物語は、王の命を狙う刺客から、ウォンギョンが身を挺して夫を守る衝撃的なシーンから幕を開けます。彼女の背中に受けた一撃は、王の命を救いましたが、同時に夫婦の間に新たな亀裂を生むきっかけとなってしまいました。
王イ・バンウォンは、父である上王イ・ソンゲの私兵組織「カビョルチョ」が襲撃の黒幕だと突き止めます。さらに厄介なことに、この私兵たちは国の正規軍にも紛れ込んでいるという事実が判明。彼らの狙いは、バンウォンを暗殺し、彼の唯一生き残っている兄、チョンアン君(後の定宗、作中ではサンワンと呼ばれている)を新たな王に据えることでした。父ソンゲもまた、息子バンウォンが王の器ではないと断じ、この計画を裏で操っていたのです。
一方で、ウォンギョンが襲撃を事前に察知していたかのような動きを見せたことに、バンウォンは疑念を抱きます。ウォンギョンは「偶然」だと説明しますが、彼女は弟たちと共に独自の全国的な情報網を秘密裏に維持していました。王妃が私的な情報組織を持つことは、王の権威を脅かすものとして固く禁じられているため、決して知られてはならない秘密です。
ウォンギョンの功績によって彼女の影響力が増すことを恐れたバンウォンは、なんと臣下たちに「王妃の廃位」を議論させるという非情な手段に出ます。自分の力を誇示するための、あまりにも冷たい仕打ち。しかし、ウォンギョンは少しも動じません。彼女は、この襲撃事件が、兄サンワンを王位に就けるための壮大な反逆計画の一部であることを見抜いていました。
そんな中、側室のチェリョンが不穏な動きを見せます。王の寵愛を得て世継ぎを産むことで自らの地位を確立しようと野心を燃やす彼女は、ついにウォンギョンを裏切ることを決意。夜更けに王の寝所を訪れたチェリョンは、ウォンギョンに関する情報を王に提供する見返りに「王自身を与える」という密約を交わすのでした。
王宮内の権力争いが激化する中、明からの使節が訪れたことで、王妃廃位の話は一時中断されます。明は内戦の真っ只中にあり、どちらの勢力を支持するかは国の未来を左右する重大な決断です。臣下たちは、明との交渉の架け橋として、ウォンギョンに協力を求めるよう王に進言。王はウォンギョンに、父ソンゲを説得するよう依頼しますが、交渉は決裂に終わってしまいます。
王と王妃、父と子、そして側室の野望が複雑に絡み合い、物語はさらに予測不能な方向へと進んでいきます。
『元敬~欲望の王妃~』第3話の感想
今回のエピソードは、権力の頂点に立つ夫婦の孤独と、信頼がいかに脆いものであるかを深く描いていました。王を救った功労者であるはずのウォンギョンが、その功績ゆえに夫から疎まれ、廃位の危機に晒される皮肉な展開には、権力の世界の非情さを改めて感じさせられます。彼女が脅威に屈せず、冷静に状況を分析し、次の一手を考える姿は、まさに「王妃」の器。一方で、父からも認められず、常に暗殺の恐怖に怯える王バンウォンの人間的な弱さや孤独も描かれており、単なる悪役ではない彼の複雑な内面に引き込まれました。夫婦でありながら互いに腹の内を探り合い、時には敵対する二人の関係性は、非常に緊張感があり、物語に重厚な深みを与えています。
つづく