まるで絵に描いたような豪華な邸宅。1998年の夏、ひとりのみすぼらしい少女がその門をくぐりました。彼女の名前はミン・チェリン。孤児院からこの家に引き取られた彼女は、これから始まる新しい生活に胸を膨らませていたことでしょう。しかし、チェリンを待ち受けていたのは、温かい家庭ではなく、底知れぬ闇の始まりでした。

この家の令嬢ミン・スアは、生まれつき体が弱く、いつ命を落としてもおかしくない状態でした。孫娘を溺愛する祖母であり、大手化粧品会社「パシフィック化粧品」の創業者でもあるナ・ヘグム会長は、巫堂(ムーダン)の助言に従い、スアの「身代わり」としてチェリンを養子に迎えたのです。スアに降りかかる災いをすべてチェリンに背負わせるための、恐ろしい儀式のために。何も知らないチェリンは、スアの隣に寝かされ、二人は赤い糸で結ばれます。眠ったふりをしながら、彼女は自分の運命を知ってしまうのでした。

そして20年の時が流れた2018年。

あの日の少女チェリンは、パシフィック化粧品の専務理事として、誰もが羨む華やかなキャリアウーマンに成長していました。自ら開発した化粧品を大ヒットさせ、インタビューでは自信に満ちた笑顔を見せます。しかし、その成功をテレビで見ていた祖母ナ・ヘグムは、チェリンを「不吉なもの」と忌々しげに罵るのでした。

この家には、20年前に起きた誘拐事件の傷跡が今も深く残っています。一人娘のスアを誘拐され失った母パク・ヘランは、心を病み、正気を失いかけていました。そんな母を慰めるため、チェリンはスアが生きていた頃の姿に変えられ、スアの「代役」を演じることを強いられます。幼い頃、母とスアが楽しげに歌う姿を木の陰から寂しく見ていたチェリン。今、彼女は狂気に囚われた母のために、その歌を歌うのです。

しかし、その痛々しい献身ですら、祖母ヘグムには届きません。ヘグムは、チェリンがスアの帰りを妨げていると信じ込み、彼女に激しい憎しみをぶつけます。「お前がスアの帰りを邪魔しているんだろう!」と罵られ、身につけてもいない呪符を持っていると疑われたチェリンは、泣きながら服を脱ぎ捨て、自らの潔白を証明しようとします。彼女の心は、絶望と悲しみで張り裂けそうでした。

一方、パシフィック化粧品の販売員として働くハ・ヨンジュは、明るく前向きな女性。テレビの中のチェリンに憧れ、母と仲睦まじく暮らしています。彼女の婚約者は、巨大企業テサングループの御曹司ムン・ジェサンの秘書兼運転手を務めるチャ・ウニョク。実はウニョクは、ジェサンの父であるムン・テサン会長の密命を受け、放蕩息子であるジェサンを監視していました。そんな中、ウニョクは盗聴によって、ジェサンが誰にも知られていない「秘密資金」を隠し持っていることを突き止めるのです。

華やかな世界の裏で渦巻く、歪んだ愛情と憎しみ。身代わりとして生きることを強いられたチェリンの運命は、そして行方不明のスアの行方は?物語は、複雑な人間模様をはらみながら、静かに、しかし激しく動き始めます。

『かくれんぼ』第1話の感想

第1話から、登場人物たちが抱える闇の深さに引き込まれました。主人公チェリンが置かれた「身代わり」という境遇はあまりに過酷で、胸が痛みます。成功したキャリアウーマンという華やかな仮面の下で、家族から愛されることなく、ただ利用されるだけの存在。特に、祖母から憎悪をぶつけられ、自らの潔白を証明するために服を脱ぎ捨てるシーンは、彼女の絶望と怒りが伝わってきて、見ていて非常に苦しかったです。一方で、ハ・ヨンジュの明るいキャラクターが、このドラマの重苦しい雰囲気の中での唯一の救いのように感じられました。彼女の存在が、暗い運命を背負うチェリンとどう交差していくのか。また、チャ・ウニョクが掴んだ「秘密資金」の謎も、今後の物語にサスペンスの要素を加えてくれそうで、様々な角度から物語の展開を想像させられます。人間の欲望や愛情の歪みが巧みに描かれており、今後の物語がどのように進んでいくのか、目が離せません。

つづく