リアルじゃない日常の始まり
主人公のイ・シギョンは、どうしようもない高校生だ。学校をサボってネカフェに入り浸る。人生のすべてをオンラインゲームに捧げている。母親にバレては、必死にごまかす毎日だ。
彼の妹のシヨンも、なかなかの人物。コスプレが趣味のオタクで、態度はいつも喧嘩腰。この兄妹、そろってちょっと社会性が足りない感じがするよな。
そんなある日、事件が起きる。母親が経営する食堂が、借金取りにめちゃくちゃにされたんだ。もうここにはいられない。母親は、シギョンとシヨンを連れて家を出ることを決意する。行き先は、ずっと疎遠だった姑、つまり兄妹の祖母が住む田舎。ほとんど夜逃げみたいな引っ越しだった。
田舎町は、死の香りがした
都会から逃げるようにやってきた田舎町。シギョンがそこで最初に見た光景は、かなり衝撃的だった。少女が木からぶら下がっている。まるで死体みたいに。彼女の名前はキム・ボム。この不気味な出会いが、このドラマのすべてを物語っていた。
この町では死がすぐそばにある。シギョンと母親、それに祖母まで、ホスピスで働くことになるんだ。そこは、死を待つ人や、亡くなった人に関わる場所。
シギョンは転校した高校で、いじめの現場を見てしまう。最悪なことに、いじめっ子たちに見つかって追いかけられた。捕まった彼は、口封じのために空っぽの棺桶に閉じ込められる。釘まで打たれて、真っ暗闇の中だ。
シギョンはパニックになって泣き叫ぶ。意識が遠のく中、彼は母親の言葉を思い出す。大人になるには、人生で何度か死ななきゃいけないの。これが、俺の最初の死なのかな。彼はそう思った。
棺桶に入る学校
信じられないけど、この学校には変な伝統があった。生徒が自分の墓碑銘を考えて、棺桶に入る体験をするんだ。シギョンは、またあの箱の中に入ることになった。
棺桶の中で、シギョンとシヨンは亡くなった父親を思い出す。二人とも、父親の死について整理できていない感情を抱えている。それが痛いほど伝わってきた。
不器用な優しさの芽生え
いじめられていた生徒が自殺を考えていると聞いても、シギョンは動かない。証言すれば、また面倒なことになる。関わりたくない。それが本音だった。
友達になったガラムが、彼にある話をする。グランドキャニオンのど真ん中に、サボテンが生えていた。どんな場所でも生きようとする命の話だ。それでもシギョンの心は、まだ冷たいままだった。
彼の心を変えたのは、ホスピスでの出来事だ。亡くなった男性の部屋を片付けていた時、その男性の過去を知る。彼の息子は、ひどいイジメが原因で自殺した。父親は息子のために正義を求めて闘い、病気になってしまったんだ。
シギョンは、自分が見て見ぬふりをした生徒の顔を思い出す。あいつの命が危ない。彼は恐怖を感じた。そして、警察署に向かって走り出す。証言するためだ。
ぶっちゃけ、どうなの?このドラマ
正直に言うと、最初のうちは主人公の兄妹が好きになれなかった。シギョンはただのゲーム中毒だし、妹のシヨンは態度が悪すぎる。でも、その未熟さがリアルなんだよな。完璧じゃない人間が、田舎町での出会いを通じてどう変わっていくのか。それを見るのがこのドラマの面白いところだ。
テーマは死。かなり重い。ホスピスが舞台だし、棺桶にまで入る。普通なら暗い話になりそうだ。でも、このドラマはそうじゃない。祖母がこの町じゃ、死ぬ話はご飯を食べるのと同じくらい普通のことさと言う。その言葉通り、死をカジュアルに、でも軽々しくなく描いている。
主演のカイの演技は、コメディシーンだとまだ少し硬い。でも、棺桶で泣き叫ぶような感情的な場面は、こっちの胸に迫るものがあった。話が進むにつれて、どんどん役にハマっていくのがわかる。
大きな事件が次々に起こるような派手さはない。地味かもしれない。でも、人との関わりの中で、登場人物の心が少しずつ動いていく。その丁寧な描写がいいんだ。
つづく