愛した女性・林安靜(リン・アンジン)が敵のスパイだと知った王家洛(ワン・ジアルオ)は、雨の中で苦渋の決断を迫られます。一方、卓不凡(ジュオ・ブーファン)は最も信頼していた兄弟子・于煥傑(ユー・ホアンジエ)の裏切りに遭い、霍芩(フオ・チン)と共に命からがら逃亡するも、再び窮地に立たされます。その頃、穆青(ムー・チン)は政変を目論む淇親王(きしんのう)から協力を持ちかけられ、計画の裏に潜む更なる巨悪の存在を知らされるのでした。三人の主人公がそれぞれ絶体絶命の危機に直面する中、物語は核心へ向けて大きく動き出します。
「天行健~革命前夜、風立ちぬ~」あらすじネタバレ34話
いやはや、今回の『天行健』は息つく暇もないとはこのこと。物語が大きく、そして残酷に動き始めましたね。特に、王家洛(ワン・ジアルオ)と林安靜(リン・アンジン)の結末には胸が締め付けられました。
雨中の悲劇、愛と裏切りの果てに
清伊(きよい)信風の指示を受け、林安靜(リン・アンジン)は再び王家洛(ワン・ジアルオ)のそばに戻ります。彼女の心の中では、任務と王家洛への愛が激しくせめぎ合っていたことでしょう。しかし、運命は非情です。
王家洛は血の跡を追い、ついに林安靜がスパイであるという動かぬ証拠を掴んでしまいます。穆青(ムー・チン)から再三注意されていたものの、愛する人を信じたい一心で耳を貸さなかった王家洛。その彼が、雨の降る中、林安靜と対峙するシーンは、まさに断腸の思いでしたね。
林安靜は、王家洛を騙していたこと、情報を盗んでいたことを認めます。しかし、同時に「あなたを愛しているのも、あなたに嫁ぎたいと思ったのも本当」と涙ながらに訴えるのです。どんな生活でもいい、あなたと一緒に行きたいと。
ですが、王家洛にとって、朝廷への忠誠は命そのもの。外敵と通じ、国の宝を狙う行為は、彼の正義が絶対に許さない罪でした。愛と忠誠の狭間で苦悩した末、王家洛は自らの手で林安靜の命を絶つという、あまりにも悲しい決断を下します。息絶える間際、林安靜は「本当の名前は思い出せないけど、林安靜という名前が好き。大沽に連れて帰って」と最後の願いを告げます。愛した女性の亡骸を抱きしめ、雨の中で号泣する王家洛の姿は、見る者の心を激しく揺さぶりました。
信じていた者の裏切り、卓不凡(ジュオ・ブーファン)、絶体絶命
一方、卓不凡(ジュオ・ブーファン)もまた、過酷な運命に翻弄されます。
なんと、ずっと行動を共にしてきた兄弟子・于煥傑(ユー・ホアンジエ)が、彼を裏切っていたのです。于煥傑(ユー・ホアンジエ)は卓不凡と霍芩(フオ・チン)を鐘海潮(ジョン・ハイチャオ)の元へ連れて行くと、鐘海潮(ジョン・ハイチャオ)は卓不凡に封印を渡すよう迫ります。時を同じくして、于煥傑が卓不凡に斬りかかりました。この瞬間、卓不凡はすべてを悟ります。
霍芩(フオ・チン)の助けでなんとかその場を逃げ出したものの、卓不凡は深手を負ってしまいます。霍芩に「自分を置いて逃げろ」と告げる卓不凡ですが、彼女は「息がある限り、あなたを置いていかない」と固い決意を見せます。しかし、そんな二人の前に、于煥傑が再び手下を引き連れて現れ、二人を門派の裏切り者として始末しようとします。重傷の卓不凡と霍芩では、多勢に無勢。まさに絶体絶命のピンチです。
穆青(ムー・チン)の暗躍と、新たな真実
その頃、穆青は林浩瀚(リン・ハオハン)(リン・ハオハン)(リン・ハオハン)と共に仄澤居に戻っていました。そこで彼を待っていたのは、なんと淇親王(きしんのう)。淇親王(きしんのう)は、穆青の師である存清(ツン・チン)大人が亡くなったことを告げ、彼に協力を持ちかけます。政変決行の「芒種(ぼうしゅ)の日」まであと四日。もし協力するなら、一品高官の地位と、かつての恋人ウランシャンとの復縁を約束するというのです。さらに、この計画は摂政王・載灃(さいほう)も承知の上で、むしろ裏で後押ししているという衝撃の事実まで明かしました。穆青は、新王朝の礎となるべき男だと、淇親王は彼を高く評価しているようです。
そして物語は、再び卓不凡たちの窮地へ。
万事休すかと思われたその時、颯爽と現れたのが穆青と林浩瀚(リン・ハオハン)(リン・ハオハン)(リン・ハオハン)でした。二人は于煥傑らを蹴散らし、卓不凡と霍芩を救出します。
穆青たちが逃げ込んだのは、林浩瀚(リン・ハオハン)が案内した一軒の肉屋。しかし、追手はすぐそこまで迫っています。穆青がとある「合言葉」を口にすると、肉屋の店員たちの目の色が変わり、一斉に助太刀してくれました。そう、こここそが、探し求めていた本物の「南少林」の拠点だったのです。
『天行健~革命前夜、風立ちぬ~』第34話の感想
今回は、主要人物三者三様の苦難が色濃く描かれた回でした。特に、王家洛が下した決断の重さには言葉を失います。彼が貫こうとした「正義」が、最も愛する人を手にかけるという形でしか成就されなかったのは、あまりにも皮肉で悲痛です。彼の頑ななまでの忠誠心が、自らを破滅へと導いていく様は、時代の大きなうねりに翻弄される個人の無力さをも感じさせました。一方で、信じていた兄弟子に裏切られた卓不凡の絶望と、それでも彼を支えようとする霍芩の健気な姿も印象的でした。そして、全ての動きを冷静に見据え、ついに物語の核心へと足を踏み入れた穆青。彼が淇親王の誘いにどう応じるのか、そして明らかになった南少林の拠点で何が起こるのか、物語の行く末から目が離せません。それぞれの信念が激しくぶつかり合い、物語が大きく転換した、見応えのある一話でした。
つづく