江南一の大富豪「金銭幇」の跡取り息子・金小宝(きん しょうほう)は、お調子者で女好きなダメ男。数々の縁談を破談にしては父親に叱られる毎日を送っていた。そんなある日、彼は刺客に襲われる謎の美女・鄭懐恩(てい かいおん)と運命的な出会いを果たす。彼女に一目惚れした金小宝は、怪我をした彼女を助け、目的地だという淮州まで同行することに。しかし、懐恩には皇位を巡る争いに関わる重大な秘密が隠されていた。何も知らない金小宝のまっすぐな想いは、やがて大きな陰謀の渦へと二人を巻き込んでいく。

「花華やぐも、散るは密やか ~花開有時、頽靡無声~」あらすじネタバレ1話

ついに始まりましたね、大型宮廷ロマンス『花華やぐも、散るは密やか』!

壮大な歴史絵巻を背景に、どんな物語が紡がれるのかとワクワクしていましたが、第1話から度肝を抜かれました!

物語は、新帝・宗政雲漣(そうせい うんれん)の治世で天下が安定してから十年後の世界。

そんな平和な世で、ひときわお気楽に生きる男がいました。その名も金小宝(きん しょうほう)!

江南一の大富豪「金銭幇」の跡取り息子である彼は、お調子者で女好き。今回も劉(りゅう)家の令嬢との縁談に臨んだものの、「三姉妹みんな美人で選べないから、全員お嫁にほしいな!」なんてトンデモ発言で破談に。いやはや、豪快すぎます(笑)。

「どうして俺はモテないんだ!」と嘆きながら夜道を馬車で走る金小宝。

「こうなったら天下で一番の美女を嫁にする!」とヤケクソ気味に叫んだその時、彼の運命が大きく動き出します。

運命の出会いは血の匂い

夜の闇の中、聞こえてきたのは剣戟の音。野次馬根性で覗いてみると、なんと黒装束の男たちに囲まれている絶世の美女が!

「仙女だ…!」

一瞬で恋に落ちた金小宝は、後先考えず「未来のお嫁さんを助けろ!」と従者たちに命じ、自らも助太刀に。

なんとか刺客を追い払ったものの、美女は深手を負って意識を失ってしまいます。

金家の別邸に彼女を運び込み、つきっきりで看病する金小宝。「俺の娘子(奥さん)が…」と、まだ名も知らぬ彼女にすっかり夢中です。

謎の美女「鄭懐恩」と危険な道中

意識を取り戻した美女は、鄭懐恩(てい かいおん)と名乗ります。親戚を訪ねるため淮州(わいしゅう)へ向かう途中、不運にも賊に襲われたのだと。

「淮州!?奇遇だな、俺もだ!」

もちろん真っ赤な嘘。金小宝は懐恩と少しでも長く一緒にいたいがために、同行を申し出ます。

しかし、この鄭懐恩、ただの美女ではありませんでした。

彼女(?)の正体は、なんと男。しかも、先帝の次男・宗政予湛(そうせい よたん)の息子で、皇位継承の鍵を握る重要人物だったのです。女装していたのは、叔父である慎王(しんおう)の屋敷からある「名簿」を盗み出すため。金小宝が出会ったのは、まさにその逃走中だったというわけです。

何も知らない金小宝は、懐恩を喜ばせようと淮州で人気の芝居に誘います。しかし、その芝居には当の慎王もお忍びで来ていました。

慎王は懐恩の(女装姿の)美しさに目をつけ、自邸に誘います。

これを好機と見た懐恩は、金小宝の必死の引き止めを振り切り、一人で馬を駆って走り去ってしまうのでした。

絶体絶命!愛のために、金小宝、立つ!

「まさか、あのスケベ爺さんのところへ!?」と勘違いした金小宝は、慌てて懐恩を追いかけます。

その頃、懐恩は男の姿に戻り、追ってきた慎王と対峙していました。

「名簿を返せ」と迫る慎王に対し、「これは父上のものだ」と一歩も引かない懐恩。交渉は決裂し、再び命を狙われます。

多勢に無勢、深手を負った懐恩は絶体絶命のピンチに。

「ここまでか…」と覚悟したその時、暗闇から響いたのは、あの能天気な男の声でした。

「待ったー!」

ボロボロの懐恩の前に立ちはだかり、守るように両腕を広げる金小宝。

「こいつは俺の未来の嫁さんだ!指一本触れさせてたまるか!」

自分が何に巻き込まれているのかも知らず、ただ愛しい人を守りたい一心で、強大な敵の前に立つ金小宝。彼のまっすぐな瞳に、懐恩は何を思うのか…。

波乱の幕開けとなった第1話でした!

『花華やぐも、散るは密やか ~花開有時、頽靡無声~』第1話の感想

いやあ、お見事な第1話でした。お調子者の御曹司が謎の美女に一目惚れする王道ラブコメかと思いきや、その裏で皇位継承を巡る重厚な政治劇が静かに進行している。この二つの要素のバランスが絶妙です。金小宝の底抜けの明るさとコミカルさが、シリアスな物語の良い緩衝材になっていて、ぐいぐい引き込まれました。彼が懐恩を「娘子(奥さん)」と呼んで甲斐甲斐しく世話を焼く姿は微笑ましいですが、その相手が実は男で、国の運命を揺るがす重要人物だという事実が、今後の展開にどう影響していくのか。単純な恋物語では終わらない、複雑で奥深い人間ドラマを予感させます。二人の運命がどう交錯していくのか、じっくりと見届けたいと思います。

つづく