愛する秦尚城(しんしょうじょう)の失明を治すため、自らの視力を犠牲にしようとした花溶(かよう)。しかし、秦尚城は寸前でそれを阻止します。彼は海の向こうに治療法があることを明かすも、国の平和を優先する決意を固めていました。その深い愛を知った花溶は、彼と共に歩むことを誓います。一方、敵対していた端木白(たんぼくはく)が突然、秦尚城の治療を申し出ます。彼の真意とは一体何なのか。そして、彼が探し続けていた「大切な人」の正体が明らかになり、物語は新たな局面を迎えます。

「雲花のロマンス~一夜の花嫁2~」あらすじネタバレ9話

朝、目覚めた花溶(かよう)は目の前が真っ暗なことに驚きます。まさか失明したの!?とパニックになる彼女の手を、そばにいた秦尚城(しんしょうじょう)がそっと握りました。

彼のために自分の視力を差し出そうとした花溶(かよう)の覚悟に、秦尚城(しんしょうじょう)は心を痛めます。これまでずっと彼が花溶(かよう)を守り、命がけで尽くしてきたけれど、今度は自分が彼を支えたい、光をあげたい…それが花溶の切なる願いでした。

しかし、秦尚城(しんしょうじょう)がそっと目隠しを外すと、花溶の瞳にはいつもの輝きが。実は昨夜、秦尚城が寸でのところで目を覚まし、彼女の自己犠牲を止めていたのです。治療に必要だった蛇王も逃がしてしまったと聞き、治るチャンスを逃したと落ち込む花溶。そんな彼女を秦尚城は強く抱きしめ、ある場所へと連れて行きました。

そこは、秦尚城が子供の頃に義父と過ごした思い出の場所。彼はそこで、驚きの事実を告げます。海の向こうに自分の目を治せる医者がいること、しかし、往復には一年以上もの時間がかかることを。その間に故郷である天楚(てんそ)国が戦乱に巻き込まれるのを見過ごすことはできない、と彼は言うのです。一人の海賊だった自分が、花溶と夫婦になった今、守るべきものができたのだと。

その深い思いを知った花溶は、彼の決意を受け入れます。そして、新婚旅行の贈り物として用意していた、二人の髪を入れた小瓶を取り出しました。深海の鮫人に願いを託すという伝説に倣い、秦尚城の目が治ることを願って、二人で小瓶を海へ。その時まで「私があなたの目になる」と誓う花溶の姿は、本当に健気で胸を打たれます。

一方その頃、公主は端木白(たんぼくはく)への怒りが収まらず、とんでもない計画を思いつきます。なんと彼を縛り上げ、「仙人酔」というお酒を飲ませて意のままに操ろうとしたのです!ところが、ドジな公主は手違いで自分が仙人酔を飲んでしまい、銭大有(せん・たいゆう)と張弦(ちょう・げん)に吐きかけて三人仲良くダウン。なんともコミカルな一幕でした。

意識を取り戻した端木白(たんぼくはく)は、侍女の霊児(れいじ)から花溶が秦尚城のために目を差し出そうとしたことを聞きます。そして、自分がずっと探し続けていた、どん底の自分に希望をくれた「小白鴿(白い鳩)」が花溶だったことに気づくのです。彼は過去の過ちを償い、彼女の信頼を取り戻すため、秦尚城の目の治療を申し出ます。

もちろん、花溶も秦尚城も彼の申し出を素直には信じられません。しかし、端木白の口から語られた「大切な人」の話を聞き、二人はそれぞれ勘違いをしてしまいます。秦尚城は、端木白が花溶のために停戦し、治療を申し出たと推測。一方の花溶は、秦尚城が使った雲鶴大俠(うんかくだいきょう)の技を見た端木白が、彼こそが「大切な人」だと勘違いしたのだと思い込んでしまいました。

この勘違いが、今後の物語にどう影響していくのか…。それぞれの思惑が交錯する中、ついに端木白による秦尚城の治療が始まるのでした。

『雲花のロマンス~一夜の花嫁2~』第9話の感想

今回は、秦尚城と花溶の絆の深さが改めて描かれた、感動的なエピソードでした。自分の光を犠牲にしてでも愛する人を救おうとする花溶の献身と、個人の治療よりも民と国を思う秦尚城の大きな愛。二人が思い出の場所で未来を誓い合うシーンは、本作屈指の名場面と言えるでしょう。一方で、公主たちが繰り広げるコミカルな騒動が良い息抜きになっており、物語の緩急が見事です。そして、最大の注目点は端木白の心変わりの理由が明かされたこと。彼が探していた「小白鴿」が花溶だったという事実は、今後の三角関係に新たな緊張感と深みを与えます。登場人物たちの勘違いが複雑に絡み合い、物語がどう転がっていくのか、ますます目が離せなくなりました。

つづく