かつて錦王と称えられた天才染色職人の父を持つ少女、季英英(ジー・インイン)。彼女の幸せな日々は、父が突然の悲劇に見舞われたことで終わりを告げる。全てを失い、一家は没落してしまう。
8年後、英英は染色工房を営みながら、母と兄を支え、たくましく生きていた。そんな彼女の前に、謎めいた青年・楊静瀾(ヤン・ジンラン)が現れる。彼の出現は、止まっていた英英の運命を再び動かし始める。父の死に残された謎と、季家の再興を懸けた物語が、今、幕を開ける。
「蜀紅錦~紡がれる夢~」あらすじネタバレ1話
悲劇の始まり、そして8年後
父の無実の罪
物語は、主人公・季英英(ジー・インイン)の親父さんが、最高の栄誉を手にする場面から始まる。彼の名は季帰南(ジー・グイナン)の染色職人で、その腕はピカイチだ。特に蜀紅っていう特別な赤い絹糸を作らせたら、右に出る者はいない。その技術が認められて、彼は錦王の称号を授かるんだ。まさに人生の絶頂期。
だが、幸せは長く続かない。朝廷への貢物である蜀紅絲を役所に預けた翌日、事件は起きる。役人が粗悪品とすり替えたなと因縁をつけてきた。もちろん、そんなことはしていない。親父さんは潔白を証明するために偉い人に直談判しようとする。その瞬間、護衛の役人に斬り殺されてしまうんだ。あまりにも突然の出来事。無実の罪を着せられたまま、彼は君主を欺いたとしてその場で処刑された。
この一部始終を、幼い季英英(ジー・インイン)は家の窓から見ていた。声にならない悲鳴を上げた彼女の口を、とっさに少年が塞ぐ。彼の名は楊静瀾(ヤン・ジンラン)。これが二人の最初の出会いだった。
どん底からの再起
季家はすべてを失った。財産は没収され、英英と母、そして兄は路頭に迷う。そんな一家を助けてくれたのは、趙家の息子・趙修縁(ジャオ・シウユエン)だった。彼は一家に住む場所を用意してくれた。
ほっとしたのも束の間、今度は借金取りが押しかけてくる。親父さんが生きていた頃のツケだ。彼らは借金の代わりに蜀紅の秘伝の配合を教えろと迫る。母親は命懸けで抵抗し、なんとか追い返した。でも、とんでもない利子を付けて返す約束をさせられてしまう。
それから8年。英英はたくましい娘に成長していた。染色工房を仲間と細々と続けながら、なんとか生計を立てている。
運命の再会
川辺での出会い
ある日、英英が仲間と川で糸を洗っていると、地元の有力者である花(ホワ)家の婿養子が現れてここは俺たちの縄張りだと威嚇してくる。英英は一歩も引かない。仲間を逃がすために、一人で男の相手をする。こういう気の強さが彼女の持ち味だ。
そこに、一台の馬が暴走してくる。乗っているのは桑(サン)家のバカ息子、桑十四朗(サン・シースーラン)。女たちをからかっていたところ、英英が懲らしめようとして、馬を驚かせてしまった。男は馬から真っ逆さま。
すると、どこからか別の男が現れる。彼はなんと、落馬した桑十四朗に追い打ちをかけるように蹴りを入れ、水の中に突き落とした。この男こそ、成長した楊静瀾(ヤン・ジンラン)だった。彼は桑十四朗に俺の馬を盗んだ罰だと言い放つ。
厄介な奴らと賢いやり返し
楊静瀾(ヤン・ジンラン)は、英英が落とした髪飾りを拾う。でも、素直に返さない。ちょっと意地悪くからかってくる。8年前の悲劇の日に出会ったきりだけど、英英は彼のことを覚えていないみたいだ。
季家は相変わらず貧しい。花家がまた嫌がらせをしてくる。買い付けに来た番頭が、糸の品質にケチをつけて不当に安い値段を提示してきた。ここで英英が機転を利かせる。いったん要求を飲み、契約書にサインさせるために番頭を家の中に招き入れた。そして、飼い犬の鍋盔(グオクイ)をけしかけて脅し、まともな価格で買い取らせることに成功する。このやり返しは痛快だった。
忍び寄る過去の影
母の願いとそれぞれの決意
英英の母は、娘の気が強すぎることをいつも心配している。喧嘩っ早いせいで嫁に行き遅れるんじゃないか、と。昔から英英を気にかけてくれている趙修縁(ジャオ・シウユエン)との縁談を望んでいる。でも、英英にその気はない。兄の季耀庭(ジー・ヤオティン)も、没落した季家を再興するまでは結婚しないと心に決めている。
彼の本当の目的
楊静瀾は、実は皇帝の密命を受けてこの街に戻ってきていた。彼の目的は、8年前に季帰南が殺された蜀紅絲事件の真相を調査すること。彼は桑十四朗を使って騒ぎを起こさせ、それを助けるフリをして英英に近づこうとする。
物語の最後、楊静瀾は事件の手がかりとなる蜀紅の染料の欠片を見つける。その頃、英英は川でまたしても花家の嫌がらせを受けていた。止まっていた運命の歯車が、8年の時を経て、再び大きく動き出そうとしていた。
このエピソードの感想
いやー、第1話から飛ばしてくるね。主人公の英英が、ただの悲劇のヒロインじゃないのが最高にいい。親父さんを目の前で殺されて、家も財産も失って、普通なら心が折れる。でも彼女は8年後、めちゃくちゃタフになって帰ってきた。口が悪くて喧嘩っ早いけど、家族や仲間を守るためなら知恵も使うし、度胸もある。飼い犬を使って悪徳商人を脅すシーンなんて、思わずやれやれ!って声が出たよ。
楊静瀾もいいキャラしてる。ただの正義の味方じゃなくて、ちょっとSっ気がある感じがたまらない。ヒロインをからかいながら、裏では彼女の父の事件の真相を追っている。この二人がこれからどう絡んでいくのか、めちゃくちゃ気になる。父の死の謎、季家の再興、そして恋の行方。見どころが多すぎて、もう次が待ちきれない。
つづく