落ちた英雄、どん底からの再スタート

物語は3年前、2022年のソウル。ラグビー日韓戦でチームを勝利に導いたエース、チュ・ガラム。彼は国民的英雄でした。でも、その栄光はドーピング疑惑であっけなく崩れ去ります。金メダルを剥奪され、彼は表舞台から姿を消したんです。

そして現在。ガラムの母校、ハニャン高校のラグビー部は、何年も勝利から見放され、コーチもいない廃部寸前の状態。教頭先生なんて、さっさと部を潰して選手たちを転校させようと躍起になってる始末。

そんな絶望的な会議の場に、校長が「新しいコーチを雇った」と宣言して現れたのが、なんとあのチュ・ガラム! 「ドーピング野郎がコーチだと!?」と教師たちは大騒ぎ。まあ、そりゃそうだよね。でも、選手としての資格はなくても、コーチの資格は持っているから法的には問題なし。

早速、練習試合が組まれていたグラウンドへ向かうガラムと校長。しかし、新コーチがガラムだと知ったキャプテンのソンジュンは、試合を放棄して選手たちを引き連れてフィールドを去ってしまうんです。前途多難なんてレベルじゃない、いきなりの総スカン状態!

四面楚歌! 敵だらけの学園

ガラムの敵は選手だけじゃありません。

まず、3年間も音信不通で放置した元カノのイジとの気まずい再会。彼女は射撃部に所属してるんだけど、コーチのジョンホからは「才能ないんだから、エースたちの銃でも磨いてろ」なんてパワハラまがいの扱いを受けてる。この2人の関係も、今後どうなることやら…。

そして、選手たち。彼らはガラムを信じられず、前のキムコーチに「戻ってきてください!」と頼み込みに行きます。でも、キムコーチから返ってきたのは「お前らみたいな万年負け組のせいで俺の経歴に傷がつく。逃げ出したんだよ!」という衝撃の言葉。ひ、ひどすぎる…。

さらに、学校の大人たちが一番タチが悪い! 教頭、エアロビクスのコーチ、射撃部のコーチは、ラグビー部を潰してその予算を自分たちの部に回そうと結託。PTA会長で教育副監督官という超大物のナ氏を抱き込み、ガラムの解任を求める嘆願書を校長に突きつけます。権力を使って、正々堂々じゃないやり方で追い詰めてくるんですよ。

このナ氏の娘がまた厄介で、射撃部のエースであるソリョン。彼女のわがままで、練習が終わったウジンが無理やり練習パートナーをさせられる場面も。親の七光りってやつですね。

反撃の狼煙は、豚の頭に!?

保護者会からの申し立てで、ガラムはまさかの停職処分に。コーチ不在となったラグビー部は、練習場所もまともに与えられず、他の部活から嫌がらせを受ける始末。

そして、運命の「通過儀礼の式典」。ラグビー部は、この大事な式典の席すら用意してもらえないという屈辱を味わいます。もう終わりだ…誰もがそう思ったその時!

ガラムは黙って引き下がらなかった!

彼は式典のど真ん中で、お供え物である豚の頭のケーキに向かって、美しいフォームからラグビーボールをスロー! ボールはど真ん中に命中し、ケーキのクリームが教頭と射撃コーチの顔面に炸裂!

いやー、最高にロックで反抗的なやり方で、「俺はここにいるぞ!」と宣戦布告したわけです。静まり返る会場。呆然とする大人たち。この瞬間、止まっていた歯車が、確かに動き出したのを感じましたね!

『TRY 〜僕たちは奇跡になる〜』第1話の感想

王道のスポーツ再生物語かと思いきや、初回から主人公の過去の謎、学内の陰湿な権力争い、選手たちの抱える葛藤が複雑に絡み合い、非常に見ごたえのあるスタートでした。単なる熱血ドラマではない、人間ドラマとしての深みを感じさせます。特に、すべてを失った主人公ガラムが、不器用ながらも自分なりのやり方で巨大な権力に一矢報いるラストシーンは、理不尽さに立ち向かう強い意志の表れで、胸がすく思いでした。彼がこれからどうやってバラバラになったチームの心を掴み、信頼を勝ち得ていくのか。そして、ドーピング疑惑の裏に隠された真実とは何なのか。多くの謎と課題を提示され、このチームが起こすであろう「奇跡」の第一歩を、しっかりと見届けたい気持ちにさせられる、そんな力強い第1話でした。

つづく