あらすじ
翎湘楼で安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)と心を通わせた任安楽(じんあんらく)は、彼女から帝家の過去に繋がる重要な情報を得る。一方、都には江南で発生した大水害の報せが届き、皇太子の韓燁(かんよう)は民を救うため、自ら現地へ調査に赴くことを決意する。安楽もまた、自身の目的を果たすため、韓燁に同行して江南へ向かうことに。それぞれの思惑を胸に秘めた二人の旅路の先には、巨大な陰謀が待ち受けていた。
ネタバレ
翎湘楼(りょうしょうろう)に響き渡る、もの悲しくも力強い鎮魂歌。それは、故郷に帰れぬ辺境の兵士たちの魂を慰めるための曲でした。普段は華やかな楽の音が満ちる京の都で、その悲壮な調べは人々の足を止めさせます。
この曲に心を揺さぶられたのが、安寧(あんねい)公主(あんねいこうしゅ)と任安楽(じんあんらく)。安寧(あんねい)は剣を舞い、安楽は遠い過去に思いを馳せます。曲が終わると、二人の瞳には同じ哀しみの色が浮かんでいました。すっかり酔いの回った安寧は、安楽の顔をじっと見つめ、「そなたの目元は、昔会ったある人に似ている」と不意に呟きます。その一言に、周囲は息を呑みました。
安楽が気を利かせて安寧の侍衛を下がらせると、部屋は二人きりに。すると安寧は、懐から蓮の花をかたどった銀の飾りを取り出します。「これは部下が江南で偶然見つけたものだ」。かつて帝家が鋳造を許された銀貨で作られたこの飾りは、八万の帝家軍が全滅したのではなく、まだ生き残りがいる可能性を物語っていました。安寧を試すつもりだった安楽にとって、これは予想外の大きな収穫でした!
安寧が酔いつぶれて眠ってしまったところに、皇太子の韓燁(かんよう)が登場。安楽はすかさずいつものおちゃらけた仮面をかぶりますが、韓燁(かんよう)が語る帝梓元(ていしげん)の思い出話に、思わず表情が揺らぎそうになるのを必死でこらえます。
その後、安楽はすぐに洛銘西(らくめいせい)の元へ。例の飾りを見せ、帝家軍の生き残りについて話します。江南を牛耳る古雲年(こうんねん)の義弟が帝家軍の名簿を持っていると睨んだ安楽は、自ら江南へ調査に向かいたいと考えますが、うまい口実がありません。そこで洛銘西は、都に直訴しに来た難民を助けるという一計を案じます。
計画はすぐに実行され、血まみれの万民血書を抱えた難民が大理寺に運び込まれます。江南で三ヶ月も続く長雨により川が氾濫し、数万の民が被災したにもかかわらず、知事が何もしなかったという衝撃的な内容でした。安楽はこの血書を韓燁(かんよう)に託し、決して軽率に動かないよう釘を刺します。
事態を重く見た韓燁は、危険を顧みず自ら江南へ赴くことを決意。同行者として洛銘西に声をかけますが、洛銘西は「任安楽(じんあんらく)の許可がなければ」と巧みに言い逃れ。まんまと策にはまった韓燁は、安楽を説得するため、彼女の好物と美酒で盛大にもてなすことに。
すっかり酔ってしまった韓燁は、なんと木に登り、美しい景色を眺めながら安楽に向かって胸の内を語り始めます。しかも、彼女を安寧と勘違いしたまま…!
翌朝、韓燁が昨夜の約束を確認すると、安楽は「そんな約束はしていない」とあっさり否定。さらに木登りの醜態までバラされ、韓燁は恥ずかしさで顔を真っ赤にするのでした。しかし、実は安楽もすでに入宮し、江南へ行く許可を得ていたのです。そのことを知り、韓燁は安堵の表情を浮かべます。
こうして、それぞれの思惑を胸に、二人は江南へと旅立つのでした。道中、車酔いのふりをして韓燁をからかう安楽と、そんな彼女を甲斐甲斐しく世話する韓燁。二人の関係が少しずつ変化していくのを感じさせながら、物語は次なる舞台へと進みます。
『安楽伝』第7話の感想
今回は物語が大きく動いた回でした。安寧公主(あんねいこうしゅ)がもたらした帝家軍生存の可能性という情報が、安楽の復讐計画に新たな光を当てたように感じます。一方で、韓燁の純粋さと民を思う強い正義感が、安楽の心を確実に揺さぶっているのが見て取れました。特に、酔って本音を語るシーンは、彼の不器用な優しさが表れていて非常に印象深いです。安楽も、彼をからかいながらも、その実直さに惹かれ始めているのではないでしょうか。復讐と芽生え始めた想いの間で揺れる彼女の姿、そして江南で待ち受けるであろう巨大な陰謀の気配に、今後の展開からますます目が離せなくなりました。
つづく