愛する人の重荷にはなりたくない…。その一心で、天才外科医ソン・ウンジェは、病院船の仲間たちに衝撃を与える決断を下します。院長に辞職願を提出した彼女は、誰にも本当の理由を告げず、静かに病院船を去る準備を進めていました。

事情を知らない看護師のピョ・ゴウンは、なぜウンジェが去るのか理解できません。ウンジェは彼女にだけ「愛する人の足手まといになりたくないの」と本心を打ち明けます。その言葉には、恋人クァク・ヒョンへの深い愛情と、一人で過酷な運命に立ち向かおうとする悲壮な覚悟が込められていました。

夜が明ける前、ウンジェは誰にも別れを告げず、たった一人で島を去ります。バスの窓から彼女を見つめるヒョンの姿がありました。これが最後かもしれない…そう心に決めながら、ウンジェは彼の前から姿を消したのです。

向かった先はソウルの大韓病院。検査の結果は残酷なものでした。骨肉腫はすでに肺にまで転移しており、一刻も早く化学療法を開始しなければならない状況だったのです。

ウンジェからの連絡がぷっつりと途絶えて1ヶ月。ヒョンは言いようのない不安に苛まれながらも、彼女の消息を掴めずにいました。そんなある日、彼は事務長のパソコンで、偶然にもウンジェが撮った自身の足のX線写真を見つけてしまいます。そこに写っていたものを見て、ヒョンは愕然としました。彼女が隠していた、あまりにも辛い秘密を知ってしまったのです。

ヒョンは必死に彼女の行方を捜し、ついに大韓病院にいることを突き止めます。夜通し車を走らせて病院に駆けつけた彼が目にしたのは、病室のベッドで痩せこけ、憔悴しきったウンジェの姿でした。

再会を喜ぶどころか、ウンジェは自分の弱った姿を見られたことにショックを受け、ヒョンに「帰って!」と叫び、トイレに閉じこもってしまいます。しかし、ヒョンは諦めませんでした。ドアの外で待ち続け、ようやく出てきたウンジェに、彼が持ってきたパソコンを見せます。

画面には、ウンジェが病院船で治療した患者たちのビデオメッセージが映し出されていました。「先生、会いたいよ」「早く戻ってきて」。島民たちの温かい言葉に、張り詰めていたウンジェの心の糸が切れ、彼女はヒョンの肩に顔をうずめて号泣するのでした。

ヒョンの献身的な支えと、仲間たちの想いを受け、ウンジェは再び立ち上がる決意をします。手術は、骨の専門家であるキム・スグォン院長が自ら執刀。「100年メスを握れる足を、君に返す」という力強い約束と共に、手術は無事成功しました。

そして、季節は巡り…。外科医不在のままだった病院船に、緊急手術を要する患者が運び込まれます。誰もが手をこまねいている、その時でした。

「私が執刀します」

そこに立っていたのは、すっかり健康を取り戻したソン・ウンジェでした。まるで初めて病院船にやって来たあの日のように、冷静で、自信に満ちたその姿に、仲間たちは驚きと喜びの声を上げます。彼女は、愛する人々と、愛する仕事のあるこの場所に、ついに帰ってきたのです。

『病院船〜ずっと君のそばに〜』最終回 第40話の感想

最終回は、ソン・ウンジェという一人の女性の強さと脆さ、そして彼女を支えるクァク・ヒョンの揺るぎない愛が深く描かれた、感動的なフィナーレでした。愛する人の負担になることを恐れ、たった一人で病と闘おうとするウンジェの姿は痛々しくも、彼女の不器用な優しさが伝わってきて胸が締め付けられます。そんな彼女の固く閉ざした心を、ただひたすらに待ち、受け止め、温かい言葉で溶かしていくヒョンの愛情の深さには心打たれました。お互いを想うがゆえにすれ違い、傷つけ合いながらも、最後にはより強い絆で結ばれる二人の物語は、希望に満ちています。颯爽と病院船に復帰するラストシーンは、困難を乗り越えた彼女にふさわしい、見事な締めくくりだったと感じました。

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