それぞれの道を選び、故郷の南枰(ナンピン)鎮と大都市・上海へと離れた陳麦冬(チェン・マイドン)と荘潔(ジュアン・ジエ)。しかし、駅での別れ際に撮られた一枚の写真が小さな町で拡散され、二人は思わぬ噂の的となってしまう。上海でキャリアを追求する荘潔と、故郷で静かに生きる陳麦冬。互いを想いながらも、二人の間には埋めがたい距離が生まれていく。それぞれの場所で日常を取り戻そうとしていた矢先、荘潔の元に故郷から衝撃的な知らせが届く。その一本の電話が、止まっていた二人の運命を再び動かし始めるのだった。

「春色の恋人」あらすじネタバレ6話

列車がゆっくりと動き出し、陳麦冬(チェン・マイドン)と荘潔(ジュアン・ジエ)は、それぞれ別の方向へと向かっていきました。あの衝動的なキスが、甘く切ない余韻を残して。でも、物語はここから思わぬ方向へ転がり始めるんです。

なんと、列車に乗り合わせた南枰(ナンピン)鎮の同郷の人が、二人の写真を撮ってグループチャットに投稿!この一枚の写真が、たった半日で町中に知れ渡る大事件に発展します。何も知らない陳麦冬(チェン・マイドン)は、町の人々から向けられる意味深な視線と祝福の言葉に、ただただ困惑するばかりでした。

一方、上海のシェアハウスに戻った荘潔(ジュアン・ジエ)も、友人からの連絡で写真の件を知り、ようやく事の次第を理解します。その頃、陳麦冬(チェン・マイドン)もチャットで写真を発見。「もう黄河に飛び込んでも身の潔白は証明できない!」と、頭を抱えるのでした。

陳麦冬の弟子の馮希倫(フォン・シーロン)は、この騒動を「師匠についに春が来た!」と大喜び。父親の誕生日で仕事を代わってもらう際には、「もし師匠が突然結婚してハネムーンに行くなら、僕が喜んで代わりますから!」なんて、気の早い言葉でからかう始末です。

その夜、仕事を代わった陳麦冬は、亡くなったお年寄りのそばに小さな子供がいるのを見つけます。それは亡くなった方のお孫さんでした。まだ死を理解できず、「おばあちゃんが怒って口をきいてくれないだけ」と信じている男の子を、陳麦冬はたまらない気持ちで抱きしめ、優しく慰めるのでした。

上海では、荘潔(ジュアン・ジエ)が友人の王西夏(ワン・シーシア)に本音を漏らします。陳麦冬のことはずっと好きだったけれど、それと同じくらい上海という街が好きだと。故郷の南枰鎮を離れない陳麦冬とは、越えられない壁があるのです。「一人の力で、一つの街には勝てない。理性的な人は、感情的な愛は手に入れられないのよ」という友人の言葉が、彼女の胸に突き刺さりました。

深夜、悩んだ末に荘潔は陳麦冬にメッセージを送ることにします。「無事に上海に着いたよ」と伝えたいだけなのに、書いては消し、書いては消し…。ようやく決心して送信ボタンを押すと、画面には非情なメッセージが。「友達認証が必要です」――なんと、陳麦冬は彼女を友達リストから削除していたのです。

翌朝、陳麦冬は祖母に「荘潔を削除した。もう連絡は取らない」と告げます。孫の辛い決断を察した祖母は、二人の縁のなさを嘆きつつも、また新たなお見合いの話を進めるのでした。

こうして二人は、それぞれの街で、それぞれの日常に戻っていきます。荘潔は持ち前のコミュニケーション能力でバリバリと仕事をこなし、陳麦冬は気乗りのしないお見合いを繰り返す日々。

そんなある日、荘潔の元に衝撃的な知らせが舞い込みます。妹からの電話で、継父の何彰躍(ホー・ジャンユエ)が事故で亡くなったというのです。遺体は、陳麦冬が働く葬儀場に直接運ばれることに。失意の家族の姿を前に、陳麦冬は複雑な思いで立ち尽くすのでした。離れたはずの二人の運命が、最も悲しい形で再び交差しようとしていました。

『春色の恋人』第6話の感想

今回のエピソードは、二人の間の物理的な距離だけでなく、心の距離までもが浮き彫りになる、非常に切ない回でした。特に、陳麦冬が荘潔をSNSの友達から削除するシーンは、彼の不器用ながらも断ち切ろうとする決意の表れであり、観ていて胸が締め付けられました。彼は遺体整復師として死と向き合う冷静さを持ちながら、幼い子供にはこの上ない優しさを見せる。その人間的な深みが、彼の行動をより一層切なく感じさせます。一方で、上海でキャリアを築く荘潔の強さと、恋愛における迷いとの対比も見事でした。彼女の「理性的であろうとする姿」が、かえって彼女の本当の気持ちを際立たせています。最後の突然の訃報は、そんなすれ違う二人の日常を打ち破る衝撃的な出来事です。この悲劇が、停滞していた二人の関係にどのような変化をもたらすのか、静かな緊張感をはらんだ見事なエンディングだったと思います。

つづく