あらすじ
江南での功績を手に都へ戻った任安楽(じんあんらく)と韓燁(かんよう)。安楽の活躍は都でも大きな評判を呼び、彼女の存在は朝廷に大きな影響を与え始めます。韓燁は安楽への信頼を深める一方、彼女の周りでは様々な思惑が渦巻き、信頼していた人物の裏切りという新たな危機に直面しました。そんな中、皇宮では安楽を祝う宴が開かれることに。さらに、長年山に籠っていた帝家の娘、帝梓元(ていしげん)にも大きな動きが…。それぞれの運命が再び大きく動き出す、波乱の幕開けとなるエピソードです。
ネタバレ
いやはや、今回はまた色々なことが動き出しましたね。韓燁(かんよう)のすぐそばに潜んでいた衝撃の裏切り者、そして都に戻った安楽を待ち受ける新たな駆け引き。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、一瞬たりとも目が離せない展開でした。それでは早速、第11話の世界にどっぷり浸かっていきましょう!
崖に消えた忠義と裏切り
物語は、蒼山の帝家の陵墓から始まります。韓燁(かんよう)は改めて安楽と共に平和な世を築きたいと語りかけ、たとえ夫婦になれなくとも「知己」としてそばにいてほしいと、その熱い想いを伝えます。安楽も彼の言葉を受け入れ、二人の間には穏やかな空気が流れた…かのように見えました。
その瞬間、一人の刺客が韓燁に襲いかかります!しかし、韓燁はこれを冷静に迎撃。そう、彼はすべてお見通しだったのです。この刺客の正体は、なんと韓燁の忠実な親衛であったはずの簡宋(かん そう)。彼は忠義侯・古雲年が送り込んだ間者であり、大靖でも指折りの剣の使い手でした。
韓燁は以前から身内に間者がいることを疑っており、わざと偽の銅山の情報を簡宋に流すことで、ついにその尻尾を掴んだのでした。すべてを悟られた簡宋は、これまでの韓燁からの恩義に報いるかのように、自ら崖下へと身を投げて命を絶ちます。目の前で起きた衝撃的な結末に、韓葉はただ立ち尽くすしかありませんでした。
この一件を経て、安楽は韓燁に問いかけます。「もし、いつか私とあなたが敵対することになったら?」と。韓燁は「疑わしきは用いず。だからこそ、私は永遠に君を信じる」と、揺るぎない信頼を誓うのでした。彼の真っ直ぐな言葉が、安楽の胸に重く響きます。
都に渦巻くそれぞれの思惑
江南での大手柄を引っさげて、安楽と韓燁は都へと凱旋します。皇帝・韓仲遠(かんちゅうえん)は二人の活躍にご満悦の様子。安楽の功績を高く評価し、彼女の存在が朝廷に良い影響を与えていることを喜びます。
その一方で、腹心の簡宋を失った古雲年(こうんねん)は苦々しい表情。かつては彼の屋敷に絶え間なく続いていた訪問者の足も途絶えがちになり、権勢に陰りが見え始めています。彼は安楽への憎しみを募らせ、次なる策を練るのでした。
その頃、安楽の協力者である洛銘西(らくめいせい)もまた、次の一手を打っていました。彼は琳琅(りんろう)からの報告で、江南の治水事業が順調に進んでいることを確認。朝廷では安楽の功績を大々的にアピールし、汚職役人であった鐘礼文(しょうれいぶん)を厳しく罰することで、他の役人たちへの見せしめとしようと画策します。
復讐のために、私は渦の中心へ
都に戻った安楽は、洛銘西と密会します。洛銘西は「朝廷の半数はすでに我々の味方だ。もはや太子妃の座にこだわる必要はないのでは?」と問いかけます。
しかし、安楽の決意は固いものでした。父の「天下を掌握するには、権力と民意を掴むこと」という言葉を胸に、彼女は自らが餌となって渦の中心に飛び込むことを選んだのです。「帝梓元が任安楽(じんあんらく)となったのは、そのためなのだから」と。韓燁が優れた皇太子であることは認めつつも、帝家の兵八万の無念を晴らすまでは、決して立ち止まれない。彼女の瞳には、復讐の炎が静かに、しかし強く燃え盛っていました。
「帝承恩(ていしょうおん)」という名の屈辱
皇帝は韓燁を呼び出し、安楽が決して単純な娘ではないと釘を刺しつつも、彼女を未来の太子妃として事実上認め、祝宴を開くことを決定します。
その祝宴の席で、韓燁はわざと安楽を無視するような素振りを見せます。そこへ古雲年が嫌味たっぷりに祝いの言葉を述べに来ますが、安楽は一言で彼をやり込め、面子を潰された古雲年は怒って去っていくのでした。
宴の後、韓燁は酔った安楽を屋敷まで送ります。その道中、彼は帝梓元(ていしげん)のことを口にし、安楽はわざと嫉妬したような態度をとるのでした。
そんな中、太子妃選抜を目前にして、太后から衝撃的な懿旨(いし)が下されます。それは、玳山(たいさん)にいる帝梓元が山を下りる条件として、名を「帝承恩(ていしょうおん)」に改めよ、というものでした。この名は明らかに帝家を侮辱するものであり、安楽の復讐心をさらに燃え上がらせるのでした。
物語の最後、韓燁は帝梓元への贈り物を選びに書店を訪れますが、そこへ現れた安楽が、やきもちを焼くふりをしてその本を奪い取っていくのでした。二人のコミカルなやり取りの裏で、それぞれの運命の歯車は、確実に回り始めています。
『安楽伝』第11話の感想
今回は、登場人物たちの心の奥深くにある覚悟と葛藤が丁寧に描かれた回でした。韓燁が安楽へ向ける絶対的な信頼は、彼の美徳であると同時に、何も知らないがゆえの危うさを感じさせ、見ているこちらの胸が少し痛みます。一方の安楽は、韓燁の誠実さに心を揺さぶられながらも、決して復讐という大義を忘れない。その強さと、時折見せる人間的な脆さが同居する姿に、より一層引き込まれます。また、洛銘西の静かながらも着実に進められる策略が、物語全体に確かな緊張感を与えていました。それぞれの正義と想いが、これからどう激しくぶつかり合っていくのか、非常に見応えのあるエピソードでした。
つづく