あらすじ
10年前、反逆の罪で一族を滅ぼされた帝家の娘・帝梓元(ていしげん)。彼女は許婚である皇太子・韓燁(かんよう)の尽力で一命を取り留めるも、山寺に幽閉される身となる。帝梓元を深く愛し続ける韓燁は、彼女を救い出す功績を立てるため、東海への海賊討伐に旅立つ。その道中、彼は任安楽(じんあんらく)と名乗る、謎めいた快活な女性と出会う。常識破りで大胆不敵な彼女との出会いは、韓燁の運命を大きく揺さぶり始める。果たして彼女の正体とは?そして、皇太子の長年の想いの行方は――。壮大な愛と復讐の物語が、今、幕を開ける。
ネタバレ
安楽伝 1 話は、なんとも重苦しい幕開けから。
今から10年前、嘉昌六年の冬。大靖の功臣であった靖安侯・帝永寧(ていえいねい)が、国を裏切ったとして一族もろとも処刑されるという悲劇が起こりました。八万の兵を失った責任を問われ、帝一族は滅亡。ただ一人、娘の帝梓元(ていしげん)だけが、許婚であった皇太子・韓燁(かんよう)の必死の嘆願によって命を救われます。しかし、その代償はあまりにも大きく、彼女は生涯、玳山(たいざん)に幽閉されることになったのです。
家族を皆殺しにされ、罪人の娘となった帝梓元。彼女を救った韓燁(かんよう)の真心は本物でしたが、二人の間には決して越えられない深い溝ができてしまいました。
そして10年の月日が流れます。
皇太子・韓燁(かんよう)は、今もなお帝梓元ただ一人を想い続け、妃を娶ろうとしません。彼女を山から下ろす許しを得るため、彼は自ら危険な海賊討伐に赴くことを決意します。その功績をもって、皇帝である父・韓仲遠(かんちゅうえん)に再び帝梓元の赦免を願い出るつもりなのです。なんとも一途で、胸が締め付けられますね…。
そんな旅の途中、韓燁は運命の出会いを果たします。
現れたのは、任安楽(じんあんらく)と名乗る謎の女性。彼女は韓燁の凛々しい姿に一目惚れ!「あなたみたいな素敵な人、初めて見たわ」とばかりに、からかったり、口説き文句をささやいたりと、やりたい放題。奥手な皇太子様はタジタジです(笑)。この出会いのシーン、二人のやり取りが可愛くて、思わずニヤニヤしてしまいました。
ひょんなことから海賊に襲われた二人ですが、絶体絶命のピンチ!と思いきや、どこからともなく現れたのは、なんと三万もの大船団!そして、その船団を率いていたのが、何を隠そう任安楽(じんあんらく)その人だったのです。彼女の正体は、この海域を支配する安楽寨の女頭領!
韓燁と任安楽(じんあんらく)は協力して海賊を撃退。しかし、戦いの最中に韓燁が毒矢で負傷してしまいます。任安楽は「私が治してあげる!」と、人目もはばからず韓燁の服をはだけようとし、周りの侍女たちも興味津々。このあたりのコミカルな展開が最高です。
そして、ここからが任安楽の真骨頂!
「命を助けてあげたんだから、私と結婚して!」。彼女はなんと、三万の水師を嫁入り道具に、皇太子妃の座を要求します。唖然とする韓燁をよそに、彼の持っていた玉佩を「結納品よ!」と奪い取り、さっさと皇帝に「お嫁に行きます!」と手紙まで送ってしまうのです。この行動力、見習いたい…!
当然、都は大騒ぎ。皇帝は「罪人の娘も水賊の女も太子妃にはさせん!」と大激怒。
一方、韓燁の心は依然として帝梓元にありました。親友であり、帝梓元の幼馴染でもある刑部尚書の洛銘西(らくめいせい)に、やり場のない想いを打ち明けます。洛銘西もまた、帝梓元に特別な想いを抱いているようで、この三角関係(?)も気になるところ。
物語のラストは、宮中で開かれた春の狩猟宴。
都中の貴族たちが「水賊の女が太子に求婚したらしいわよ」「きっと醜い女に違いない」と噂話に花を咲かせる中、颯爽と馬を駆り、見事な弓さばきを披露する一人の女性が現れます。
真っ赤な衣装を身にまとった彼女は、韓燁の前に立つと、こう言い放ちました。
「私が、太子妃になりに来た任安楽よ」
いやー、しびれました!最高にカッコいい登場シーンで第1話は幕を閉じます。これからどんな波乱が巻き起こるのか、楽しみで仕方ありません!
『安楽伝』第1話の感想
第1話は、帝一族の悲劇という重厚な過去の物語と、任安楽という非常に魅力的なキャラクターが登場する現在の物語が巧みに交差していました。韓燁が10年間も一人の女性を想い続ける誠実さや、その心の内に秘めた苦悩が丁寧に描かれている一方で、任安楽の登場シーンはどれも痛快そのもの。彼女の天真爛漫で大胆不敵な振る舞いが、物語全体に明るさと勢いをもたらしています。特に、皇太子である韓燁を手玉に取り、臆することなく求婚する姿は見ていて清々しいほどでした。シリアスな背景とコミカルな恋愛模様のバランスが絶妙で、それぞれのキャラクターが抱える謎や想いが今後の展開を深く、面白くしてくれそうです。初回から物語の世界にぐっと引き込まれました。
つづく