ついに、ついに結ばれたジャンヒョンとギルチェ!二人が穏やかで幸せな時間を過ごすシーンから始まった第18話。これまでの苦難を思うと、見ているこちらも思わず涙ぐんでしまいますよね。でも、このドラマがそんな幸せなだけで終わるはずもなく…。息もつかせぬ展開が待ち受けていました。
束の間の幸せと、交わされた約束
ようやく心を通わせたジャンヒョン(ナムグン・ミン)とギルチェ(アン・ウンジン)。ギルチェは、かつてジャンヒョンが死んだと思い込んでいた時に作った指輪を取り出し、一つを彼に渡します。もし裏切ったら、この呪いがあなたを討つわと冗談めかして。でもその瞳は、もう二度と離れたくないという強い意志に満ちていました。
しかし、ジャンヒョンにはやり残した最後の仕事がありました。それは、清(しん)に残された朝鮮の捕虜たちを故郷に連れ帰ること。昭顕世子(ソヒョンセジャ)と、そしてガクファ(イ・チョンア)と交わした約束を果たすため、彼は一月だけ待っていてくれとギルチェに告げ、再び危険な道へと旅立つのです。笑顔で彼を見送るギルチェの姿が、あまりにも健気で胸が締め付けられました。
王の猜疑心が生んだ悲劇
一方、王宮では昭顕世子(ソヒョンセジャ)が父である王・仁祖(インジョ)に捕虜の帰還を願い出ていました。しかし、仁祖(インジョ)の心は猜疑心で凝り固まっています。かつて自分を裏切り、世子を王にしようとした逆賊の存在を持ち出し、お前も捕虜たちの心を金で買い、人気を得ようとしているのだろうと世子を激しく詰問。捕虜たちを連れ帰ることを断固として許しませんでした。
王の許可が得られぬまま、ジャンヒョンは世子の制止を振り切ってでも約束を果たそうとします。世子様が忘れた約束を、私が果たしてきます。もう二度とお会いすることはないでしょうという彼の言葉は、悲壮な覚悟に満ちていました。
ガクファの助けを得て、ジャンヒョンと仲間たちは捕虜たちを川の対岸、朝鮮の地へと渡すことに成功します。しかし、安堵したのも束の間、彼らを待ち受けていたのは謎の盗賊団による襲撃でした。捕虜たちは次々と斬られ、川に突き落とされていきます。この襲撃は、捕虜たちを反乱軍に仕立て上げようとする仁祖(インジョ)の側近が仕組んだ、あまりにも卑劣な罠だったのです。
愛する人のため、ギルチェの覚悟
戦いの中、ジャンヒョンとリャンウム(キム・ユヌ)は意識を失い、捕らえられてしまいます。ジャンヒョンは反乱の首謀者と間違われ、過酷な拷問を受けることに。
その頃、ギルチェは王の側室である趙氏(チョシ)から呼び出され、宮殿の陰謀に巻き込まれようとしていました。趙氏は、昭顕世子(ソヒョンセジャ)を失脚させ、自分の息子を王にしようと企んでいたのです。その過程で、ギルチェは世子に従っていた者たちが全員捕らえられたという衝撃の事実を知ります。
胸騒ぎを覚えたギルチェは宮殿に忍び込み、牢獄から運び出される死体の山を目撃します。その中の一つの手からこぼれ落ちたのは、自分がジャンヒョンに渡したはずの指輪…。
血の気が引くような光景の中、ギルチェは死体の山の中に、かろうじて息のあるジャンヒョンを見つけ出します。彼女はためらうことなく、自らの服に血を塗りたくり、死体のふりをしてその場に潜みました。そして、衛兵の隙をついて石で殴りつけ、気絶させるのです。薄れゆく意識の中で、ジャンヒョンが目にしたのは、必死に自分を助けようとするギルチェの姿でした。
『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』第18話の感想
今回のエピソードは、登場人物それぞれの覚悟が胸に迫る回でした。ようやく掴んだ幸せを一度手放してでも大義を果たそうとするジャンヒョンの覚悟。父である王に疎まれ、民と臣下の間で板挟みになりながらも国を思う世子の覚悟。そして何より、愛する人を救うためなら、血にまみれることも厭わないギルチェの覚悟には、心を揺さぶられました。序盤の世間知らずなお嬢様だった彼女が、ここまで強く、たくましい女性に成長したことに深い感慨を覚えます。王の狂気じみた猜疑心が引き起こした悲劇はあまりに理不尽で、見ていて本当に辛いものがありましたが、その闇が深いほど、登場人物たちの愛や信念の光が際立って見えました。絶望的な状況の中で、ジャンヒョンを見つけ出したギルチェの執念ともいえる愛の力に、この物語の核心を見たような気がします。
つづく