ソウルの大病院で、若き天才外科医として名を馳せるソン・ウンジェ。彼女の母親オ・ヘジョンは、夫が残した借金に苦しんだ過去がありましたが、今では立派になった娘の活躍を心から誇りに思っていました。島の住民たちに「うちの娘は名医だから」と、ソウルの病院へ行くよう勧めるのが日課です。

そんな母親ですが、自身の体の不調は後回し。お金がかかるからと病院に行くのをためらっていました。しかし、妹から「病院船なら無料で診てもらえる」と聞き、足を運びます。そこで出会ったのが、心優しい内科医のクァク・ヒョン。ヒョンは心電図の結果から、大きな病院での精密検査を勧めます。人の良さそうなヒョンをすっかり気に入った母親は、「うちの娘とどうかしら?」と、ウンジェの写真を見せるのでした。うっかりその写真を持ち帰り忘れたことが、後に小さな奇跡を生むとも知らずに…。

一方、ソウルのウンジェは多忙を極めていました。徹夜明けでパンをかじる暇もない中、VIP患者のわがままで緊急コールに振り回されます。心身ともに疲れ果てていたその時、母親から電話がかかってきました。「また島の患者の紹介だろう」と思い込んだウンジェは、話をろくに聞きもせず、「迷惑だからやめて!」と冷たく電話を切ってしまいます。

しかし、その時、母親はまさにウンジェのいる病院に来ていたのです。娘に会うため、そして精密検査を受けるために。電話口の娘の冷たい声、そして休憩室のドアの隙間から見えた、娘が疲れ果ててパンをかじる姿…。母親は「これ以上、娘の重荷にはなれない」と、手作りの惣菜を渡すこともできず、寂しく踵を返しました。大都会の喧騒の中、母親の背中はあまりにも小さく、孤独に見えました。

その直後、ウンジェの元に叔母から衝撃的な電話がかかってきます。「お母さんが倒れた!」と。パニックになりながらも、医師として的確な応急処置を指示するウンジェ。彼女は先ほどのVIP患者に頭を下げ、グループのヘリコプターを飛ばしてもらい、母親の元へ急ぎます。

しかし、祈りは届きませんでした。ウンジェが救急室に到着した時、すでに母親の心臓は止まっていたのです。信じられない現実を前に、ウンジェは自ら除細動器を手に取り必死の蘇生を試みますが、母が息を吹き返すことはありませんでした。滑り落ちる除細動器。数時間前に電話で話したばかりの母は、もう二度と目を開けることはない…。その瞬間、ウンジェは悟ります。母が電話で言っていた「島の患者」とは、母自身のことだったのだと。なぜ、もっと優しく話を聞いてあげられなかったのか。取り返しのつかない後悔が、彼女の胸を張り裂きます。

時と場所は変わり、病院船。腹痛を訴える少年が祖父に抱えられて運び込まれます。クァク・ヒョンは内臓破裂を疑いますが、船には手術設備がありません。誰もが絶望しかけたその時、救急室のドアが開き、呆然と立ち尽くすウンジェの姿があったのでした。

『病院船〜ずっと君のそばに〜』第2話の感想

今回のエピソードは、親子のすれ違いがもたらす、あまりにも切なく、そして残酷な結末に胸が締め付けられました。仕事に追われるウンジェが、母親の愛情を少し疎ましく感じてしまう姿は、決して他人事とは思えません。誰もが経験しうる日常の一コマが、取り返しのつかない悲劇につながってしまう展開は、本当に心をえぐられます。特に、娘の苦労を目の当たりにした母親が、何も言わずに立ち去るシーンの寂しげな背中は忘れられません。愛しているからこそ、迷惑をかけたくないという親心。その優しさが、最後の機会を奪ってしまった皮肉に涙が止まりませんでした。ウンジェが慟哭し、後悔に苛まれる姿は、このドラマの核心に触れる重要な場面です。この深い悲しみと罪悪感が、彼女を新たな道へと導いていくのでしょう。物語が大きく動き出す、非常に重厚な回でした。

つづく