ついに始まりましたね!朝鮮王朝史上、最もパワフルな女性の一人、元敬王后の物語。初回から、彼女の激しい生き様が凝縮されたような展開でした。
物語は、ミン氏(後の元敬王后)が夫イ・バンウォンを王座に就かせる、まさにその瞬間から幕を開けます。父である王が、自分の弟を後継者に指名したことに反発し、夫に鎧を着せ、反乱を促した彼女。その甲斐あって、バンウォンは王位を手にしますが、その過程で異母弟を殺害。この一件が、父である先王・太祖の消えない憎しみを生むことになります。
華やかな即位式が執り行われ、宮殿は祝宴ムードに包まれます。しかし、その裏でバンウォンの心は穏やかではありませんでした。妻の兄たちが「もし姉上が男に生まれていたら、もっと偉大な王になっただろう」と冗談めかして笑う声を耳にしてしまうのです。妻とその一族の力なくして今の自分はない。その事実が、彼のプライドを静かに、しかし確実に蝕んでいきます。
一方、元敬はスパイを使い、民衆の中に夫の王位継承に対する疑念の声が渦巻いていることを掴んでいました。不安に駆られるバンウォンを「私たちが共に勝ち取った王座です」と力強く励ます元敬。しかし、バンウォンの心には、妻への感謝よりも、彼女の存在そのものへのプレッシャーが募っていきます。
そんな中、物語に新たな火種が投下されます。かつて王大妃に仕えていた女官が、実はバンウォンの子(世子)を密かに育てていたことが発覚。役人ハ・リュンを通じて、その事実が宮廷に知らされるのです。
そして、運命の初夜。王と王妃が床を共にするその日、なんと暗殺者が二人を襲撃!絶体絶命の危機に、元敬はただ守られるだけのか弱い王妃ではありませんでした。自ら剣を抜き、バンウォンの命を幾度となく救う獅子奮迅の活躍を見せます。
しかし、この一件が皮肉にも二人の関係に決定的な亀裂を生んでしまいます。翌日、バンウォンは父との確執、そして妻の一族への負い目を改めて痛感。何より、自分を凌駕するほどの妻の強さに、屈辱と脅威を感じ始めるのです。
元敬は、先王との問題を自ら解決しようとしますが、バンウォンは彼女の権威を叩き潰すかのように、一方的に隠し子を産んだ女官ヨンシルを宮殿に迎えることを決定。王妃としての面目は丸潰れです。
抗議する元敬に対し、バンウォンは冷たく言い放ちます。「そなたはもはや対等なパートナーではない。私の臣下なのだ」と。
そして迎えた二度目の夜。バンウォンは元敬の寝所を訪れるも、何もせずに出て行ってしまいます。そして、その足で向かったのは、元敬が最も信頼していた側近の女官の部屋でした。彼女を側室として迎え、一夜を共にするという、これ以上ないほどの精神的な屈辱を与えたのです。王妃として最高の地位に上り詰めたはずの元敬。しかし、それは栄光ではなく、孤独と屈辱に満ちた戦いの始まりに過ぎませんでした。
『元敬(ウォンギョン)~欲望の王妃~』第1-2話の感想
初回から、夫婦であり最高の政治パートナーであったはずの二人の関係が、権力という名の魔物によっていかに脆く崩れ去っていくかを見せつけられました。夫を王にするために全てを捧げた元敬の功績が、王となった夫のプライドを傷つけ、彼女を追い詰める要因になってしまう皮肉な構図には、思わず息を呑みます。特に、命を救ったはずの強さが、逆に夫からの疎外と屈辱を招く展開は、非常に残酷で印象的でした。単なる嫉妬や愛憎劇ではなく、権力の非情さと、その中で翻弄される人間の業が深く描かれており、物語の重厚さを感じさせます。これから元敬がこの仕打ちにどう立ち向かっていくのか、彼女の反撃から目が離せそうにありません。
つづく