陳麦冬(チェン・マイドン)と荘潔(ジュアン・ジエ)の交際は、周囲も認めるものとなり、二人は幸せな時間を過ごしていた。ついに麦冬が荘潔(ジュアン・ジエ)の家族と対面する時が訪れる。最初は猛反対していた荘潔の母も、彼の誠実な人柄に触れて次第に心を開き始める。家族公認の仲となり、二人の未来は明るいかのように思われた。しかし、麦冬の職業である遺体整容師に関わる悲惨な事故が発生。この出来事が彼の心に大きな影を落とし、二人の関係は新たな局面を迎えることになる。

「春色の恋人」あらすじネタバレ17話

恋人たちの甘い朝から始まったかと思えば、息をのむような過酷な現実が突きつけられる…。『春色の恋人』第17話は、幸せの絶頂と、死がすぐそばにある日常とのコントラストが胸に迫る、非常に見ごたえのある回でした。

前回のラストで、ついに想いが通じ合った陳麦冬(チェン・マイドン)と荘潔(ジュアン・ジエ)。17話は、麦冬の腕の中で目覚める荘潔(ジュアン・ジエ)の幸せそうな笑顔から始まります。これぞ恋の醍醐味!と思いきや、荘潔の母・廖濤(リャオ・タオ) の怒りが爆発。娘の外泊が許せず、まるで小学生にするかのように「門限」を突きつけます。母親の心配も分かりますが、ちょっと過保護すぎますよね。

そんな母の機嫌をとりなすため、一度はこっそり帰宅しようとする荘潔。そんな彼女に、麦冬が優しく義足をつけてあげるシーンは、この回のハイライトの一つです。「これからはもっと上手くなる」という彼の言葉に、二人の未来への覚悟が感じられて、思わず胸が熱くなりました。

その後、弟の荘研(ジュアン・イェン)の計らいで、麦冬はついに荘潔の家へ。最初はガチガチに緊張していた麦冬ですが、得意の書道で春聯(新年などに門に貼る縁起の良い言葉)を書いてみせると、その見事な腕前に家族も感心し、場の空気は一気に和やかに。あれだけ交際に反対していた母・廖濤も、麦冬の誠実で心優しい人柄に触れ、さらには素敵なプレゼントまでもらって、すっかりご機嫌に。このまま家族公認の仲へ…と、誰もが思った矢先でした。

荘潔の誕生祝いの最中、麦冬の職場である葬儀場から緊急の電話が。大規模な交通事故が発生し、多くの犠牲者が出たというのです。幸せな雰囲気は一変し、麦冬は急いで職場へ戻ります。

ここからの展開は、本当に息が詰まるようでした。遺体整容師として、凄惨な現場と向き合い、休む間もなく働き続ける麦冬。その心身の疲労はピークに達し、彼はこれまで感じたことのなかった「死への恐怖」に苛まれます。荘潔と愛を育むことで芽生えた未来への希望が、かえって彼を死の恐怖に敏感にさせてしまったのかもしれません。

疲れ果てて悪夢にうなされる麦冬。そんな彼を救ったのは、やはり荘潔でした。バレンタインデーに花束を抱えて彼のもとを訪れた荘潔に、麦冬は以前壊れてしまった思い出の泥人形を修復して贈ります。そのつぎはぎだらけの人形に、麦冬の心の傷を見た荘潔は、彼を強く抱きしめ、二人はついに結ばれるのでした。壊れたものを繕い、痛みを分かち合う…まさに二人の関係を象徴するような、切なくも美しい一夜でした。

『春色の恋人』第17話の感想

今回のエピソードは、甘やかな恋愛模様と、遺体整容師という職業がもたらす「死」というテーマが、鮮烈なコントラストをなしていました。前半、陳麦冬(チェン・マイドン)が荘潔の家族に受け入れられていく様子は心温まるものでしたが、後半の交通事故の描写とその後の彼の苦悩は、観ていて胸が締め付けられるようでした。愛する人ができたからこそ、死というものがより恐ろしく、リアルに感じられるようになる。そんな陳麦冬の心の揺れが痛いほど伝わってきて、彼の背負うものの重さを改めて感じさせられました。そんな彼の深い闇を、荘潔がただ黙ってその愛で包み込む最後のシーンは、言葉以上に雄弁でした。二人の関係がまた一つ、深いレベルで結びついたことを感じさせる、静かで力強い名場面だったと思います。

つづく