焱南国の名家・君家の若き当主、君綺羅(くんきら)。彼女は一族の使命を背負い、男として生きている。ある重要な目的のため、危険な西镶への旅に出ることを決意した。しかし旅の途中、予期せぬトラブルに見舞われてしまう。そこで綺羅は、敵国である北泫国の謎多き男、玄烈(げんれつ)と出会う。互いの素性を知らないまま、危険な状況を乗り切るため行動を共にすることになった二人。この出会いが、彼ら自身の、そして二つの国の運命をも巻き込む壮大な物語の始まりだった。

「相思令(そうしれい)~君綺羅と玄烈~」あらすじネタバレ1話

男装の当主、君綺羅(くんきら)の旅立ち

世界は3つの国に分かれている。北泫(ほくげん)、西镶(せいじょう)、焱南(えんなん)。北泫は武力、焱南は経済力で互いに睨み合ってる感じだね。物語の主人公の一人、君綺羅(くんきら)。彼女は焱南の名家、君家の当主だ。でも実は女。家業を継ぐために男として生きている。君家は百工っていう超絶技巧を持つ職人集団のトップ。綺羅はその責任を一身に背負ってるんだ。

今回、綺羅は伝説の晶石を探すために西镶へ行くって決めた。商隊を率いて、長い旅に出る。これに父親が猛反対。西镶への道は危険すぎる。特に馬賊だらけのヤバい地域を通るじゃないかって。もう男装はやめて、普通の女の子に戻れとまで言う。綺羅のことをずっと好きな祁民(きみん)と結婚して、穏やかに暮らせってさ。

でも綺羅の決意は固い。私が女に戻っても、君家の百工伝承者であることは変わらない。それに、もし自分が家を継がないと、二番手の親戚に全部乗っ取られる。あいつらじゃ、あっという間に家を潰しかねない。綺羅は自分の使命と家族を守るために、行くしかないんだ。

出発前、妹たちとの会話も面白い。三番目の妹は、姉のデカい志を理解してる。祁民みたいな普通の男じゃ、姉さんには釣り合わないよねって感じ。二番目の妹は、綺羅の秘密を知る唯一の他人である祁民は、むしろお似合いだと思ってる。この姉妹の会話で、綺羅の置かれた状況がよくわかる。

まさかの出会いと、最初の嘘

綺羅と祁民、それに商隊一行は西镶を目指して出発した。でも、途中で馬が伝染病にかかって、バタバタ死んでいく。このままじゃ目的地に時間通り着けない。大ピンチだ。

綺羅はすぐに頭を切り替える。近くに北泫の商隊がいることに気づいた。よし、あの人たちから馬を借りよう。彼女は交渉に向かう。交換条件として、君家が作る最高級の絹織物を差し出すと提案した。

北泫の商隊は、もちろん疑う。こんな普通の商隊が、そんなお宝を持ってるわけないって顔だ。そこで綺羅は次のカードを切る。私はこの先の危険な道を避ける、秘密の抜け道を知っていると。この提案が効いた。北泫商隊の責任者は、馬を貸すことに同意する。この責任者こそが、もう一人の主人公、玄烈(げんれつ)だったんだ。

玄烈(げんれつ)は北泫の重要人物。彼は自分の父親が殺された事件を追っている。その事件に、焱南の百工、つまり君家が関わっていると睨んでいる。そんな二人が、お互いの正体を知らずに出会ったわけ。

一行は綺羅が示した抜け道を進む。すると案の定、馬賊に襲われた。激しい戦いのなか、綺羅は気づく。こいつらの格好、普通の馬賊じゃない。何者かが馬賊になりすましている。

混乱の中、祁民は綺羅を逃がそうとする。でも、彼は捕まってしまった。君家には君が必要だ。強く生きろ!祁民は最後にそう叫ぶ。

絶体絶命!バレた正体と新たな取引

綺羅が意識を取り戻したとき、状況は最悪だった。玄烈(げんれつ)の部下が、戦場で君家の絹織物を見つけてしまった。お前、君家の人間だな。玄烈が冷たく問い詰める。

ここからの綺羅の切り返しがすごい。彼女はとっさに嘘をついた。私は君家の当主じゃありません。当主の君非凡(くんひはん)様(そんな人はいない)の侍女です。当主様と私は恋仲でして。彼の代わりに商隊をまとめるため、男装しているんです。この土壇場での機転、たいしたもんだよ。

玄烈は商隊の荷物から兵器を見つけ出す。この商隊は、表向きは普通の商人だけど、裏では兵器を密輸していた。玄烈は、これが北泫内部のどの部族の仕業かを探るため、罠を仕掛けることにした。

綺羅はその隙に逃げようとする。でも、また玄烈に捕まる。今度は持ち物検査だ。そこで、君家の行商令っていう身分証が見つかってしまった。さっきの嘘がバレる寸前。マジで絶体絶命。

追い詰められた綺羅は、最後の賭けに出る。私が本物の君非凡(くんひはん)のところに案内します。玄烈は半信半疑ながら、この提案を一旦は受け入れる。綺羅はすかさず3つの条件を出した。一つ、私の身の安全を保証すること。二つ、死んだ仲間をちゃんと埋葬すること。三つ、荷物を西镶まで届けること。

玄烈は、この条件が合理的だと判断した。そして、あっさりOKする。こうして、嘘と取引から始まる二人の危険な旅が始まったんだ。

第1話の感想

1話目からめちゃくちゃ面白い。展開が速いのが最高だね。まず主人公の君綺羅(くんきら)がいい。男装の麗人って設定だけでもそそられるのに、頭がキレて度胸も満点。父親に結婚しろって言われても自分の使命を貫く強さがある。かと思えば、玄烈に追い詰められたら、とっさに当主様と恋仲の侍女なんですなんて嘘八百を並べる。この強さと脆さのバランスが絶妙で、一気に好きになったよ。もう一人の主人公、玄烈もクールでミステリアス。鋭い観察眼で綺羅を追い詰めるくせに、彼女の突拍子もない取引には乗っかる。この二人の腹の探り合い、これからどうなるんだろう。敵対する国の重要人物同士が、正体を知らずに出会って旅をするなんて、面白くなる予感しかない。嘘から始まった関係が、どう変化していくのか。本当に楽しみだ。

つづく