巨大な陰謀の影が、静かに病院船へと忍び寄る…!今回は、ウンジェたちに最大の危機が訪れる、息をのむような展開でした。
物語は、巨大企業トゥソングループが、地元の巨済(コジェ)第一病院と医療支援の提携を結ぶところから始まります。表向きは地域医療への貢献をうたっていますが、その裏にはとんでもない企みが隠されていました。
以前、ウンジェが命を救ったトゥソングループの御曹司、チャン・ソンホ。その父親である会長が直々にウンジェに挨拶に訪れますが、ウンジェは利益第一のはずの彼らの行動に、拭いきれない違和感を覚えます。
その矢先、恐れていた事態が発生します。以前、病院船でウンジェが帝王切開で取り上げた新生児の容体が急変し、呼吸不全で危険な状態に陥ってしまうのです。
実はこれこそ、トゥソングループが仕掛けた罠の始まりでした。会長の真の狙いは、遠隔医療システムを普及させ、全国の膨大な数の糖尿病患者に自社の血糖値測定器を売りさばいて莫大な利益を上げること。その計画にとって、離島の医療を支える病院船は邪魔な存在でしかありません。
会長は病院船を潰すため、新生児が危篤状態であることを利用します。弁護士を送り込んで母親を買収し、「病院船のずさんな処置のせいで子供が危険な状態になった」とウンジェを訴えさせたのです。
時を同じくして、病院船には陸上部門からの突然の監査が入り、高価な医療機器の購入を責められるなど、現場は不穏な空気に包まれます。さらに、島へ往診に出たヒョンとジェゴルは、トゥソングループがすでに住民に血糖値測定器を配布していることを知り、診療を拒否されてしまいます。
そしてついに、ウンジェのもとに警察から出頭要請の電話が。警察署の前には、トゥソングループが手を回した大勢の記者たちが待ち構えていました。あっという間に、「病院船のずさんな医療」「医療費の無駄遣い」といったネガティブなニュースが世間を駆け巡ります。
警察で厳しい取り調べを受けるウンジェ。その直前、心配したヒョンから電話が入ります。「新生児が生まれてからの救急処置は、すべて僕が担当した。だから責任は僕にある」と告げるヒョン。彼の言葉を思い出し、ウンジェは厳しい追及の中で、どう答えるべきか葛藤するのでした。
『病院船〜ずっと君のそばに〜』第33話の感想
今回は、これまで患者の命を救うために奮闘してきたウンジェと病院船が、外部からの巨大な悪意によって窮地に立たされる、非常に歯がゆい展開でした。利益のために人の命や尊厳を踏みにじるトゥソングループのやり方には、強い憤りを感じずにはいられません。メディアを巧みに利用し、世論を操作して個人を追い詰めていく手法は、現実社会の恐ろしさも映し出しているように思えました。そんな絶望的な状況の中、ヒョンが「責任は自分にある」とウンジェを庇おうとする姿は、唯一の救いでした。彼の優しさが、孤立したウンジェの心をどれだけ支えたことでしょう。医療ドラマとしての緊張感だけでなく、社会の不条理と、それに立ち向かう人々の絆を描いた、見ごたえのある回でした。
つづく