前回のラスト、病院船の存続そのものが危うくなるという絶体絶命のピンチで終わりましたが、今回はその危機を乗り越えるための、登場人物たちの熱い思いが交錯する回となりました。

物語は、事務長の恋人であるピョ看護師の肝臓移植手術の場面から始まります。手術室のランプが灯る中、外で祈るように待つ事務長と病院船の仲間たち。執刀するのはもちろん、我らが天才外科医ソン・ウンジェです。しかし、移植する肝臓の血管が適合しないという予期せぬ事態が発生。それでもウンジェは冷静沈着にソウルの大韓病院へ冷凍保存された血管を要請し、見事に手術を成功させます。彼女の腕と判断力には、いつもながら舌を巻きますね。

一方、病院船ではもう一つの命が危険にさらされていました。高熱で倒れた新生児です。意識を取り戻した母親が我が子の元へ駆けつけると、そこに信じられない光景が。なんと、内科医のクァク・ヒョンが自らのシャツをはだけ、裸の胸で赤ちゃんを優しく抱きしめていたのです。これは「カンガルーケア」と呼ばれる治療法で、親の肌のぬくもりが赤ちゃんの生命力を引き出すと言われています。風邪をひいているため我が子に触れることすらできない母親は、ヒョンの深い愛情と献身的な姿に、ただただ涙を流すのでした。このシーンは、本当に胸が熱くなりました。

手術と赤ちゃんの危機を乗り越え、少しだけ穏やかな時間が流れます。ヒョンはウンジェを夕暮れの海辺へと連れ出し、赤ちゃんが助かったことを報告すると、喜びと共に彼女にキスをします。不器用な二人の距離がまた一歩縮まった、とても美しい瞬間でした。

しかし、幸せな時間も束の間。翌日、ウンジェとヒョンは道庁の調査委員会に呼び出されます。斗星(トゥソン)グループの陰謀により、病院船は不正の温床という濡れ衣を着せられていたのです。絶体絶命かと思われたその時、事態は思わぬ方向へ。なんと、ヒョンが救った赤ちゃんの母親が記者会見を開き、斗星グループによる医療事故の隠蔽工作を告発したのです。これがきっかけとなり、グループの悪事が次々と白日の下に晒され、道庁長の収賄も発覚。病院船の危機は完全に去り、再出航の許可が下りました。

ようやく日常を取り戻した病院船は、再び島の人々のために航海を始めます。しかし、ほっとしたのも束の間、今度は登山中の転落事故で重傷者が出たとの緊急連絡が。現場に急行したウンジェでしたが、焦りからか車を降りる際に足をひねってしまいます。自身の痛みをこらえ、患者の治療を優先するウンジェ。患者の足はひどく腫れあがり、感覚を失っていました。ウンジェは、筋肉内の圧力が異常に高まることで組織が壊死してしまう「コンパートメント症候群」だと瞬時に診断し、一刻を争う状況で患者を病院船へと搬送するのでした。危機が去ったと思えば、また新たな試練が。医師たちの戦いに終わりはないのだと、改めて感じさせられるラストでした。

『病院船〜ずっと君のそばに〜』第38話の感想

今回は、病院船が直面した最大の危機からの大逆転劇が描かれ、非常に見ごたえのあるエピソードでした。特に印象的だったのは、クァク・ヒョン医師が見せた「カンガルーケア」の場面です。ただ優しいだけでなく、深い知識と人間愛に基づいた彼の行動は、医師として、そして一人の人間としての魅力を際立たせていました。一方で、ソン・ウンジェ医師は、どんな窮地に立たされても決して諦めない強い意志と、天才的な外科医としての能力を改めて証明してくれました。二人の絆が深まるロマンチックなシーンもありつつ、物語の主軸である医療現場の緊張感もしっかりと描かれており、バランスの取れた構成だと感じます。悪事が暴かれ、病院船が再出発する場面の爽快感、そしてラストに待ち受ける新たな緊急事態。視聴者を飽きさせない巧みな展開に、今回も引き込まれました。

つづく