妖怪を取り締まる組織緝妖司が衰退した世界。記録係の文瀟(ぶんしょう)は、街で出会った謎の女性の正体が、嘘をつく妖怪訛獣(かじゅう)であることを見破ります。一方、衰退した緝妖司には、自らを大妖朱厭(しゅえん)と名乗る男・趙遠舟(ちょうえんしゅう) が現れ、圧倒的な力で組織を翻弄します。彼の真の目的とは一体何なのか?人間と妖、そして謎の組織が入り乱れる中、文瀟(ぶんしょう)を待ち受ける悲しい宿命とは…。壮大なファンタジー史劇が、今、幕を開けます。

「大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~」あらすじネタバレ1話

物語の舞台は、桢沅十三年の天都。長雨が続く中、妖怪を取り締まる組織緝妖司(しゅうようし)の記録係である文瀟(ぶんしょう)が、ふらりと立ち寄った麺屋で、笠を深くかぶった謎の女性と出会うところから物語は始まります。

この女性、ただ者じゃないんですよ。文瀟(ぶんしょう)が字が読めないフリをしてちょっかいを出すと、逆にからかわれてしまいます。好奇心を刺激された文瀟(ぶんしょう)と女性は、店先で軽い手合わせに。すると文瀟、鮮やかな手つきで女性の笠をはぎ取り、懐から取り出した涣霊散(かんれいさん)という粉を吹きかけ、女性を気絶させてしまうんです。さすが緝妖司の役人、手際がいい!

その頃、緝妖司そのものにも大事件が。自らを大妖朱厭(しゅえん)と名乗る謎の男が堂々と乗り込んできて、トップである卓翼宸(たくよくしん)に会わせろと要求します。この男、とんでもなく強い!仕掛けだらけの緝妖司内部をものともせず、卓翼宸(たくよくしん)が繰り出す宝剣雲光剣をいとも簡単にあしらってしまいます。

一方、文瀟は気絶させた女性を連行中でした。彼女の正体は訛獣(かじゅう)という、嘘で人を騙す妖怪。とはいえ、悪どい金持ちからお金を騙し取ったり、浮気者の心を弄んだりする程度で、死罪になるほどの悪党ではありません。文瀟も、相応の罰を与えたら故郷の大荒に帰してやろうと考えていました。

しかし、そこに崇武営の役人たちが立ちはだかります。彼らは文瀟の甘さを非難し、訛獣を殺そうとします。文瀟は必死で彼女をかばい、逃がそうとしますが、多勢に無勢。逃げる訛獣の背中に、無情にも矢が突き刺さります。彼女は光の粒となって消え、その場には一本の矢だけが残されました。自分の無力さと、守れなかった命を前に、文瀟はただ心を痛めるしかありませんでした。

緝妖司では、捕らえられた朱厭こと趙遠舟(ちょうえんしゅう) が、卓翼宸(たくよくしん)に驚くべき提案を持ちかけます。俺が本物の朱厭を捕まえる手伝いをしてやる。その代わり、お前の部下である文瀟を捜査に同行させろと。彼は卓翼宸が宝剣の真の力を引き出せていないことまで見抜いていました。一体、彼の目的は何なのでしょうか?

緝妖司に戻り、悲しみに暮れる文瀟の前に、牢から抜け出してきた趙遠舟(ちょうえんしゅう) 本人が現れます。まさかの対面に文瀟は足の力が抜けてしまいますが、すぐに気を取り直し、涣霊散を塗った匕首で趙遠舟(ちょうえんしゅう) に一撃!さすがの趙遠舟もこれには効いたようで、おとなしく牢に戻っていきました。

文瀟は亡くなった訛獣の資料を調べます。そこには訛獣は死ぬ間際にだけ本心を話すと書かれていました。消えゆく彼女が自分に向けた感謝の眼差しを思い出し、文瀟は少しだけ慰められるのでした。

ラストは不穏なシーンの連続。崇武営では仮面の男が血で何かを書きながら朱厭への復讐を誓い、とある屋敷では、眠る女性の枕元に水鬼が嫁に迎えに来るという不気味な手紙が置かれていました。新たな事件の幕開けを予感させ、第1話は幕を閉じます。

『大夢帰離~明かせぬ想い、宿命の朱~』第1話の感想

初回から、壮大な世界観と複雑に絡み合う人間模様、そして妖たちの宿命がぎゅっと詰まっていて、物語の世界に一気に引き込まれました。主人公・文瀟の優しさと、彼が直面する世界の非情さとの対比が鮮烈です。特に、彼が守ろうとした訛獣との短いエピソードは、美しくも悲しい余韻を残しました。一方で、圧倒的な強さと謎を秘めた趙遠舟の存在感が際立っています。彼がなぜ文瀟に執着するのか、そして緝妖司と崇武営の対立構造が今後どう展開していくのか、気になる点が満載です。アクションの見応えはもちろん、散りばめられた伏線が今後の物語をどう彩っていくのか、非常に楽しみなスタートだと感じました。

つづく