎町ののどかな風景の中で、いきいきと描かれる「生」の日常と、そのすぐ隣にある「死」という厳粛なテーマ。この二つが交錯することで、単なるラブストーリーに留まらない、心に響く物語が展開されていく予感がします。特に、麦冬が仕事に向かう際の凛とした佇まいと、潔が家族と笑い合う屈託のない表情の対比が印象的でした。コミカルなやり取りと、ハッとさせられるようなシリアスな場面のバランスが絶妙で、初回からすっかり物語の世界に引き込まれました。二人の過去に何があったのか、そしてこの出会いが彼らの人生にどんな変化をもたらすのか、じっくりと見守っていきたいです。
つづく