父の衝撃的な頼みとウンジェの葛藤
物語は、ウンジェの父がヒョンにとんでもない頼み事をするところから始まります。なんと、癌保険の巨額な保険金を手に入れるために、自分のカルテを改ざんしてくれと言うのです。最悪なことに、その会話をウンジェ本人がドアの外で聞いてしまいました…。
今まで家族を顧みず、自分たちの財産を奪っていった父。今度は自分の命まで利用して金儲けをしようとする姿に、ウンジェは激しい怒りと悲しみを覚えます。父がどんなにすがっても、彼女は「できない」と断固として拒否。
病室を飛び出したウンジェは、怒りと哀しみがこみ上げて言葉も出ません。心配して後を追ってきたヒョンにも、涙を流しながら「放っておいて」と心を閉ざしてしまいます。
そんな中、弟のウジェが父に説得されます。「姉さんを説得してくれ。俺が高利貸しから借りた金を、保険金で返済してやりたいんだ。それが娘にしてやれる最後の償いだ」と。父の言葉を聞いたウジェは、仕事終わりのウンジェを捕まえ、泣きながら「父さんを助けてあげてよ」と訴えます。弟の涙に、ウンジェの心は大きく揺さぶられるのでした。
医師としてのプライドと娘としての想い
弟の言葉に心を動かされたウンジェは、父のカルテをもう一度見直し、助ける方法を探し始めます。彼女は腫瘍科の先輩医師に手術を依頼しますが、あまりにも難易度が高いため断られてしまいます。
追い詰められたウンジェは、院長に「私が執刀します」と直談判。しかし、院長はこれを許可せず、この手術ができる唯一の医師、ソウル大韓病院のキム・ドフンに頼むよう勧めます。ですが、過去の因縁があるドフンに頭を下げることなど、ウンジェのプライドが許しません。
ウンジェの葛藤を見抜いた院長は、自ら後輩であるドフンに電話をかけ、彼女の置かれた厳しい状況を伝えます。電話を受けたドフンは、先輩の話を黙って聞いていましたが…。
ヒョンの決意とヨンウンの恐ろしい嘘
一方、ヒョンのもとには元恋人のチェ・ヨンウンから「治療を拒否する」という電話がかかってきます。ヒョンが彼女の家を訪ねて説得すると、ヨンウンは「そばに戻ってきてくれるなら治療を受ける」と、とんでもない条件を突きつけます。
一晩悩んだヒョンは、ヨンウンの治療に付き添うことを決意。しかし、それは恋人としてではなく、あくまで「医師として」だと釘を刺すのでした。
そして、物語は衝撃のラストを迎えます。
病院船が離島へ向かう途中、父のことで心身ともに疲れ果てていたウンジェは、空き部屋で仮眠をとっていました。そこへ、久しぶりに病院船に戻ってきたヨンウンが入ってきます。彼女は友人からの電話に出るため、ウンジェが寝ているとは知らずにその部屋に入ったのです。そして、電話口で信じられない言葉を口にします。
「大丈夫よ、全部ウソだから。クァク・ヒョンを取り戻すために、白血病のフリをしてるだけ…」
そう、ヨンウンの病気は、すべてヒョンの気を引くための狂言だったのです。
『病院船〜ずっと君のそばに〜』第21話の感想
今回のエピソードは、登場人物それぞれの「覚悟」と「エゴ」がぶつかり合う、非常に見応えのある回でした。特に印象的だったのは、主人公ウンジェの心の揺れ動きです。あれほど憎んでいた父を、それでも救おうと奔走する姿には、医師としての使命感と、断ち切れない娘としての情が複雑に絡み合っているのが伝わってきました。彼女が過去の因縁を持つ医師に頭を下げられるのか、その決断が今後の鍵になりそうです。
一方で、ヒョンの元恋人ヨンウンが見せた行動には、正直、言葉を失いました。愛する人を取り戻したい一心とはいえ、病を偽るという行為は許されるものではありません。彼女のこの策略が、優しさから彼女に寄り添うことを決めたヒョンや、ただでさえ困難な状況にいるウンジェに、どのような影響を与えていくのか。物語に新たな緊張感が走り、目が離せない展開となってきました。
つづく