雨の降る街で、謎の連続殺人事件が発生。時を同じくして、妖怪が見える不思議な力を持つ名家の令嬢・半夏(ハンゲ)は、従兄が身分の低い歌伎を嫁に迎えることに言いようのない不安を覚えていた。華やかな婚礼の日、彼女の目にだけ映ったのは、花嫁にまつわる不吉な影。そこへ、妖怪を狩るという謎の男・宣夜(センヤ)が現れ、花嫁は妖怪だと告げる。半夏(ハンゲ)の持つ特殊な能力と、彼女に近づく捉妖師。二人の出会いが、街に潜む大きな謎の扉を開くことになる。

「無憂渡~瞳に映った真実の愛~」あらすじネタバレ1話

降りしきる雨が、活気ある街・柟陽城(なんようじょう)を濡らしています。物語は、そんな雨の日の飯屋から幕を開けます。

とんでもない量を平らげる一人の男、宣夜(センヤ)。周りの客がジロジロ見るのも気にせず、彼は黙々と食べ続けていました。そこへ、派手な身なりの歌い手の女が入ってきますが、宣夜(センヤ)はその女に何か不穏なものを感じ取り、眉をひそめます。

その直後、店の主人が息子の姿が見えないと慌て始めました。外に飛び出すと、息子が水たまりに落ちた紙蛙を拾おうとしており、その水面から不気味な手が伸びて彼を引きずり込もうとしていたのです!間一髪、宣夜が駆けつけその手を切り落とし、子供を救いますが、妖怪は姿を消してしまいました。しかし、飯屋に戻った宣夜が目にしたのは、先ほどの歌い手の女が喉を貫かれて殺されている無残な姿でした…。

この事件は、街を騒がす連続割喉殺人事件の一つ。捜査を担当する県尉の段言秋(ダン・ゲンシュウ)も、全く手がかりを掴めずにいました。

一方、段家のお嬢様である半夏(ハンゲ)は、父と共に屋敷へ戻ってきたばかり。彼女には、人には見えない穢れたもの―つまり妖怪が見えるという秘密がありました。家族に心配をかけまいと、その力はもう治ったと嘘をつく半夏(ハンゲ)。しかし、従兄である段言秋が身分の低い歌伎・曲蛮娘(キョク・バンジョウ)を嫁に迎えると聞いてから、彼女の周りで奇妙な出来事が起こり始めます。

婚礼の日、半夏は曲蛮娘の姿を見た瞬間、地面に巨大な鳥の翼を持つ影がよぎるのを目撃してしまいます。そして、その結婚式の真っ最中に、あの宣夜が突如現れ、花嫁は妖怪だ!と叫ぶのです。もちろん、誰も彼の言葉を信じず、宣夜は追い払われてしまいます。

兄に訴えても妄言だと一喝され、途方に暮れる半夏。そんな彼女の部屋に、今度は宣夜本人が忍び込んできます。彼は自分が妖怪を狩る捉妖師であると明かし、半夏が持つ特別な能力を見抜いていました。そして、曲蛮娘の正体を暴くために協力しろと迫ります。

一度は彼を追い返す半夏ですが、挨拶に行った曲蛮娘の部屋で、窓に映る彼女の背中にくっきりと浮かび上がる翼の影を見てしまい、恐怖のあまり逃げ出してしまいます。

追い詰められた半夏は、わらにもすがる思いで宣夜のもとを訪れます。宣夜は、半夏が能力を抑えるために使っている薬のせいで脳が混沌としていると指摘。そして、彼女の目に特別な薬をさすと、それまで見えなかった森の中の不気味な婚礼の行列が、はっきりとその姿を現したのでした。

『無憂渡~瞳に映った真実の愛~』第1話の感想

まず引き込まれたのは、美しくもどこか湿り気を帯びた世界観でした。活気ある街の日常と、そのすぐそばに潜む妖の世界のコントラストが鮮やかで、一気に物語の中へ誘われます。主人公・半夏が抱える人には見えないものが見えるという孤独と恐怖は、とても繊細に描かれており、思わず彼女の視点で周囲を警戒してしまいました。そこに現れるミステリアスな捉妖師・宣夜の存在が、この静かな恐怖に波紋を広げます。彼の目的は何なのか、そして半夏とどう関わっていくのか。サスペンスフルな展開の中に、これから紡がれるであろう二人の運命の糸が垣間見え、物語の奥深さを予感させます。段家に渦巻く闇の正体と共に、今後の展開から目が離せません。

つづく