いやあ、始まりましたね、話題のドラマ『パイン ならず者たち』!初回からとんでもないスケールと、胡散臭い人間たちの駆け引きが炸裂していて、もう目が離せませんでした。
物語は遥か昔、1323年に中国から博多へ向かっていた貿易船が、莫大な財宝と共に新安(シナン)の沖に沈んだという伝説から幕を開けます。そして舞台は一気に1962年へ。
主人公の一人、オ・ヒドンは、反政府主義者と噂される父親のせいで警察に絡まれるような青年時代を送っていました。そんな彼をいつも守ってくれたのが、叔父のオ・グァンソク。グァンソクは「世の中は人間を中心に回るんだ」なんて言いながら、ヒドンに詐欺や盗みのイロハを叩き込みます。血は水よりも濃いと言いますが、この叔父と甥の場合は「盗人稼業の絆」で結ばれた、まさに最強のコンビってわけです。
しかし、そんな彼らの幸運も長くは続かず、あえなく御用となり刑務所へ。そこでグァンソクは、骨董品の密輸と詐欺で名を馳せた旧知のソン・キテクと再会します。先に出所したキテクは、グァンソクに意味深な再会の約束を交わすのでした。
出所後、ヒドンは恋人との結婚を夢見ていましたが、あっけなくフラれて傷心。そんな彼にグァンソクは「愛に期待しすぎるからだ」と茶化しつつ、キテクが持ちかけてきたデカい儲け話に誘います。
二人が訪れたキテクの骨董品店で聞かされたのは、あの新安沖に沈んだ陶磁器を引き揚げるという、とんでもない計画でした。しかし、提示された前金はたったの40万ウォン。あまりの安さに、グァンソクの詐欺師の勘が「これは裏がある」と警鐘を鳴らします。
グァンソクは真相を探るべく、ヒドンを木浦(モッポ)へ調査に向かわせます。そこでヒドンは、グァンソクのまたいとこであるマダム・チャンや、ミステリアスな女性キム・ミンと出会います。地元の船長たちによれば、宝の噂は周知の事実で、一度は政府も調査に乗り出しましたが、数点の陶磁器を見つけただけで諦めたとのこと。
ヒドンがグァンソクに電話で報告していると、なんとキム・ミンがその会話を盗み聞き!彼女は船長たちに雇われてヒドンを監視していると明かし、逆に取引を持ちかけてきます。まさに一筋縄ではいかない連中ばかり。
その頃、ソウルではグァンソクがキテクを尾行し、この計画の黒幕であるチョン会長の存在を突き止めます。グァンソクはキテクと再交渉。すると、チョン会長はこの計画が成功しようが失敗しようが金を払うこと、さらにキテクが万が一のために偽物の陶磁器まで用意していることが判明します。とんでもない大魚がいると確信したグァンソクは、もっと大きな勝負を仕掛けることを決意するのでした。
新たな条件で話はまとまり、キテクは100万ウォンを用意。しかし、ここでキテクは自分の部下であるデシクを同行させると言い出します。ヒドンはこのデシクが気に食わず、早速いびり始めます。
さらに、一行がチョン会長に挨拶に行くと、今度は会長が「妻の右腕であるジョンチョルも連れて行け」と命令。ヒドンのイライラは最高潮に。会長の妻ジョンスクは、学校経営のために博物館を建設しようと計画しており、その展示品として骨董品を欲していたのです。
こうして、胡散臭い叔父と甥のコンビに、雇い主の監視役、そして黒幕の監視役まで加わった、まさに「ならず者」だらけのチームが結成されます。彼らを乗せて木浦へ向かう列車の中で、案の定ジョンチョルが乗客と大喧嘩を始める始末。前途多難すぎる宝探しの旅が、こうして幕を開けたのでした。
『パイン ならず者たち』第1話の感想
詐欺師やならず者たちが、それぞれの欲望を胸に一つの宝を目指す。この手の物語は数あれど、本作は登場人物たちのキャラクター造形が実に巧みだと感じた。誰が味方で誰が敵なのか、腹の探り合いが続く序盤は、派手なアクションがなくとも静かな緊張感に満ちている。特に、老獪な叔父グァンソクと、短気ながらも叔父を慕う甥ヒドンの関係性が物語の軸としてしっかり機能しており、彼らの会話劇だけでも十分に面白い。壮大な宝探しというロマンが、一筋縄ではいかない人間たちの生々しいドラマに発展していく予感がひしひしと伝わってくる。彼らが掘り当てるのは果たして財宝か、それとも破滅か。じっくりと見届けたいと思わせる、重厚な幕開けだった。
つづく