物語は1659年の朝鮮、ある監察官が故ソヒョン世子の史草(歴史記録の草稿)を調べる、なんともミステリアスな場面から幕を開けます。そこには、イ・ジャンヒョンという謎の男が世子を惑わしたと記されていました。このジャンヒョンとは一体何者なのか?その謎を追うように、物語は23年前の1636年へと遡ります。
舞台は、のどかな村ヌングン里。ここに、とんでもなくキュートで、とんでもなくワガママなお嬢様がいました。その名もユ・ギルチェ(アン・ウンジン)。村中の男性が彼女に夢中なのに、彼女が想いを寄せるのは成均館(ソンギュングァン)の秀才ナム・ヨンジュン(イ・ハクジュ)ただ一人。でも、そのヨンジュンはギルチェの親友で、しとやかな優等生のキョン・ウネ(イ・ダイン)に夢中という、なんとも切ない三角関係。
そんな中、村では花祭りコッタリムが開かれます。最初は退屈だわなんて言って参加する気のなかったギルチェですが、想い人のヨンジュンが来ると聞くやいなや、一番のオシャレをして参加!その美しさで、ヨンジュン以外の全ての男性の視線を独り占めします。
一方、平和な村とは裏腹に、国は後金(のちの清)との関係が悪化し、戦争の足音が刻一刻と迫っていました。花祭りの場で、ヨンジュンは学者たちに後金を討つべきだ!と熱く訴えます。
その時!本当にそうかな?と、場違いなほど冷静な声で異を唱える男が現れます。彼こそが、この物語のもう一人の主人公、イ・ジャンヒョン(ナムグン・ミン)。彼は明が必ず勝つとは限らないと主張し、学者たちを論破してしまいます。
突然現れたジャンヒョンは何者なのか?村では女たらしで結婚嫌い金で官職を買った鼻持ちならない男と悪い噂で持ちきり。
そんな噂などどこ吹く風、ギルチェはヨンジュンの気を引くため、大胆な作戦決行!ブランコに乗り、わざと落ちて助けてもらおうと画策します。一度目は失敗し、他の男たちが駆け寄る始末。気を取り直して二度目、彼女が再び体勢を崩したその瞬間…!
彼女を抱きとめたのは、ヨンジュンではなく、さっきの謎の男、イ・ジャンヒョンでした。
花の音が聞こえる…
ギルチェの美しさに息をのむジャンヒョン。一方のギルチェは、夢にまで見た運命の出会いが、よりによってこの男だなんて!と最悪の表情。
平和な日常に忍び寄る戦乱の影と、二人の運命的な(そして最悪な)出会い。これから彼らがどんな恋と運命に翻弄されていくのか、目が離せません!
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』第1話の感想
壮大な歴史のうねりと、個人の運命が交錯する物語の始まりに、すっかり引き込まれました。平和な日常が、すぐそこまで迫る戦乱の影でいかに脆いものかが巧みに描かれています。ヒロインのギルチェは天真爛漫で少し計算高いところが人間らしく、謎多き主人公ジャンヒョンとの出会いのシーンは、これからの波乱を予感させて見事でした。二人の関係がどう進展し、厳しい時代をどう生き抜いていくのか、静かに見守りたいと思います。映像の美しさも印象的でした。
つづく