まだ夜も明けきらない薄暗い時間、眠っていたソン・ウンジェは、けたたましくドアを叩く事務長の音で叩き起こされます。何事かと外に飛び出すと、朝のランニングから戻ったばかりのクァク・ヒョンが、慌てふためくウンジェと事務長の姿を不思議そうに見ていました。
実は、病院船の船員であるヤン・チュノが仲間を連れて、ウンジェを苦しめていた闇金業者の元へ乗り込んでしまったのです!「大変なことになる!」と、ウンジェと事務長は現場へ全力疾走。病院船に残された他のスタッフたちも心配そうに見守りますが、なぜか看護師長だけは落ち着き払っていました。
恐る恐る闇金業者の事務所の階段を上ると、中からは物騒な怒鳴り声が…。しかし、ドアを開けたウンジェと事務長が目にしたのは、想像とは真逆の光景でした。なんと、ヤン・チュノたちが業者たちを完全に制圧し、相手は地面にひれ伏して許しを請うていたのです!
ウンジェはすぐに彼らの暴走を止め、頭から血を流す業者たちを手当し始めます。その間に事務長が交渉を開始。見事な交渉術で利息を全額チャラにさせ、あれだけ高額だった借金は、ほんのわずかな元金だけを返済すればよいことになりました。
病院船に戻ると、仲間たちはウンジェの無事な帰還を大喜びで迎えます。感謝の気持ちを伝えるため、ウンジェが「今夜は焼肉とお酒をごちそうします!」と宣言すると、船内は歓声に包まれました。
しかし、そのお祭り騒ぎの中、一人だけ浮かない顔をしている人物が。チェ・ヨンウンです。キム・ジェゴルから何かを探るようなことを言われた彼女は、ウンジェに「私の仮病のこと、ジェゴルに話したでしょ!」と詰め寄ります。ウンジェはそれを否定し、「ジェゴル先生は隣の部屋で私たちの会話を聞いていただけ」と説明。これ以上は無意味だとヨンウンを諭しますが、彼女はヒョンを諦める気など毛頭ない様子で、その場を去るのでした。
翌日、島では無料のワクチン接種が行われ、病院船は多くの患者でごった返していました。その中には、ソウルから高齢の母親の介護のために島へ戻ってきたホ・ジニの姿も。診察を担当したヒョンが、自分の母親を診てくれている医師だと気づいたジニは、深く感謝します。
ジニの診察が終わり、彼女が船を降りようとしたその時、船内に緊急事態を知らせるアナウンスが響き渡りました。急患は、ジニの旧友でもある58歳のベテラン潜水士チュンスン。潜水中に事故に遭い、全身が麻痺しているというのです。
ウンジェとヒョンは医療バッグを手に現場へ急行。チュンスンは潜水中に酸素ボンベが外れ、船に引き上げられた時にはすでに体が全く動かない危険な状態でした。二人が懸命に救命処置を開始した、まさにその瞬間、患者の口から大量の血がゴボッと吐き出されたのです…!
『病院船〜ずっと君のそばに〜』第25話の感想
今回のエピソードは、安堵と緊張が巧みに織り交ぜられた見事な回でした。前半では、ウンジェを長らく苦しめてきた借金問題が、仲間たちの予想外の活躍によって一気に解決へと向かいます。その解決方法の豪快さと、仲間たちの温かい絆に、見ているこちらも胸がスッとする思いでした。しかし、その安心感も束の間、後半は一転して緊迫した医療現場が描かれます。新たな患者であるベテラン潜水士を襲った突然の事故は、息をのむ展開でした。ウンジェとヒョンが直面する新たな試練、そして、いまだにくすぶり続けるヨンウンの恋の策略が、物語に更なる深みを与えています。平穏な日常と、命の最前線が隣り合わせにある病院船の現実が、改めて胸に迫る内容でした。
つづく