衝撃の公開裁判が終わった後、裁判長のカン・ヨハンは、まだ呆然と立ち尽くす陪席判事のキム・ガオンにふと笑いかけます。涙を流しながらあくびをするという奇妙な姿に、ガオンはますます混乱するばかり。ヨハンはそんなガオンと、興奮冷めやらぬもう一人の陪席判事オ・ジンジュを食事に誘います。

ヨハンが振る舞ったのは、なんと自ら狩ったという猪の肉。彼はその狩りの過程を得意げに語りますが、ガオンの興味はヨハンの家柄にありました。ヨハンの父親が高利貸しで、多くの人を破滅させたと聞いた瞬間、ガオンの顔色が変わります。彼の両親もまた、高利貸しによって死に追いやられた過去があったのです。食事を楽しむ気分ではなくなったガオンは、その場を立ち去ってしまいます。

その帰り道、ガオンは高級スポーツカーが暴走し、古紙を集める老人をはねて逃走する場面を目撃します。運転していたのは、法務部長官チャ・ギョンヒの息子、イ・ヨンミンでした。

一方、チャ・ギョンヒは、先の裁判がソ・ジョンハク大統領の筋書き通りだったと確信し、直接問い詰めます。しかし、そこに現れた社会的責任財団の理事チョン・ソナに、うまく言いくるめられてしまうのでした。

ガオンは、恩師であるミン・ジョンホ大法官の指示で仕掛けた盗聴器で、ヨハンの監視を続けます。しかし、得られる情報は断片的で、ヨハンの真意は掴めません。ガオンは幼なじみの刑事ユン・スヒョンに相談し、共にヨハンの周辺を探り始めます。

そんな中、ガオンとスヒョンは再び暴走するイ・ヨンミンの車に遭遇。二人が後を追うと、突如として別の車が猛スピードでヨンミンに迫ります。運転していたのは、なんとカン・ヨハンでした。白熱のカーチェイスの末、ヨハンはヨンミンの車を停車させると、トランクから斧を取り出し、その高級車をメチャクチャに破壊!さらには車内から薬物の入った袋を見つけ出し、呆然とするヨンミンを残して去っていきます。その一部始終を見ていたガオンとスヒョンは、言葉を失うしかありませんでした。

ヨハンの行動は常軌を逸しています。ガオンはネットでヨハンの過去を調べ、彼を「悪魔」と呼ぶ人物の書き込みを見つけます。その人物、教会の神父に会って話を聞くと、ヨハンの少年時代の恐ろしいエピソードが語られました。教室に迷い込んできた小鳥を平然と殺し、富裕層と貧困層の生徒間のトラブルを微笑みながら眺めていたというのです。

その頃、ヨハンは慈善ファッションショーに出席していました。そこにはチャ・ギョンヒと息子のイ・ヨンミンも。ヨンミンは自分を追い詰めたヨハンに憎しみの視線を向けますが、母に促され、しぶしぶ握手を交わします。

同じ夜、ガオンはヨハンのオフィスに忍び込みますが、仕掛けたはずの盗聴器は既に取り外されていました。ヨハンに全て気づかれていたことに愕然とするガオン。その瞬間、壁の向こうから時を刻むタイマーの音が聞こえてきます。ガオンは考えるより先に、オフィスに戻ってきたヨハンを突き飛ばし、その身をかばいました。直後、凄まじい爆発が起き、二人は炎に包まれてしまいます。

『悪魔判事』第2話の感想

第2話は、カン・ヨハンの「正義」が持つ異常性と危険性が一気に加速した回でした。法廷の外では、斧で車を破壊し、ターゲットを精神的に追い詰めるなど、そのやり方はまさに悪魔的。しかし、彼が標的にするのは、法では裁ききれない腐敗した権力者たちです。その過激な手法に眉をひそめつつも、どこかで喝采を送りたくなる自分もいて、視聴者自身の倫理観が鋭く問われるようでした。キム・ガオンがヨハンの過去に触れ、彼の人間性の根源を探ろうとするサスペンスフルな展開と、チョン・ソナという新たな謎の人物の登場で、物語の奥行きが一層深まりました。善と悪の境界線が曖昧になっていく中で、キャラクターたちの思惑が複雑に絡み合い、目が離せない濃密な一時間でした。

つづく