いやはや、今回はとんでもない事態に巻き込まれてしまいましたね!病院船が、まさかの武装集団に乗っ取られるという衝撃の展開から幕を開けます。
ソン・ウンジェとクァク・ヒョンは、銃を突きつけられたまま密売組織のアジトへと連行されてしまいます。その道中、地面に倒れていた負傷者がウンジェの足をつかんで助けを求めますが、密売人たちはためらうことなく彼を射殺…。非情な現実に言葉を失います。
アジトの奥では、腹部に2発の銃弾を受けた組織のボスがソファで苦しんでいました。出血がひどく、一刻を争う状況。ウンジェは「このままでは助からない。病院船で手術をすべきだ」と主張しますが、当然、密売人たちは罠ではないかと疑いの目を向けます。しかし、ボスの容態がみるみる悪化していくのを見て、彼らもついに病院船での手術を許可せざるを得なくなりました。
その頃、病院船では船長の機転でGPSがオフにされていました。異変に気づいた海洋警察が病院船の位置を見失い、船長や事務長に連絡を試みるも、応答はありません。
ウンジェとヒョンが病院船に戻ると、船内はすでに密売人たちによって完全に制圧されていました。彼らがウンジェに与えた手術時間は、わずか3時間。「1分でも過ぎれば、この船の人間を一人ずつ殺す」という非情な宣告が突きつけられます。
手術を前にして、「私がみんなを巻き込んでしまった…」と自責の念に駆られるウンジェ。そんな彼女を、ヒョンは「今は手術に集中するんだ」と力強く励まします。彼の言葉は、いつもウンジェの心を支えてくれますね。
手術室は、銃を構えた密売人たちに囲まれ、息も詰まるような緊張感に包まれます。そんな中、外で大きな騒ぎが起こりました。なんと、キム・ジェゴルと事務長が隙を見て警察に通報しようとしたところを見つかり、激しい暴行を受けていたのです!
「騒がしくて手術に集中できない!」ウンジェが叫ぶと、暴行はいったん止まりますが、この騒動で彼女の心は大きく乱れてしまいました。そして、最悪の事態が…。開腹してみると、弾丸の位置が想定とまったく異なり、もう一発の弾丸が大血管を損傷させていたことが判明。ボスの血圧は急激に低下し、危険な状態に陥ります。
まさに絶体絶命のピンチ…。予備の血液バッグもなく、ウンジェは手術器具を握ったまま、どうすることもできずに立ち尽くしてしまいます。
その時、ヒョンの冷静な声が彼女を現実に引き戻しました。そしてウンジェの脳裏に、かつてヒョンの父であるクァク・ソンが、戦地で物資がない中で行った「自己血輸血」の記憶が蘇ります。彼女はその手術について熱心に学び、ソン医師本人にも話を聞きに行っていたのでした。
ウンジェはすぐさまその方法で応急処置を試みますが、すでに大量の血液を失っているボス自身の血だけでは、とても足りません。すると、ヒョンが「僕の血を使ってください」と申し出ます。幸いにも血液型が一致し、その場でヒョンからボスへの緊急輸血が開始されるのでした。
『病院船〜ずっと君のそばに〜』第29話の感想
今回は、病院船という閉鎖された空間が、武装集団によって極限の舞台と化した、非常に緊迫感のあるエピソードでした。医師として、そして一人の人間として、登場人物たちの覚悟と葛藤が色濃く描かれていたのが印象的です。特に、自らの責任に苛まれながらも、過去の学びと機転で困難に立ち向かうウンジェの姿には、彼女の医師としての確かな成長を感じました。また、どんな時も冷静にウンジェを支え、自らの危険を顧みず輸血を申し出たヒョンの深い愛情と勇気には胸を打たれます。ジェゴルたちの行動も含め、それぞれのキャラクターが自分の役割を果たそうと必死になる姿は、単なる医療ドラマに留まらない、深い人間ドラマとしての魅力を際立たせていました。手に汗握る展開の中に、確かな絆とヒューマニズムが光る回だったと思います。
つづく