いやはや、『元敬』の第3-4話、息つく暇もないとはこのことですね。王妃・元敬の周りが敵だらけになっていく様は、見ているこちらの胃がキリキリするほどでした。早速、波乱万丈の第3-4話を振り返っていきましょう!
四面楚歌の王妃・元敬
前回、王である夫イ・バンウォンから、自身の侍女であるチェリョンを側室として差し出すよう命じられた元敬。第2話は、その屈辱的な命令を受け入れ、チェリョンを王の元へ送り出す準備をするところから始まります。
しかし、チェリョンは涙ながらに元敬に助けを求めます。「王妃様、お助けください!」と懇願する彼女の姿に、元敬の心は揺れます。実はチェリョンは、幼い頃に奴婢として売られそうになっていたところを、元敬が救い出し、我が子のように育ててきた侍女だったのです。それでも、王命には逆らえません。元敬は断腸の思いでチェリョンを中宮殿から追い出し、別殿に独りで住まわせることに。「あなたのせいではない」と告げながらも、二度とそばには置かないと決別するのでした。この一件が、チェリョンの心を静かに蝕んでいきます。
後宮の嵐と実家の危機
元敬の苦難はそれだけではありません。側室のヨンシルが、王子の学業が疎かになっていることを口実に中宮殿に乗り込んできます。「王様は昨夜も私の元へ…」と王との親密さをこれ見よがしに自慢し、王に寵愛されていない元敬を公然と嘲笑うヨンシル。ついに堪忍袋の緒が切れた元敬は、ヨンシルの頬を思い切り平手打ち!ヨンシルは歪んだ笑みを浮かべてその場を去りますが、この一撃がさらなる火種となるのです。
時を同じくして、元敬の兄たちが血相を変えて駆けつけてきます。王が、王妃の実家であるミン氏一族に対して敵意を強め、権力を削ごうと画策しているというのです。政治の機微を鋭く察知した元敬は、一族の破滅を避けるため、兄たちに「今すぐ官職を返上し、身を引いてください」と苦渋の決断を迫るのでした。
黒化するチェリョンと太祖の罠
一方、元敬から見捨てられ、後宮で孤立無援となったチェリョン。そこに目をつけたのが、あのヨンシルでした。同盟を結ぼうと近づいてきますが、チェリョンはもはやかつての純真な少女ではありません。ヨンシルの誘いを逆手に取り、生き残るための道を模索し始めます。
彼女は宮女に変装して元敬の寝殿に忍び込み、「もう一度おそばに」と跪きますが、冷たく拒絶されます。完全に希望を断たれたチェリョンは、ついに一線を越える決意を固めました。王の側近の宮女を買収し、夜伽の機会をセッティングさせたのです。
そして王が彼女の元を訪れると、チェリョンは切り札を切ります。元敬と兄たちの密談内容を王に密告することを引き換えに、「月に二度、必ず私の元へお越しください」という約束を取り付けたのでした。かつての主を売り、王の寵愛という名の庇護を手に入れた瞬間でした。
そんな中、朝廷に不穏な知らせが舞い込みます。引退した先王・太祖(イ・ソンゲ)が、王と王妃を寺の鐘の奉納式に招待したというのです。儒教を国教とする王室が仏教の儀式に参加するのは異例中の異例。元敬が送り込んだ密偵からの報告で、この鐘には恐ろしい陰謀が隠されていることが判明します。しかし、父である太祖の命令を断ることはできません。王と元敬は、罠だと知りながらも寺へと向かうのでした。
寺に到着し、巨大な鐘を前にした元敬たち。密偵が鐘の内部に仕掛けられた凶器を確認した、まさにその時…!太祖が鐘の中からトゲのついた巨大な鉄球を取り出し、憎しみに満ちた目で息子である王の後頭部めがけて振り下ろしたところで、第2話は幕を閉じます。
『元敬~欲望の王妃~』第2話の感想
第2話は、元敬が公私にわたって追い詰められていく過程が、実に丁寧に描かれていました。後宮では側室のヨンシルに尊厳を傷つけられ、実家は夫である王から粛清の対象とされ、まさに四面楚歌。その上、我が子同然に育ててきた侍女チェリョンの裏切りは、彼女の心を深く抉ったことでしょう。チェリョンが生き残るために悪に染まっていく姿は、同情を禁じ得ません。一方で、先王・太祖が息子に対して剥き出しの殺意を見せるラストシーンは圧巻でした。単なる後宮の愛憎劇に留まらず、血で血を洗う王家の骨肉の争いと、激しい政治闘争が絡み合い、物語に重厚な深みを与えています。静かながらも燃え盛る炎のような女性たちの執念と、権力者たちの非情な策略から目が離せません。
つづく