信じてきた王朝への忠誠心に迷いが生じた穆青(ムー・チン)は、尊敬する師と若き皇帝の墓前で自らの無力さを嘆き、慟哭する。そんな中、彼は「浄壇秘蔵(じょうだんみぞう)」を追って福建で行方不明になった侍衛の手がかりを偶然入手し、謎を追うことを決意する。一方、卓不凡(ジュオ・ブーファン)や王家洛(ワン・ジアルオ)ら各勢力も、それぞれの思惑を胸に秘蔵の眠る地・福建を目指していた。運命の糸が絡み合い、物語は新たな舞台へと動き出す。

「天行健~革命前夜、風立ちぬ~」あらすじネタバレ27話

いやはや、今回の『天行健』は、主人公・穆青(ムー・チン)の心が張り裂けんばかりの葛藤に、見ているこっちまで胸が締め付けられましたね。物語は新たな局面を迎え、すべての道が「福建」へと通じ始めました。一体何が待ち受けているのか、さっそく第27話の世界に飛び込んでみましょう!

忠誠心の崩壊、雨中の慟哭

物語は、穆青(ムー・チン)の元婚約者であるウランシャンが、彼に痛烈な問いを投げかけるシーンから始まります。「なぜ、もう終わってしまった王朝のために戦うの?この王朝があなたにくれたのは、痛みだけじゃない」。この言葉は、穆青(ムー・チン)の心のど真ん中を撃ち抜きます。彼女が革命思想に触れているのではと疑う穆青ですが、側近の柳琳(リウ・リン)はそれを否定。むしろ、ウランシャンは今でも穆青を想っているからこそ、福建行きを喜んだのだと告げます。この言葉を信じるしかない穆青でしたが、彼の心は大きく揺さぶられていました。

師である程昱(チェン・ユー)の墓前で、穆青は完全に道を見失ってしまいます。自分が守ろうとしている皇権とは、本当に民の平和を守るものなのか。宿敵である存清(ツン・チン)が血眼で探す「浄壇秘蔵(じょうだんみぞう)」は、本当に国を強くするためのものなのか。かつて維新派を助けた師は朝廷の敵とされ、自分は正しい道にいるのか、それとも迷い込んでいるだけなのか…。答えの出ない問いに苛まれた穆青は、雨の降る中、若くして亡くなった光緒(こうしょ)帝(こうしょてい)の陵墓の前で、子供のように声を上げて泣き崩れるのでした。このシーンは、彼の忠誠心と信念がガラガラと崩れ落ちていく様を見事に描き出しており、圧巻でした。

福建への道、新たな手がかり

そんな穆青の前に、一人の老人が現れます。彼はただの墓守ではありませんでした。なんと、かつて内務府に所属し、行方不明となったエリート侍衛・栾奕(ルアン・イー)の腰牌を持っていたのです。老人の話によれば、栾奕は「浄壇秘蔵」を追って福建へ向かい、泉州の土楼客棧(どろうきゃくさん)で消息を絶ったとのこと。しかし、穆青はその腰牌に残された文字が栾奕の筆跡ではないことを見抜きます。何者かが意図的に残した偽の手がかり。穆青は、この謎を解き明かすため、福建へ向かう決意を新たにするのでした。

各陣営、それぞれの思惑

一方、他の勢力も福建を目指していました。

剣の達人・卓不凡(ジュオ・ブーファン)は、「浄壇秘蔵」の秘密を握る一族の子孫を突き止め、衝撃の過去を聞き出します。その祖父は、師を殺して宝の地図を奪ったものの解読できず、役人に献上。その後、内務府の駒として利用され、宝の口令を知る南少林の伝承者を待ち伏せましたが、返り討ちに遭っていたのです。卓不凡(ジュオ・ブーファン)は、盗み聞きしていた王家洛(ワン・ジアルオ)の存在に気づきながらも、あえて見逃し、静かにその場を去ります。

その王家洛(ワン・ジアルオ)は、師を狂わせた一族への復讐心と、彼らが朝廷の功臣であるという事実の間で激しく葛藤していました。そんな彼に、仲間の林安靜(リン・アンジン)は「本当の復讐とは、宝を見つけ、融天嶺(ゆうてんれい)を出し抜き、卓不凡(ジュオ・ブーファン)を絶望させることだ」と諭します。この言葉が、王家洛(ワン・ジアルオ)の新たな道標となります。

さらに、日本の組織「清伊(きよい)信風(きよいしんぷう)」も、秘蔵の新たな手がかりが福建泉州の「仄澤居(そくたくきょ)」にあることを掴み、北洋軍閥の鐘海潮(ジョン・ハイチャオ)との協力を画策していました。

こうして、穆青、卓不凡、王家洛、そして清伊(きよい)信風。それぞれの目的と思惑を胸に、すべての者たちが運命の地・福建へと引き寄せられていくのでした。

『天行健~革命前夜、風立ちぬ~』第27話の感想

今回のエピソードは、主人公・穆青の内面が深く掘り下げられた、非常に見ごたえのある回でした。彼がこれまで疑うことなく捧げてきた忠誠心が、元婚約者の言葉をきっかけに揺らぎ始め、尊敬する師の墓前、そして志半ばで倒れた皇帝の陵墓の前でついに崩壊する様は、痛々しくも人間味にあふれていました。特に雨の中で慟哭するシーンは、彼の孤独と絶望が伝わってきて、胸に迫るものがありました。

また、卓不凡や王家洛といった他の主要人物たちの葛藤や決意も丁寧に描かれており、物語に一層の深みを与えています。それぞれの正義と目的が複雑に絡み合い、誰が善で誰が悪か、簡単には割り切れないところがこのドラマの魅力だと再認識させられます。すべての道が福建へと収束していく展開は、新たな嵐の到来を予感させ、物語が次のステージへ進んだことを明確に示していました。

つづく