産婦の容態が急変し、病院船で緊急手術を行ったソン・ウンジェ。しかし、その判断が彼女を窮地に追い込むことになります。警察の調査で、生まれた赤ちゃんの救急吸引処置について問われたウンジェは、自分が治療したことを認めました。手術前、確かに家族の同意は得たはず。それなのに、なぜ今になって彼らはそれを否定するのか…。ウンジェは重い気持ちで警察署を後にします。

やりきれない思いを抱え、患者が入院する巨済(コジェ)病院へ向かうウンジェ。しかし、産婦は口を閉ざし、家族も目をそらすばかり。そこへ現れたのは、患者側の弁護士でした。彼はウンジェにこれ以上接触しないよう警告し、名刺を差し出します。その名刺に記された名前を調べたウンジェは、衝撃の事実に気づきます。その弁護士は、巨大企業「斗星(トゥソン)グループ」と繋がりがあったのです。

その頃、宿舎ではテレビから斗星グループのCMが流れていました。それは、高齢者が血糖値測定器を使うという遠隔医療の宣伝でした。キム・ジェゴルは、その映像に違和感を覚えます。高齢の女性が複雑な機器を手際よく操作し、医師が画面越しに診察するだけで本当に正確な診断ができるのか?彼の疑問は、やがて病院船を揺るがす大きな渦の中心へと繋がっていきます。

斗星グループの会長は、巨済第一病院のキム・スグォン院長に接触していました。ウンジェの訴訟問題が世間を騒がせていることを理由に、病院への投資に難色を示し、暗に圧力をかけます。レストランを出るスグォン院長の背中は、ひどく寂しそうでした。病院に戻った父に、ジェゴルは「斗星グループとの提携はやめるべきだ。遠隔医療なんて患者を騙すようなものだ」と訴えますが、スグォン院長は「子供じみたことを言うな」と一蹴します。

メディアによる事実無根の報道で、ネット上には病院船への誹謗中傷が溢れかえります。ウンジェは、このすべてが病院船を潰し、遠隔医療を推進したい斗星グループの仕業だと確信していました。彼女はクァク・ヒョンに、自分が責任を負って病院船を去る覚悟を告げます。「私が辞めれば、病院船は守れるはず…」。

愛する恋人と、守るべき患者たち。そのどちらかを選ばなければならない状況に、ヒョンは深く苦悩します。数日後、ヒョンは入院中の赤ちゃんを見舞った後、待っていたウンジェに「俺が病院船を守る」と力強く宣言します。その決意に、ウンジェは安堵の表情を浮かべました。

しかし、ウンジェと別れた後、ヒョンが向かった先は警察署でした。彼は担当刑事に対し、衝撃の事実を告げるのです。「新生児の吸引処置をしたのは…私です」と。

『病院船〜ずっと君のそばに〜』第34話の感想

今回は、個人の信念と巨大な組織の思惑が激しくぶつかり合う、非常に見ごたえのある回でした。ウンジェが直面する理不尽な状況は、見ているこちらも胸が苦しくなります。彼女を陥れようとする見えない敵の正体が、遠隔医療ビジネスを推し進める斗星グループだと分かった時、物語は単なる医療ドラマから、社会派サスペンスの様相を呈してきました。

特に印象的だったのは、それぞれの人物が自分の正義と立場で葛藤する姿です。ジェゴルのように真正面から不正を指摘する者、父スグォンのように組織の中で苦悩する者、そしてヒョンのように愛する人を守るために大きな犠牲を払おうとする者。ヒョンがウンジェを安心させた後、一人で警察に向かう最後のシーンは、彼の深い愛情と覚悟が伝わってきて、強く心を揺さぶられました。この決断が、今後の病院船の運命をどう変えていくのか、目が離せません。

つづく