前回、年越しの夜に大きな溝ができてしまった陳麦冬(チェン・マイドン)と荘潔(ジュアン・ジエ)。あの気まずい雰囲気のまま、二人はどうなってしまうのかとハラハラしていましたよね。第16話は、そんな視聴者の心を揺さぶる、すれ違いと和解、そして深い愛が描かれた神回でした!
早速、胸が締め付けられ、そして温かい涙が流れる第16話の詳しいあらすじとネタバレを見ていきましょう。
砕け散った心と、届かない想い
物語は、マイドンが一人、新居で砕け散った泥人形の欠片を拾い集めるシーンから始まります。その背中はあまりにも寂しく、壁にもたれて静かに涙を流す姿に、冒頭から胸が張り裂けそうでした。彼がどれだけジエの言葉に傷ついたのかが痛いほど伝わってきます。
一方、成都から戻ったジエ。マイドンの留守中に、彼のおばあちゃんにプレゼントを渡します。しかし、風邪をひいてしまったため、うつしてはいけないと早々に立ち去るしかありませんでした。会いたいのに会えない、もどかしい距離が二人を引き裂きます。
同窓会での再会と、決定的な亀裂
そんな中、二人は同窓会で顔を合わせることに。すぐ近くの席に座っているのに、その間には見えない壁があり、とてつもなく遠く感じられます。ジエは笑顔で同級生たちのからかいに対応しますが、その視線は常にマイドンを追っていました。
しかし、ここで事件が起こります。同級生の梁偉(リャン・ウェイ)が、父親の事業が成功しているにも関わらず、それを鼻にかけないマイドンの態度を「高尚ぶっている」と皮肉り始めたのです。聞いていられなくなったジエが割って入りますが、梁偉(リャン・ウェイ)に一喝されてしまいます。そのやり取りに、ついにマイドンの我慢も限界に。一触即発の険悪なムードとなり、マイドンは黙って席を立ってしまいました。
慌てて後を追いかけるジエ。「あの言葉は言うべきじゃなかった」と、以前の失言を必死に謝ります。でも、マイドンの心には届きません。足を止めない彼を引き留めようと、ジエはとっさに足の痛みを利用します。
「侮辱する必要はなかった。俺にも尊厳があるんだ」
そう言ってジエの手を振り払い、「もう君とは関わりたくない」と冷たく言い放つマイドン。その言葉にショックを受けたジエは、その場で意識を失い倒れてしまうのでした…。
雨降って地固まる、二人の和解
幸い、マインドンがジエを家まで送り届け、大事には至りませんでした。家の外で心配そうに待ち続けるマイドンの姿に、彼の愛情の深さを感じずにはいられません。
この一件は、ジエの家族の心も動かします。妹と弟の説得もあり、母・廖濤(リャオ・タオ) はついに二人の交際を受け入れる姿勢を見せ始めました。遠距離恋愛なんて問題じゃない、大切なのは真剣な気持ちだと。そして、ジエがマイドンに向ける愛が本物だと確信するのです。
その頃、家でやけ酒をあおっていたマイドンも、年越しの夜の出来事を思い返し、どうしてもジエを忘れられない自分に気づきます。彼は勇気を振り絞り、ジエにメッセージを送りました。
「今、家の外にいる」
そのメッセージを見たジエは、狂喜して外へ駆け出します。そして、マイドンの胸に飛び込み、ついに失言の裏にあった本当の気持ちを打ち明けました。幸いにもマイドンは彼女の言葉を受け入れ、二人の間のわだかまりは、雪が解けるように消えていったのです。
愛の新しいカタチと、トラウマの告白
恋人との関係が元に戻ったジエは、すっかり元気を取り戻し、SNSで交際を匂わせる投稿をするなど、幸せいっぱい。マイドンも彼女の店を手伝いに来て、「ちゃんとしたデートをしよう」と提案します。
その夜、マイドンは新居に素敵なディナーを用意。甲斐甲斐しくエビの殻を剥いてくれるマイドンに、ジエは自身の考えを語り始めます。まず自分自身を愛すること、そして愛は必ずしも結婚という形で証明される必要はないということ。血の繋がった家族でさえ頼りにならないことがあるのだから、愛のために一生を賭けるのはお互いの負担になる、と。
その夜、マイドンはジエを新居に泊めますが、彼女からの誘いを「まだ心の準備ができていない」と優しく断ります。彼はただ、彼女を待ちたかったのです。
そして、このエピソードのクライマックスが訪れます。帰り道のマイドンにかかってきたジエからの電話。彼女は、大学時代に付き合った彼氏に義足を見せた時の辛い経験を打ち明けます。彼が見せた驚きと嫌悪の表情が、彼女の心に深い傷を残していたのです。手術後の醜い傷跡を、誰かに見られることへの恐怖を、涙ながらに告白しました。
ジエの脆さを初めて知ったマイドンは、自身の経験を交えながら、優しく彼女を慰めます。
「知人でも、恋人でも、どんな関係でもいい。ただ、君と一緒にいたい」
その言葉に深く感動したジエは、電話の向こうから、震える声でこう尋ねるのでした。
「……今から、戻ってこない?」
『春色の恋人』第16話の感想
今回は、登場人物たちの感情の機微が非常に丁寧に描かれた、見ごたえのあるエピソードでした。特に印象的だったのは、すれ違いのどん底から、二人がより深いレベルで結びついていく過程です。同窓会での衝突は観ていて辛かったですが、あれがあったからこそ、お互いの本音と向き合うきっかけになったのでしょう。
荘潔(ジュアン・ジエ)が打ち明けた過去のトラウマは、彼女がこれまで見せてきた強さの裏にある、痛々しいほどの脆さを浮き彫りにしました。そして、その告白を静かに受け止め、「どんな関係でもいいから一緒にいたい」と応えた陳麦冬(チェン・マイドン)の愛情の深さには、心からの感動を覚えました。愛とは、相手の輝く部分だけでなく、弱さや傷も含めて丸ごと包み込むことなのだと、改めて教えられた気がします。
また、結婚という形にこだわらない荘潔(ジュアン・ジエ)の価値観も、現代的で深く考えさせられるテーマでした。二人がこれからどんな「愛の形」を築いていくのか、その選択から目が離せません。
つづく