物語は、ギルチェが仕掛けた壮大な(?)恋の作戦から始まります。ブランコからわざと落ちて、意中のヨンジュン様に抱きとめてもらう…はずが、なんと落下地点にいたのは、あの謎の男ジャンヒョン! 計画失敗に気づいたギルチェは、ぱっと態度を変え私と話せるなんて幸運な男ね!と高飛車な捨て台詞を残して去っていきます。この切り替えの速さ、さすがギルチェ様です。
一方、助けたのにお礼も言われず、逆にプライドを傷つけられたジャンヒョンはイライラ。しかし、その様子を見たソンチュ夫婦にありゃギルチェに一目惚れだなと笑われ、さらに機嫌を損ねてしまいます。 でも、このイライラこそが恋の始まりなんですよね。ギルチェにさっさと村から出ていけと言われたことに反発し、なんと村に定住することを決意。役人に米を渡し、ソンチュ夫婦の結婚60周年の祝宴を開くことを交換条件に、村の学堂に通う許可を得るのでした。
その頃、ギルチェはヨンジュンに本当は私のことが好きなんでしょう?と迫りますが、彼は親友ウネの許嫁。君は誰からも好かれるが、ウネには私しかいないと、やんわりと、しかし決定的に断られてしまいます。
ヨンジュンに振り向いてもらうため、都(漢陽)の洗練された女性になろうと決意したギルチェ。その手助けを頼んだ相手は、皮肉にもジャンヒョンでした。ジャンヒョンはギルチェを市場や図書館に連れて行き、都の流行を教えます。さらに、彼女を男装させ、良家の女性は入れない場所で、朝鮮一の歌い手リャンウムの歌を聴かせるのでした。リャンウムの悲しい歌声に、ギルチェは思わず涙を流します。 この一夜を通して、二人の距離は少しだけ縮まったように見えました。
そして、村を挙げてのソンチュ夫婦の祝宴の日。ギルチェはウネと仲睦まじいヨンジュンの姿を見て、またしても大胆な作戦を思いつきます。物置小屋で仮病を使い、ヨンジュンを呼び寄せたのです。二人きりになったギルチェは、ついに想いを告白し、ヨンジュンにキスをしようとしますが…彼はギルチェを突き放します。ウネとの婚約を破る気はないと。
ギルチェの砕け散った恋心。その一部始終を、偶然同じ物置小屋に隠れていたジャンヒョンが聞いていました。ヨンジュンが去った後、ウネが心配してやってくるのをジャンヒョンが機転を利かせてごまかし、ギルチェのプライドを守ります。
他人の男を好きになったのかとからかうジャンヒョンに、ギルチェは激怒。馴れ馴れしいし、顔も嫌い!と罵詈雑言を浴びせます。しかし、そんな彼女にジャンヒョンは衝撃的な言葉を告げるのです。
結婚する気はない。ただ、お前と情熱的な恋がしたい
この大胆すぎる告白に、ギルチェは言葉を失います。 その後、ギルチェはジャンヒョンに本心を打ち明けます。私はただ、変わらない人を愛し、その人と一生を共に過ごしたいだけと。その純粋な言葉に、ジャンヒョンの心が動かされた瞬間でした。
しかし、二人の間に漂い始めた甘い雰囲気を切り裂くように、祝宴の場に凶報が舞い込みます。
異民族が侵攻し、王様が捕らえられたぞ!
平和な村の日常は、突如として終わりを告げたのでした。
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』第2話の感想
第2話は、恋の駆け引きが中心のコミカルな展開から、戦争という過酷な現実へと突き落とされる、緩急の効いた見事な構成でした。ギルチェの恋する乙女ゆえの暴走っぷりは、応援したいような、呆れるような、なんとも言えない愛おしさがあります。そんな彼女をからかいながらも、決定的な場面では必ず助けてくれるジャンヒョンの存在が、物語に安心感と深みを与えています。特に、彼がギルチェに情熱的な恋をしようと告げるシーンは、彼の遊び人風の態度の裏にある本心が見え隠れし、心を掴まれました。平和な祝宴の最後に訪れた突然の戦乱の知らせは、これから彼らがどれほど過酷な運命に翻弄されるのかを予感させ、胸が締め付けられる思いです。二人の恋模様と歴史の大きな渦がどう交錯していくのか、目が離せません。
つづく