国民の判事の裏の顔

物語は、権力者であるチャンCEOの不正事件の裁判から幕を開けます。世間の注目が集まる中、判事席に座るのはカン・ダウィ。彼は国民の判事というニックネームで親しまれています。

優しくて寛大、そして正義感に溢れる彼は、期待を裏切りません。チャンCEOに対し、懲役10年と罰金700億ウォンという厳しい判決を下しました。これには世論も大喝采。彼の支持率はうなぎ上りです。

しかし、実はこれ、すべて彼の計算なんです。プライベートでのダウィは、K-POPに合わせて踊ったり、漫画を読んだりする今どきの男性。謙虚なフリをしていますが、本音では名声を愛し、最高裁判事の座を虎視眈々と狙っています。

彼にとって親切な行動はすべて出世のためのパフォーマンス。上司である腐敗した判事たちには媚びへつらい、飲み会ではご機嫌取りに必死です。

ある日、裁判所で書類に苦戦している若い女性を見かけ、手助けをするダウィ。ところが、彼女が自分に投票権のない公益弁護士だと知った瞬間、態度は急変。あからさまに冷たくあしらうのでした。この二面性には驚かされますよね。

仕組まれた罠と転落

念願の最高裁判事候補に指名されたダウィ。彼は亡き母の墓前を訪れます。

回想シーンでは、工場で働き詰めだった母の姿が描かれます。背中の痛みに耐えながら、幼いダウィの前では気丈に振る舞っていた母。そんな母にダウィがあげられたのは、酸っぱい杏(あんず)だけでした。人に見下されない立派な人になって過労で亡くなった母の最期の願いが、今の彼を突き動かしているのです。

そんな彼の前に、小学校時代の旧友キム・ジュソプが現れます。久々の再会に気を許し、サインをして泥酔してしまうダウィ。翌日、彼の車のトランクから発見されたのは、なんと12億ウォンもの現金でした。

これは罠でした。ドライブレコーダーには、泥酔したダウィがジュソプから現金の箱を受け取る映像がバッチリ残っていたのです。しかも、そのジュソプは実はユ・ジェボムという連続詐欺師。本物のジュソプは10年前に亡くなっていました。

地下室からの再出発

賄賂疑惑をもみ消すため、ダウィは法曹界から追放されてしまいます。母との約束を果たせず、絶望するダウィ。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、かつて彼に片思いしていた同僚のオ・ジョンインでした。

大手法律事務所オ&パートナーの代表の娘である彼女は、ダウィの処分を取り消させ、自分の事務所にスカウトします。国内屈指の法律事務所で働けることになり、ダウィは再び情熱的で親しみやすい演技をして初出勤します。

ところが、案内されたのは地下にある薄暗いオフィス。そこはプロボノ(無料法律相談)部門だったのです。狭い部屋には3人の弁護士と、なぜか弁護を担当している犬たちの姿が。

そして4人目の弁護士として紹介されたのは、かつて裁判所で彼が冷たくあしらったあの女性、パク・ギプムでした。無料の弁護士に格下げされたことにショックを受け、庭へ飛び出すダウィ。そこへクライアントである犬が飛びかかってきて……。彼の華麗なる転落劇とともに、第1話は幕を閉じます。

第1話の感想

主人公ダウィの表と裏のギャップが最高に面白いスタートでした。聖人君子かと思いきや、裏では出世欲の塊で、人によって態度を変える最低な一面も。でも、お母さんとの杏のエピソードを見ると、ただの悪い奴とも思えないんですよね。地下室に追いやられ、犬に飛びつかれて嘆くラストシーンは、まさに因果応報といった感じで笑ってしまいました。ここから彼がどう改心していくのか楽しみです。

つづく