落下事故の患者を救うため、捻挫した足の激痛に耐えながら無事に手術をやり遂げたソン・ウンジェ。まさに外科医の鑑だよね。手術後、心配した看護師ユ・アリムに促されて自分の足のレントゲンを撮るんだけど、そこでウンジェの運命が大きく動き出すことになるんだ。
現像された写真を見て、事務長が息をのむ。骨のひびを確認していたはずが、そこには明らかに不吉な、大きな影が写り込んでいた。まさか…と自分の目を疑う事務長。そして、その写真を見てしまったウンジェも、血の気が引くのを感じていた。これがただの怪我じゃないって、医師である彼女が一番よく分かっていたから。ウンジェは事務長に「精密検査を受けるまで秘密にしてほしい」と、か細い声で頼むんだ。
その頃、ウンジェの寮ではとんでもない誤解が生まれていた。キム・ジェゴルとチャ・ジュニョンが部屋に戻ると、愛犬がウンジェ宛ての国際郵便をガジガジ!慌てて取り上げると、それはなんとイギリス王立医学校からの研修申請書だった。これを見た二人は、さっき事務長がやけにイライラしながら自分たちを追い返した理由を悟る。「ウンジェ先生、病院船を辞めちゃうのか…?」そして、何も知らないクァク・ヒョンもその申請書を目にしてしまい、言葉を失うんだ。
本当の病魔は、そんな仲間たちの心配とは全く別の形でウンジェに忍び寄っていた。ウンジェはたった一人、手術室へ向かう。何度も患者と向き合ってきたその手術台に横たわると、自然と涙が頬を伝った。でも、彼女はすぐに起き上がり、震える手で手袋をはめると、信じられないことに自分の足にメスを入れるんだ。そう、自らの手で組織を採取(生検)するという、あまりにも壮絶な覚悟だった。
翌朝、検査室からの電話が非情な現実を告げる。診断は「骨肉腫」。
絶望の淵をさまよいながら寮へ戻るウンジェの前に、一晩中彼女を待っていたヒョンが立っていた。「どうして電話に出ないんだ?どこにいたんだ?」と心配するヒョンに、ウンジェは「疲れてるの」と冷たく背を向けることしかできない。
その夜、川辺で一人たたずむウンジェを、ヒョンは黙って後ろから優しく抱きしめた。彼の温もりに、張り詰めていた何かが切れそうになるのを感じながら、ウンジェは「明日、素敵な場所に連れて行って」と提案する。
翌日、二人は以前にも訪れた思い出の島へ渡った。でも、ウンジェの心は晴れない。いつもは嫌がる写真を「一緒に撮ろう」とせがむ彼女の姿に、ヒョンは何かを隠していると確信する。「ロンドンの研修のこと、行ってもいいんだよ。その代わり、毎日ビデオ通話してくれれば」と、優しく語りかけるヒョン。その言葉が、ウンジェの胸に深く突き刺さる。本当の病気のことを言えないまま、二人はそれぞれの想いを抱えて海辺を歩く。まるで別れを惜しむかのように、その夜、二人は寮には帰らず、かけがえのない時間を共に過ごすのだった。
『病院船〜ずっと君のそばに〜』第39話の感想
今回のエピソードは、ウンジェに降りかかったあまりにも過酷な運命に、ただただ胸が締め付けられました。優秀な外科医である彼女が、自らの足に潜む病魔に気づき、誰にも言えずたった一人で向き合う姿は痛々しく、見ていて本当に辛かったです。特に、手術室で自分の足の組織を採取するシーンは、彼女の医師としての矜持と、一人の女性としての絶望が入り混じっており、深く印象に残りました。
一方で、仲間たちは彼女が海外研修に行くと誤解し、ヒョンは何も知らずに彼女を支えようとします。このすれ違いが、物語の切なさを一層際立たせていました。ヒョンの優しさが、真実を言えないウンジェにとってはかえって辛いという皮肉な状況が、二人の関係の深さを物語っているようでした。思い出の島でのデートシーンは、幸せな時間のはずなのに、悲しい別れの予感に満ちていて、涙なしには見られませんでした。
つづく