あらすじとネタバレ

物語はテプン商事から始まる。ここは韓国でイケイケの貿易会社だ。テレビの取材まで入って、かなり順調そうなのがわかる。創業者のカン・ジンヨンも紹介される。絵に描いたような成功者だ。

その頃、彼の息子であるカン・テプンは、全く別の世界にいた。革ジャンにアルマーニのシャツ。友達とクラブで大騒ぎだ。26歳にもなって、まあ自由なもんだ。

テプンはクラブで部屋を間違える。そこにはユリムという女性と、ピョ・ヒョンジュンがいた。こいつがテプンのライバルみたいな男だ。案の定、すぐに揉め事が起きる。テプンと友達のナムモは、相手グループと殴り合いのケンカに発展。全員、警察署行きになる。

場面は変わってテプン商事。経理担当のオ・ミソンは、大学に行く夢を諦めていない。予備校で地理の講座に申し込みたい。でも、空きがなくて地球科学の授業を受けることになる。夢への道は簡単じゃない。

警察署に父親のジンヨンがやってくる。彼はテプンの母親ジョンミに、息子に罰を受けさせろ、なんて言う。でも、結局ヒョンジュンの父親ピョ・バクホが現れて、全員を釈放させた。バクホはジンヨンも頭が上がらない相手らしい。昔からの知り合いみたいだ。

解放された後も、ジンヨンは息子への失望を隠さない。お前のせいで恥をかいたと怒鳴る。金くれ、と頼むテプンを殴りつける。テプンは何も言わずにその場を去った。彼が向かったのは温室だった。そこで一晩中、K-POPを聴きながら植物の世話をする。これが彼のもう一つの顔だ。

朝、テプンは花束を作る。電車に乗るけど、つい居眠りしてしまう。同じ電車に、偶然ミソンも乗っていた。テプンが慌てて降りた後、車内に花が一本残されている。ミソンはそれを拾った。

家に帰ったテプンは、その花束を母親に渡す。彼が寝ている間、両親は息子の就職問題でまた口論していた。

しばらくして、ナムモがテプンを連れ出す。独身者向けのリアリティ番組に、友達の代役で出ることになった。そこでテプンはミホという女性と出会う。彼女はミソンの妹だった。客室乗務員の面接を控えているらしい。

オフィスでは、ジンヨンが社員に特別ボーナスを配る。大きな取引が成功したからだ。そこにイタリアの取引先から電話が入る。デバン繊維という会社との取引で、前金を払ってほしいという依頼だ。リスクは高い。でも、儲けもデカい。社員たちは乗り気になる。最終的に、ジンヨンは契約書にサインした。

その夜、テプンはまたヒョンジュンたちと鉢合わせる。その後、友達と合流すると、みんなが行方不明の友人ユンソンの話をしていた。彼の家族は破産して、夜逃げしたらしい。テプンはユンソンの家を訪ねる。もぬけの殻だ。彼は逃げようとするユンソンを見つけ出す。一緒にいると迷惑がかかる、とユンソンは言う。テプンは持っていた現金を全部渡し、高級腕時計まで外して彼を行かせた。

帰り道、父親が一人で食事しているのを見かける。声をかけようとする。でも、直前でやめてしまった。

温室で、テプンはナムモに自分の成果を見せる。彼が開発した新しい品種のバラだ。国内で栽培できるから、安くて色鮮やかなバラを市場に出せる。近いうちに父親に見せるつもりだった。

テプン商事に激震が走る。キサン化学という会社から受け取った手形が不渡りになった。ジンヨンはイタリアの取引に全財産を注ぎ込んでいた。社員の給料も払えない状況に陥る。

その直後、ジンヨンはオフィスで倒れ、病院に救急搬送される。同じ頃、ミソンは大学の入学試験を受けていた。

病院で、医者はテプンに父親の命に別状はないと告げる。でも、しばらく様子を見る必要がある。その時、ポケベルに友人からメッセージが届く。ヒョンジュンがまた騒ぎを起こし、ユンソンも巻き込まれているという。

テプンは友人を助けるために病院を出る。その間に、ミソンがジンヨンのお見舞いに来ていた。ジンヨンは彼女に、テプンに関する何かを伝えている。

テプンがクラブに着くと、呼び出しが嘘だったことがわかる。ヒョンジュンの罠だ。彼はテプンの家族が破産したことを祝いたかっただけだった。ヒョンジュンが高笑いしていると、ナムモが駆け込んでくる。病院に急げ、と。

テレビのニュースが、韓国の金融危機を大々的に報じ始める。テプンは必死に病院へ走る。でも、間に合わなかった。父親のジンヨンは、すでに息を引き取っていた。

感想

いやー、初回からかなり重い。時代設定が韓国のIMF危機直前っていうのが、もう不穏な空気しかない。テプンはただの遊び人のドラ息子かと思いきや、温室でK-POPに合わせて踊りながらバラを育てるっていう、意外すぎる一面があった。このギャップは面白い。父親のジンヨンも、口では恥さらしとか言いながら、息子のことを本当は心配しているんだろうな、っていう不器用な愛情が伝わってきて切なかった。だからこそ、最後の展開は本当に胸が痛い。時代の大きなうねりが、一つの家族と会社を容赦なく飲み込んでいく。その序章を見せつけられた感じだ。ミソンとのすれ違い方も王道で、これから二人の関係がどうなるのか。父を失ったテプンが、ここからどう立ち上がるのか。見届けないと気が済まない。

つづく