付き合って10年。もはや家族のような、空気のような存在になった恋人。いるのが当たり前で、いない生活なんて考えられない。でも、そこに「愛」はまだあるんだろうか…?
そんな、誰もが一度は考えたことがあるかもしれない、リアルな悩みの渦中にいるのが、今回の主人公シュー・ヌオ。フラワーコーディネーターとして働く彼女には、ポン・ユーアンという10年来の恋人がいます。でも、二人の会話はどこか事務的で、恋人らしい甘い雰囲気はとっくに消え失せていました。
親友のシー・ランからは「早く結婚しなよ!」と急かされるけど、当の本人たちは仕事にかまけてすれ違うばかり。そんな停滞した日々に、ある日、思いがけない出会いが訪れます。
第1話「雪の夜の出会い」あらすじネタバレ
ある日の朝、親友シー・ランの家で目覚めたシュー・ヌオは、ソファに血痕を発見してパニックに。犯人は、シー・ランの愛猫モーモーでした。どうやら血便をしてしまった様子。その日は大事な仕事があるシー・ランに代わって、シュー・ヌオがモーモーを動物病院へ連れて行くことになります。
そこで出会ったのが、獣医師のジャオ・ジン。慣れない手つきでモーモーをケージから出そうとしたシュー・ヌオは、腕を引っかかれてしまいます。彼女が猫の飼い主ではないと見抜いたジャオ・ジンは、手際よく傷の手当をしてくれました。
「ワクチンは打たないんですか?」と尋ねるシュー・ヌオに、「ここは動物病院なので」と冷静に返すジャオ・ジン。クールに見えながらも、診察結果を後で連絡するためにと、ごく自然にWeChat(メッセージアプリ)の連絡先を交換。さらに、帰り際には塗り薬まで渡してくれるという優しさを見せます。この小さな親切が、シュー・ヌオの心に静かな波紋を広げました。
一方、恋人のポン・ユーアンは、自身の基金会社で多忙な日々を送っていました。彼の父親は、ポン・ユーアンが仕事のパートナーで資産家の娘でもあるツォン・シャンと、もっと親密な関係になることを望んでいます。父親から「自分にとって何が必要か、よく考えろ!」と叱責され、シュー・ヌオとの将来に迷いを見せ始めるポン・ユーアン。
シュー・ヌオとポン・ユーアンの関係は、ささいなことでギクシャクします。食事の約束を「仕事狂のパートナー(ツォン・シャン)がいるから」とドタキャンされ、不機嫌になるシュー・ヌオ。そんな彼女に苛立ったポン・ユーアンが「じゃあ今すぐ結婚しよう!」と投げやりに言う始末。それはプロポーズとは到底呼べない、棘のある言葉でした。
心が行き場をなくし、雪が降る夜にまた親友シー・ランの家を訪れたシュー・ヌオ。出前を頼んだ時、配達に来たのがなんと、同じアパートの上の階に住むジャオ・ジンだったことが判明します。
偶然の再会に驚きながらも、シー・ランと食事を終え、タクシーで帰路につくシュー・ヌオ。その姿を、ジャオ・ジンは自室の窓から静かに見つめていました。そして、彼女のスマホが震えます。ジャオ・ジンからのメッセージでした。
「雪、見ない?」
その短い誘いに、シュー・ヌオは「今から?」と返しながらも、彼の提案を受け入れるのでした。冷え切った心に、新しい何かが溶け込み始める予感を漂わせながら、第1話は幕を閉じます。
『愛しているのに』第1話の感想
長年連れ添ったことで、恋人との関係が少しずつ形を変えていく様子が、非常に丁寧に描かれていると感じました。主人公シュー・ヌオが抱える、言葉にならない寂しさや物足りなさが、表情やため息からひしひしと伝わってきます。一方で、恋人のポン・ユーアンも仕事や家族からのプレッシャーに挟まれ、彼なりに葛藤しているのが見て取れます。どちらか一方が悪いわけではない、という現実的なすれ違いがもどかしいです。そんな中で現れた獣医師ジャオ・ジンの存在は、まさに乾いた心に染み渡る一滴の水のようでした。彼のさりげない優しさと、少し強引なアプローチが、停滞した物語をどう動かしていくのか。登場人物たちの心情が繊細に描写されており、今後の人間模様の深化に期待が持てます。
つづく