今回は、明代の中国を舞台にした壮大なミステリー時代劇『天啓(てんけい)異聞録』の第1話を早速レビューしていきます!
第1話「辺境の奇病」あらすじ・ネタバレ
物語の舞台は天啓(てんけい)三年、冬の遼東(りょうとう)。雪が降りしきる極寒の地です。朝廷では、辺境の城・寧遠(ねいえん)を守るための開拓事業を巡って賛否が渦巻いていました。そんな中、最前線である寧海堡(ねいかいほう)で「奇病」が発生したとの噂が立ち、「開拓が天の怒りに触れたのだ」と囁かれ始めます。不穏な空気が漂う中、一人の男が遼東(りょうとう)の地を踏みました。
彼の名は、褚思鏡(ちょ・しきょう)。皇帝直属の錦衣衛(きんいえい)であり、今回は宦官のトップである魏忠賢(ぎ・ちゅうけん)の命を受け、奇病の真相を探る密命を帯びています。
雪深い森で道に迷いかけた褚思鏡(ちょ・しきょう)は、焚き火で暖をとる一団と遭遇。彼らは薬材を寧海堡へ運ぶ「竜参軍」だと名乗ります。しかし、会話の端々から褚思鏡(ちょ・しきょう)の素性を探ろうとする彼らの態度に、褚思鏡はすぐに警戒。案の定、彼らは褚思鏡が魏忠賢の手下だと知るや否や、刃を向けてきました!
「お前が“楊霖”を知っているか?」という探りに対し、褚思鏡は冷静に対応しつつも、一瞬の隙から敵意を確信。あっという間に戦闘状態に突入しますが、さすがは錦衣衛。褚思鏡は卓越した武術で、あっさりと全員を雪原に沈めてしまいます。どうやらこの任務、ただの病の調査では済まないようです。
やっとのことで寧海堡に到着した褚思鏡。しかし、現地の千総・徐宗器(じょ・そうき)と百総・雷隧(らい・ずい)は、「奇病などない、ただの傷寒(風邪のようなもの)だ」の一点張り。あからさまに何かを隠しているのが見え見えです。
そんな褚思鏡の案内役としてつけられたのが、地元のならず者といった風情の男、伯顔(バヤン)。飄々としていて何を考えているのか読めませんが、この男がなかなかのキーパーソンになりそうな予感。
役人たちのガードは固く、まともな調査は進みません。海が近いのに食卓に並ぶのは獣の肉ばかりで、魚を食べない理由を尋ねても「冬は禁漁で、夏の備蓄も尽きた」と、はぐらかされる始末。絶対に何かありますよね、これ。
その夜、褚思鏡は砦の中でこそこそと動く怪しい一団を発見します。彼らは烏暮(うぼ)島の島民だと名乗りました。その中の一人の女性が、褚思鏡を見るなり彼の姓を口にして、慌てて逃げ去っていきます。後を追おうとする褚思鏡ですが、百総の雷隧が立ちはだかり、邪魔をされてしまいました。
もう寧海堡の役人たちは信用できないと判断した褚思鏡は、謎の鍵を握るであろう烏暮島へ渡ることを決意。もちろん役人たちは猛反対しますが、ここで案内役の伯顔(バヤン)がファインプレー!彼の案内で、真夜中に冷たい川を泳いで渡り、ついに烏暮島への潜入を果たすのでした。
初回から謎が謎を呼ぶ展開!褚思鏡は島で何を見るのか、そして奇病の真相とは?続きが気になって仕方ありません!
『天啓異聞録』第1話の感想
重厚な世界観と、息つく暇もないミステリー要素が見事に融合した第1話でした。雪に閉ざされた辺境の砦という閉鎖的な空間が、物語の不穏さを一層際立たせています。主人公の褚思鏡は、クールで頭が切れ、武術の腕も立つという非の打ち所がない人物ですが、時折見せる過去のトラウマを匂わせる表情が、彼の人間的な深みを感じさせます。対照的に、飄々とした伯顔(バヤン)の存在が良いアクセントになっており、彼が敵なのか味方なのか、その動向から目が離せません。単純な疫病調査かと思いきや、朝廷の権力闘争、辺境の民が抱える秘密、そして見えざる敵の存在が複雑に絡み合い、壮大な物語の序章として完璧な滑り出しだったと思います。映像の美しさと相まって、物語の世界にどっぷりと浸ることができました。
つづく