どうも!中華歴史ドラマには目がない、あなたのドラマナビゲーターです。今回取り上げるのは、清朝最後の皇帝・溥儀の時代を描いた『溥儀の料理番』。激動の時代に翻弄される一人の少女料理人のお話、その記念すべき第1話のあらすじとネタバレを、早速お届けします!

紫禁城に残された皇帝と、少女の運命

物語は1912年、清朝が終わりを告げた後の紫禁城から始まります。皇帝の座を退いた溥儀(ふぎ)ですが、なんと民国政府との取り決めで、そのまま紫禁城に住み続けているんですね。とはいえ、もはや「籠の鳥」。外では新しい時代が動いているのに、城内は盗難が頻発し、役人たちの汚職も蔓延。溥儀は「皇帝」としての生活費を年間400万もらいながら、それでも足りないと嘆く始末。ある夜、こっそり城を抜け出そうとしては端康太妃(たんこうたいひ)に見つかり、「囚人と同じだ!」と不満を爆発させるなど、かなり鬱屈した日々を送っていました。

一方、城下町では、旗人の劉守貴(りゅう しゅき)が宮中の残飯をもらって生計を立てていました。このお父さん、なかなかのクセ者で、宮中で新しい宮女を募集していると知るや、自分の娘を送り込もうと画策します。

その娘こそ、我らが主人公の栄児(えいじ)。ある夜、父を探しに出かけた栄児は、不運にも悪党に襲われてしまいます。そこへ白馬に乗った王子様…ならぬ、謎の青年・李琪(り・き)が颯爽と現れ、彼女を救出!栄児が意識を取り戻したときにはもう彼の姿はなく、そこには彼が落としたであろう美しい玉佩(ぎょくはい)が一つ…。これぞ運命の出会いの予感!

ダメ親父のせいで人生ハードモード突入

ところが、栄児の平穏な日々は、ダメ親父のせいで終わりを告げます。劉守貴がなんと博打で100銀元もの大借金を作ってしまったのです!借金のカタとして、栄児を大皇子という人物に妾として差し出すという証文まで書かされる始末。

娘を想う気持ちがゼロではないのか、それともただ自分が助かりたいだけなのか…。追い詰められた父を見て、栄児は覚悟を決めます。真っ赤な花嫁衣装に身を包み、自ら大皇子の屋敷へ。「私を娶りなさい」と乗り込むのですが、顔を見た大皇子はびっくり仰天。「借金は分割でいいから、今すぐ娘さんを連れて帰ってくれ!」と、まさかの嫁入り拒否(笑)。どうやら栄児の気迫がすごすぎたようです。

ほっとしたのも束の間、今度は新聞記者の陸秋桐(りく しゅうどう)とひょんなことから知り合います。怪我をしていた彼を手当てし、得意の料理を振る舞う栄児。その腕前に陸秋桐はすっかり感心します。

しかし、そんな穏やかな時間も長くは続きません。借金取りが家に押しかけてきて、父・劉守貴が勝手に栄児を宮女として応募していたことが発覚!「応募したのに入宮させないのは、宮廷への大不敬だ!」と父が連行されそうになり、栄児は父をかばって、ついに宮仕えを決意するのでした。

いざ入宮!待ち受けるは厳しい世界と才能の片鱗

こうして、父の尻拭いをする形で宮女となった栄児。ちょっとズルをして追い返されよう、なんて甘い考えは通用しません。もし試験に落ちれば、25歳になるまで「辛者庫(しんじゃこ)」という場所で過酷な労働を強いられると知り、顔面蒼白。

双喜姑姑(そうきここ)から厳しい作法を、寿喜姑姑(じゅきここ)から料理の手ほどきを受ける日々がスタートします。ある日、寿喜姑姑が作った料理を味見した栄児は、物怖じせずに的確なアドバイスをします。半信半疑で姑姑が試してみると、なんと味が格段に向上!

激動の紫禁城で、栄児はその料理の才能を武器に、生き抜いていくことができるのでしょうか。波乱万丈な物語が、今まさに幕を開けました。

『溥儀の料理番』第1話の感想

物語の導入として、非常に巧みに作られた第1話でした。退位しながらも紫禁城に留まる溥儀の閉塞感と、城下の庶民である栄児の活気ある日常が鮮やかに対比され、一気に世界観に引き込まれました。特に主人公・栄児のキャラクター造形が秀逸です。博打好きでどうしようもない父親に振り回される不運な境遇にありながら、決してめげない芯の強さと、いざとなれば自ら花嫁衣装で乗り込むほどの行動力には、思わず「がんばれ!」と声をかけたくなります。彼女が持つ天賦の料理の才能が、この先、閉鎖的な宮中でどのように彼女の道を切り拓いていくのか、大きな期待感を抱かせます。また、彼女を助けた李琪(り・き)と、才能を認めた陸秋桐という二人の男性との今後の関わりも気になるところです。重厚な歴史背景と、個性的で魅力的なキャラクターたちが織りなす物語の序章として、見ごたえのある一時間でした。

つづく