いやはや、とんでもないドラマが始まってしまいましたね…『悪魔判事』。舞台は、謎の疫病によって荒廃し、貧富の差が極限まで広がったディストピア韓国。国民の怒りが渦巻く中、政府が打ち出した切り札は、なんと「国民参加型の公開裁判」!
そのショーのような裁判の裁判長に任命されたのが、我らがカン・ヨハン(チソン)!貴族のような優雅な出で立ちで、国民からは絶大な人気を誇るスター判事です。大統領が司法改革を宣言する中、颯爽と登場したヨハンは「権力は自ら証明するものだ」と言い放ち、そのカリスマ性で一気に場の空気を支配します。
正義の判事を監視せよ!ガオンの潜入
そんな華やかなヨハンのもとに、一人の若き判事が送り込まれます。彼の名はキム・ガオン(ジニョン)。彼は、恩師である大法官ミン・ジョンホから「カン・ヨハンを監視しろ」という特命を受けていたのです。過去に詐欺で両親を亡くした辛い経験を持つガオンは、強い正義感を胸に、ヨハンの裁判部へと潜入します。
ある日の帰り道、ガオンは暴走するスクールバスから女子生徒を救おうとします。絶体絶命のピンチ!そのとき、どこからともなく現れたヨハンが、なんと銃を発砲してバスを強制的に停止させるのです。ガオンの命は救われましたが、彼は法を無視したかのようなヨハンのやり方に、強い不信感を抱きます。
最初の裁判は、巨大企業の闇
国民が注目する最初の公開裁判の被告は、化学企業のチュ・イルド会長。彼が経営する工場から違法に排出された汚水が原因で、多くの住民が命を落としたり、重い病を患ったりしていました。スクールバスの運転手も、この事件で幼い娘を亡くした被害者の一人だったのです。
ガオンは、幼なじみの刑事ユン・スヒョンの協力を得て、ヨハンのオフィスに盗聴器を仕掛け、彼の動向を探ります。すると、ヨハンが被告であるチュ会長の弁護士と密会しているのを目撃!「やはりヨハンは裏で何か企んでいる…」ガオンの疑いは確信に変わっていきます。
衝撃の判決!ヨハンの涙の真意は…
いよいよ始まった公開裁判。全国民がスマホを片手に見守ります。弁護側は、汚染水は無害だと主張する学者を証人として呼び、有利に裁判を進めようとします。しかし、ヨハンは動じません。その学者に「浄化した汚染水です」と偽って水を差し出し、彼がパニックを起こして吐き出す姿を全国に晒すことで、証言が嘘であることを鮮やかに暴いてみせました。
さらにヨハンは、被告のチュ会長を巧みに誘導し、涙ながらに罪を認めさせ、反省しているかのような雰囲気を作り出します。それを見ていたガオンは「これは罪を軽くするための芝居だ」と確信します。
そして、判決の時。法廷の中央に進み出たヨハンは、被害者たちの写真をスクリーンに映し出し、涙ながらにこう言い渡します。
「被告、チュ・イルドに懲役235年を宣告する」
予想だにしなかった重罰に、法廷は歓声に包まれ、被害者家族は泣き崩れてヨハンに感謝します。ただ一人、キム・ガオンだけが、何が起きたのか理解できず、呆然と立ち尽くすのでした。
『悪魔判事』第1話の感想
このドラマ、ただの法廷モノではありませんね。ディストピアという重苦しい世界観の中で行われる「公開裁判」という設定が、まず強烈なインパクトを与えてきます。国民がエンターテイメントのように裁判を消費し、熱狂する様子は、現代社会への皮肉も感じさせ、非常に興味深いです。
そして何より、チソン演じるカン・ヨハンの存在感が圧倒的。彼が民衆の望む「正義のヒーロー」なのか、それとも法を弄ぶ「悪魔」なのか、初回から全く底が見えません。キム・ガオンの視点を通して、視聴者もまたヨハンという人物に翻弄されていきます。彼の行動は一見、痛快な勧善懲悪に見えますが、その手法は明らかに常軌を逸しており、危うさを感じさせます。この複雑で多面的なキャラクター造形が、物語に深い奥行きを与えていると感じました。
つづく