ついに始まりましたね、『明蘭~才媛の春~』!初回から北宋の大家族盛(せい)家の複雑な人間模様がぎゅっと詰まっていて、見ごたえ抜群でした。さっそく第1話のあらすじとネタバレを、感想を交えながらお届けします!
凍える冬と燃え上がる女の戦い
物語は北宋時代の揚州、官僚である盛家の屋敷から始まります。主人公は、当主・盛纮(せいこう)の六番目の娘、盛明蘭(せいめいらん)。彼女の母・衛恕意(えいじょい)は身分の低い側室で、しかも妊娠中。だというのに、冬を越すための炭さえまともに与えられないという、なんとも不遇な状況に置かれています。
侍女の小蝶(しょうちょう)があんまりだ!と厨房に掛け合いますが、意地の悪い担当者に煙の多い粗悪な炭を押し付けられる始末。この家の権力構造が、この炭一つで透けて見えますね。母の衛恕意は波風を立てることを嫌い、自分の嫁入り道具を売って炭を買おうとしますが、聡明な明蘭はそれをそっと止めます。この幼い少女の瞳には、すでに現実を見据える強い光が宿っているようです。
おめでたい結納で大事件発生!
その頃、盛家では長女・華蘭(からん)の結納の儀が盛大に行われていました。華蘭は正室・王若弗(おうじゃくふつ)の娘で、いわばエリート。しかし、婚約相手の袁(えん)家は、当主夫妻ではなく長男を代理でよこすという非礼な態度。これに正室の王若弗(おうじゃくふつ)はカンカンです。
そんな不穏な空気の中、さらなる事件が!宴の余興で行われた投壺(とうこ)という、壺に矢を投げ入れる遊びで、とんでもないことが起こります。王若弗(おうじゃくふつ)を差し置いて当主の寵愛を一身に受ける側室・林噙霜(りんきんそう)が、なんと姉の結納品である雁を賭けてしまい、連戦連敗!
この雁は夫婦円満の象徴。それを失うなんて、盛家の面目は丸つぶれです。知らせを聞いた王若弗は怒り心頭、林噙霜(りんきんそう)の屋敷に乗り込み、その顔に強烈な平手打ち!しかし、林噙霜(りんきんそう)は一枚上手。涙ながらに許しを請い、夫の盛纮(せいこう)の前で息子を厳しく罰する苦肉の策で同情を誘い、この場を巧みに切り抜けてしまうのです。女の戦い、恐ろしい…!
救世主は、虐げられた少女・明蘭
投壺の勝負は、いよいよ最後の矢。誰もが諦めかけたその時、物陰からすっと現れたのが、なんと幼い明蘭でした。彼女は小さな手で弓を引き、見事な一矢を壺の中へ!
場が騒然とする中、明蘭は相手方の白燁(はくよう)と互角の戦いを繰り広げます。そして最終局面、相手の繰り出した絶技に対し、さらに見事な技で勝利を収め、姉の結納品と盛家の名誉を守り抜いたのです。いやー、このシーンは本当に胸がすく思いでしたね!
しかし、手柄を立てた明蘭を待っていたのは、母からの厳しい叱責でした。目立てば災いがふりかかる。私たちは息を潜めて生きるしかないのと諭す衛恕意の言葉が、この家の厳しい現実を物語っています。父・盛纮(せいこう)が労いに来ても、母の言いつけを守り、炭の不足を訴えることもできない明蘭。父からもらったお菓子を手に、彼女は何を思ったのでしょうか。華やかな屋敷の片隅で、小さな炎が静かに、しかし確かに燃え始めた、そんな予感に満ちた第1話でした。
『明蘭~才媛の春~』第1話の感想
初回から、家族という名の戦場で繰り広げられる、息詰まるような権力争いを見せつけられました。正室でありながら夫の心をつなぎ留められない王若弗の苛立ちと、寵愛を武器に家を支配しようとする側室・林噙霜のしたたかさ。そして、その間で駒のように扱われる子供たち。特に、寵愛を得るために息子を公衆の面前で打ち据える林噙霜の姿は、この家の歪みを象徴しているようでした。
そんな中、虐げられながらも、内に秘めた聡明さと芯の強さで一矢報いた少女・明蘭の姿は、暗い屋敷に差し込んだ一筋の光のようです。彼女が母の目立つなという教えと、自らの正義感との間でどう生きていくのか。単なる愛憎劇ではなく、一人の女性の生き様を丁寧に描こうとする気概を感じる、重厚な幕開けでした。
つづく