ホーおじさんの突然の死により、荘潔(ジュアン・ジエ)たち家族は深い悲しみに包まれる。上海から駆け付けた荘潔は、気丈にも葬儀の準備を取り仕切るが、心には大きな後悔を抱えていた。一方、遺体修復師の陳麦冬(チェン・マイドン)は、プロとして故人に最後の尊厳を与えようと静かに仕事を進める。悲しみに打ちひしがれる荘潔に、陳麦冬はそっと寄り添い、自身の過去を語り始める。それは、彼が「生と死」に深く向き合うことになった、忘れられない出来事だった。
「春色の恋人」あらすじネタバレ7話
あまりにも突然の、そしてあまりにも悲しい別れが訪れてしまいましたね。『春色の恋人』第7話は、ホーおじさんとの永遠の別れを描く、涙なしには見られないエピソードとなりました。
事態はあまりに突然で、誰もが心の準備ができていませんでした。特に妻の廖濤(リャオ・タオ) は悲しみのあまり、葬儀の準備もままならない状態。そんな中、ホーおじさんの戦友や友人たちが霊安所の設営を進め、上海から駆け付けた荘潔(ジュアン・ジエ)がその重責を引き継ぐことになります。まだ幼い何袅袅(ホー・ニャオニャオ)が、自分が父親を失ったことを理解し、荘潔(ジュアン・ジエ)の胸で泣きじゃくる姿は、見ているこちらの胸も締め付けられました。
一方、斎場では、陳麦冬(チェン・マイドン)が遺体修復師として、ホーおじさんの最後の身支度を整えていました。プラスチックによる修復技術について、不安げな廖濤(リャオ・タオ) に丁寧に説明する彼の姿は、まさにプロフェッショナル。その真摯な態度に、廖濤も少しだけ心を落ち着かせ、夫の最後の顔を彼に託します。
荘潔は、気丈にも弔問客の対応に追われますが、その心は悲しみで張り裂けそう。地元の風習で「喪主は息子が務める」というしきたりに従い、血の繋がらない弟の荘研(ジュアン・イェン)にその役目を頼む場面からは、彼女の責任感と、どうしようもないやるせなさが伝わってきました。
そして、最も涙を誘ったのが、陳麦冬(チェン・マイドン)が修復を終えた後のシーンです。彼は廖濤を呼び、夫であるホーおじさんに最後の靴を履かせてあげるよう促します。こらえていた感情が堰を切ったように溢れ出し、夫の足元で泣き崩れる廖濤。その姿を物陰から見ていた荘潔もまた、声を殺して涙を流すのでした。
夜が更け、皆が疲れ果てた頃。足の痛みに耐えながらも弔いを続けていた荘潔は、ついに一人、ホーおじさんの遺影の前で崩れ落ちます。「お父さんって、呼んであげられなかった…」。彼女の後悔と悲しみに満ちた慟哭は、あまりに痛切でした。
そんな彼女にそっと寄り添ったのが、陳麦冬でした。彼は荘潔を休憩室に連れて行き、静かに自身の過去を語り始めます。17歳の時、一本の電話に出られなかったことで親友を失い、彼の亡骸を目の当たりにしたこと。茫然自失だった自分を、師匠が平手打ちで目覚めさせてくれたこと。そして、その師匠から「死は突然訪れる。嘆くだけではだめだ。誰かがやるべきことをやらなければならない」と教えられ、この道に進んだこと。
「失うことの本質は、受け入れることを教えてくれるんだ」。陳麦冬が語る言葉の一つひとつが、彼の深い悲しみと、それを乗り越えてきた強さを物語っていました。彼もまた、大切な師匠を自らの手で見送った経験があったのです。「去るべきものは、必ず去る。留めることはできない。人として生きる以上、悲しみを乗り越えていくしかないんだ」。
彼の言葉は、荘潔だけでなく、私たちの心にも深く、静かに染み渡っていきました。物語の最後、一人残された廖濤が、涙をこらえながら黙々と料理の準備をする姿が映し出されます。その静寂が、残された者の悲しみの深さを物語っているようでした。
『春色の恋人』第7話の感想
今回は、人の「死」という非常に重く、繊細なテーマを扱ったエピソードでした。しかし、その描き方は決して感傷的になりすぎず、静かで、丁寧で、だからこそ登場人物たちの悲しみがより深く伝わってきました。特に印象的だったのは、陳麦冬の過去が明かされた場面です。彼がなぜ遺体修復師という仕事を選んだのか、その根底にある優しさと、彼自身が抱えてきた癒えない悲しみが明らかになり、キャラクターに圧倒的な深みが加わりました。荘潔が抱える後悔を、ただ静かに受け止め、自身の経験をもって彼女を導こうとする彼の姿は、二人の関係が新たな段階に入ったことを感じさせます。派手な展開はありませんでしたが、心にじんわりと残り続ける、忘れられない回になりました。
つづく