深い霧に包まれた狩り場で、世子(セジャ)イ・ファンは悪夢にうなされ目を覚ましました。彼の視線の先には、時折、意に反して動かなくなる忌まわしき右腕が。かつてこの場所で起きた不可解な事件を思い出し、ファンの額には冷や汗が浮かびます。
宮殿内では、世子の腕に関する不吉な噂が囁かれていました。「かつての狩りで、誰もいないはずの場所から矢で射られた」「亡き兄、ウィヒョン世子を手にかけた呪いだ」と。人々は、彼が「鬼の呪い」に取り憑かれていると恐れ、遠巻きに噂するばかり。
もちろん、ファン自身はこれが何者かの策略であると気づいています。しかし、右議政(ウウィジョン)をはじめとする反対勢力は、この「呪い」を絶好の機会と捉えていました。「体に障害を持つ者が、次期王の器であるはずがない」と、彼らはファンを世子の座から引きずり下ろすため、新たな狩りの行事の責任者にファンを推薦し、その腕の障害を公衆の面前で暴こうと画策します。
一方、ファンの幼なじみであり、領議政(ヨンイジョン)の息子であるハン・ソンオンは、間もなく祝言を挙げることになっていました。その相手は、左議政(チャウィジョン)の娘で、聡明かつ快活な女性、ミン・ジェイ。ファンもまた、幼い頃に道に迷った際、利発なジェイに助けられた記憶を懐かしく思い出していました。
しかし、婚礼を目前に控えたある夜、悲劇が起こります。なんと、ジェイの一家が皆殺しにされ、現場から姿を消したジェイが殺人犯として指名手配されてしまったのです。ジェイの恋人を名乗る男が自首したとの報せもありましたが、婚約者のソンオンは到底信じることができません。
家族を失い、一夜にして殺人犯の濡れ衣を着せられたジェイ。彼女は、侍女であり親友でもあるチャン・ガラムの手引きでなんとか逃げ延びます。追っ手に追い詰められ、崖から湖へ身を投げたジェイは、薄れゆく意識の中で、父が死の直前に託した一通の手紙を思い出します。――真実を突き止めるには、世子イ・ファンに会うしかない。傷だらけの体を引きずり、彼女は固く決意するのでした。
その頃、ファンは再び呪いの手紙を受け取ります。そこには「お前の腕は役に立たず、友はお前を裏切るだろう」という不吉な言葉が。
そして、運命の狩りの日。ファンは護衛のテガンと共に森の奥深くへと入っていきますが、獲物を追ううちにはぐれてしまいます。静寂が支配する森の中、ファンがふと顔を上げると、その先には自分に狙いを定める弓矢が…。呪われた世子と、汚名を着せられた令嬢。まだ出会う前の二人の上で、巨大な陰謀の歯車が静かに、そして確実に回り始めていました。
『青春ウォルダム 呪われた王宮』第1話の感想
初回から、重厚なミステリーと宮廷内の息詰まる権力争いが非常に濃密に描かれており、一気に物語の世界へ引き込まれました。主人公のイ・ファンが抱える「呪い」と、ヒロインのミン・ジェイにかけられた「一家惨殺の濡れ衣」という、二つの大きな謎が巧みに提示されています。それぞれが絶望的な状況にありながらも、決して屈しない強い意志を持っている点が魅力的です。特に、聡明で行動力のあるジェイが、自らの手で運命を切り開こうとする姿は応援せずにはいられません。キャラクターたちの背景や関係性も丁寧に描写されており、今後の展開で彼らがどのように絡み合い、巨大な陰謀の真相に迫っていくのか、期待が膨らむ初回でした。
つづく